犬木加奈子「13人のおごれるお姫さま」(1996年12月17日1刷発行)

 収録作品

・「この世で一番美しいお姫さま」
「とある国の、この世で一番美しいと言われる、お姫さま。
 彼女は少しばかり欲張りで、何かを望めば、その全てを手に入れたいと欲する。
 ある日、彼女は、村に美しい娘がいるという噂話を耳にする。
 その娘を城に呼び出すと、その娘にはお姫さまとは違った美しさがあった。
 お姫さまは魔術師に頼み、村娘の美しさを手に入れるのだが…」

・「大理石になったお姫さま」
「隣国には、これまた、第一話のお姫さまと勝るとも劣らない、美しいお姫さまがいた。
 彼女の心は氷のように冷たく、月に一度の楽しみは、馬車で町に出て、不幸な人々を見て回ることであった。
 ある日、石屋の青年が、彼女を一目見て、その美しさに心を奪われる。
 思いは募るばかりで、彼はお姫さまの石像を作り、町中の評判となる。
 その評判を聞いた、お姫さまは青年を城へと呼び出すのだが…」

・「5人の娘と5人の息子」
「あるところに、寂しい老婆がいた。
 あまりの寂しさに、彼女は5人の娘を持つことにする。
 娘達は片時も老婆のそばを離れず、老婆は娘達に話しかけて、寂しさを紛らわす。
 だが、次第に、娘達はこの窮屈な生活に不満を持つようになる。
 そこで、老婆は5人の息子を持つことにするのだが…」

・「金の爪」
「あるところに、貧しい農夫の娘がいた。
 彼女の爪は農作業で土にまみれ、短く折れていた。
 彼女は、野菜を売りに町に出る度に、町娘の美しく塗られた爪に羨望を覚える。
 ある日、彼女は畑で金色のモグラと出会う。
 娘はモグラに爪を黄金へと変えてもらうのだが…」

・「一つめ二つめ三つめ」
「あるところに、一つめ二つめ三つめのお姫さまがいた。
 真ん中のお姫さまは醜く、他の二人にいつもいじめられていた。
 ある日、真ん中のお姫さまが森で泣いていると、道に迷った遠国の王子様が通りかかった。
 彼は姫を世界で一番美しいと讃え、自分の国に花嫁として迎える。
 おさまらない、一つめ、三つめの姫は、王子の国に乗り込むのだが…」

 《ちょっぴりこわい犬木童話》の副題通りに、フル・カラーの絵本です。
 童話であっても怪奇色バリバリの犬木流ファンタジーは味わい深過ぎですが、残念なことに、タイトルに偽りありなのです。
 「13人のおごれるお姫さま」とタイトルから、お姫さまを扱った連作かと思いきや、収録されているのは五話で、更に五話中、お姫さまが主人公なのは三話です。(表紙もよく見たら、お姫さまが、11人いる!)
 もうちょっと気張って欲しかったなぁ…。(フルカラーとは言え、40ページしかないのも寂しい…。)
 どういう経緯で、斯様なことになってしまったのか、気になってます。

2018年5月12日 ページ作成・執筆

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