児嶋都「怪奇の館@」(1997年7月4日発行)

 収録作品

・「醜い顔」(「恐怖の館DX」1996年9月号)
「吉川さゆりは、非常に醜い容貌の娘であった。
 対照的に、心は非常に美しく、学園一のハンサム、白鳥は彼女に交際を申し込む。
 しかし、さゆりは彼との交際をかなくなに拒む。
 ある時、彼の本心をもう一度確認した後、さゆりは彼を自宅へと招待するのだが…」

・「怪人バラバラ少女」(「恐怖の館DX」1996年10月号)
「薔薇子はその名の通り、薔薇のように美しく、全てが完璧。
 一方、隣席の、毒島たみ子は、貧相な容姿の、華のかけらもない少女。
 薔薇子を見る度に、劣等感に襲われ、たみ子は遂に彼女を殺害。
 薔薇子の死体をバラバラに切断して、あちこちの空き地に埋める。
 これですっきり…するはずだったが、薔薇子の呪いにあい、たみ子は大慌て。
 死体を掘り起こし、縫い合わせるが…」

・「独白」(「恐怖の館DX」1996年11月号)
「とめ子とるり子は親友同士。
 だが、二人は容姿は天と地ほど、差があった。
 幼い頃から、るり子は可愛く、とめ子はブス。
 るり子が、いじめられるとめ子をかばったことから、二人は(他人が言う)「本当の友情」で結び付けられることになる。
 しかし、とめ子にとっては、るり子と絶えず比較される、この関係が苦痛でたまらない。
 信号の待ち時間、るり子を車道に突きとばし、彼女が醜く変わり果てることを、とめ子は空想するのだが…」

・「首」(「恐怖の館DX」1996年12月号)
「ある日、マモルが学校から帰ると、父親が会社から「首を切られていた」。
 父親の「首が切られた」ことで、彼の家庭は一変。
 両親は諍いが絶えなくなり、母親も父親から主婦を「首になる」。
 「首を切られた」両親はマモルのことで争ううちに、彼の両手首はもげ、両親はその手首を持ち、彼の前から姿を消す。
 以来、彼は必死に働き、立派な義手を手に入れ、幸せな家庭を築き上げるのだが…」

・「マッハGO―GO―ガ〜ル」(「恐怖の館DX」1997年1月号)
「主人公(名前わからず)とマリ子は大の仲良し。
 二人は、流行の先端で、ステキな彼氏もいる、学園のお姫さま。
 だが、マリ子の彼が事故死して以来、二人の友情にヒビが入る。
 マリ子は彼の死を嘆くあまり、主人公とは疎遠になっていく。
 そんな時、マリ子の写真に彼氏の霊が写っており、マリ子は悲劇のヒロインとして皆の注目を浴びる。
 焦った主人公が取った行動とは…?」

・「ワンダーバレンタイン」(「恐怖の館DX」1997年2月号)
「その1 すてきな男の子]
 学園のアイドル、前嶋くん。
 バレンタインの前日、学園中の女子は抜け駆けはしないことを決める。
 当日、彼の家の前に、トラック満載のチョコが届き、女の子達はどのチョコが気に行ったか、彼に選ぶよう迫るのだが…。
「その2 女生徒」
 中島かおるはものすごい美人。
 だが、主人公の男子生徒は、彼女の目が苦手で、彼女を避けていた。
 バレンタイン当日、彼のもとに中島かおるから小包が届く。
 同時に、友人から電話がかかるが、その知らせとは…?
「その3 夫婦」
 バレンタインデーの夜。
 全く冴えない中年会社員の主人公は義理チョコでも三個どまり。
 出世することは将来恐らくなく、一方の妻はバリバリのキャリア・ウーマン。
 妻には浮気相手がいるのだろうが、彼には帰る所は妻のもとしかない。
 しかし、家に帰ると、妻が彼のためにパーティの準備をしていた。
 さて、妻のつくったチョコレートケーキのお味は…?

・「チョコレート・マン」(「恐怖の館DX」1997年3月号)
「ホワイトデーの日。
 チョコレートの匂いとともに現れる、チョコレート・マン。
 彼は、女子生徒が誰も彼にチョコをくれなかったことへの復讐に、校内の女子生徒を殺戮していく。
 ただ一人、生き残った女子生徒のもとにも、チョコレート・マンの影が忍び寄るが…」

・「ミッションスクール」(「恐怖の館DX」1996年4月号)
「伯母の勧めで、ミッションスクールの寄宿舎に入りことになった阿部まりえ。
 彼女がそこで体験する奇怪な(?)出来事とは…?」

・「山小屋」(「恐怖の館DX」1996年5月号)
「雪山で遭難し、山小屋に避難した男性二人。
 夜、二人の前に、雪女が現れ、不細工な方は雪女の口臭でショック死。
 雪女は、もう一人のハンサムな方に、このことを話したら、命はないと警告し、姿を消すのだが…」

・「謎の洋館」(「恐怖の館DX」1996年6月号)
「下校途中、ヒロインは、美しいが不気味な洋館を目にする。
 中を見てみたいという衝動に抗えず、彼女がその洋館を訪れると…」

 今も活躍中の奇才(この御人の凄さを何と形容すべきかわからない)、児嶋都先生は、楳図かずお先生のパロディー漫画といった認識の人が多いのではないでしょうか?
 確かにそういう側面もありますが、実は、かなり「深い」です。
 「醜い顔」「マッハGO―GO―ガ〜ル」なんかは、女性にしか発想できない作品ではないでしょうか?
 個人的なベストは、冴えない中年オヤジの描写が冴えに冴えまくっている「夫婦」(「ワンダーバレンタイン」中の一編)です。
 これは傑作! 「うん……疲れたよ……」のコマは完璧やね。

2019年7月29日 ページ作成・執筆

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