菅原亘・絵/真理かおり・原作「こうもり少女」(小学四年生5月号/1968年5月1日発行)

「東京から山間の小学校に転向してきた相川まゆみ。
 彼女の隣席になったのは、恵子という奇妙な少女であった。
 まゆみには親切にしてくれるものの、妙に陰気で、その肌は氷のように冷たい。
 また、クラスメートとも話をせず、蒼白い顔をして、暗いところにばかりいたため、「こうもり」とあだ名されていた。
 まゆみは恵子と友達になろうとするが、実は、恵子は吸血鬼であった。
 恵子の祖母は洞窟で吸血こうもりに血を吸われたために吸血鬼になり、また、恵子も祖母により吸血鬼に変えられてしまったのである。
 恵子はまゆみの血を狙うが、首にかけてある十字架のネックレスが邪魔で、思うようにいかない。
 しかし、恵子は策を弄して、まゆみは遂に首から血を吸われてしまう。
 毎夜恵子に血を吸われ、まゆみは衰弱していく。
 まゆみの状態から、クラスメートの雄一は吸血鬼の仕業だと勘付き、まゆみを吸血鬼の毒牙から救おうとする…」

 児童向け雑誌にて、怪奇マンガを手掛けていたらしい、菅原亘先生。
 私の手元には付録本が三冊ありますが、それ以外に全く手掛かりがなく、(私にとっては)謎の漫画家さんであります。
 まず言えることは、楳図かずお先生の影響が非常に強く、絵は如何にもそれっぽいです。
 ただし、基本的な画力はあり、グロ描写等、しっかり見せてくれますので、(怪奇マンガ・マニア間では)評価が高いようです。
 んで、この作品、タイトルから想像がつく通り、「吸血鬼もの」であります。
 ストーリーに新味はありませんが、なかなかにサスペンスフルな展開で読ませます。
 特に、「寝込んでいるまゆみが、母親にカーテンの陰に隠れている恵子を母親に教えようとしても、声が出ず、襲われる描写」など、かなりのトラウマ度です。
 恵子の徐々に怪物化する顔面も丁寧な描き込みで、いい仕事しております。
 個人的には、ラテン系な濃い顔つきの恵子さんがなかなかいいキャラだと思っております。

 本編の後には、斉藤守弘・文/菅原亘・絵にて「ほんとうにあった…きゅう血鬼の話」という文章が載っております。
 あまり子供向けには思えない、ヘビーかつグロい話ばかりで、民話のようにほんわかしたところは一片もありません。
 この一冊のせいで、吸血鬼が見事にトラウマになってしまった子供が多数なのではないかと思われます。

・備考
 状態、悪し。読み癖あり。本体が表紙から取れかかり。

2017年4月16日 ページ作成・執筆

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