「土曜漫画 1969年3月14日号」(80円)



 個人的に、気になった作品

・田中八郎「乳房の紅太郎 完結編」
「お咲という娘が博打の借金のかたに女郎屋に売られそうになる。
 そこに通りがかった紅太郎、早速、ヤクザ相手に喧嘩を売るが、女の身の故、太刀打ちできない。
 逆にやられそうになったところを、ある浪人に助けられる。
 浪人は、お咲と父親に二両を渡し、どこか他の場所で暮らすよう勧める。
 紅太郎は、浪人の男っぷりに惚れ、彼に抱かれていいと考えるが…」

・岩浪成芳「恐怖の谷」
「毒ガスや細菌学の権威である黒田博士。
 彼は二十年前に引退し、今は殺虫剤の研究に取り組んでいた。
 ある日、政府の関係者が、彼に化学兵器の研究を依頼する。
 実は、黒田博士は世界大戦中、化学兵器の開発に従事しており、今もひそかに化学兵器の開発を続けていた。
 その中でも、自慢の一品は、青酸ガスの数百倍の毒性を持つという液化ガス。
 政府の関係者はそれに目を付け、博士に無断で持ち出し、別荘下の谷にそれを撒いて人体実験を試みるのだが…」
 「宇宙人」「侵略エイリアン」と並んで、岩浪作品によく出てくるのが「マッド・サイエンティスト」。
 この作品も「マッド・サイエンティストもの」の範疇に入りますが、実験動物の描写がかなりひどく、印象に残ります。
 こうして見ると、岩浪先生には「フリークス趣味」もあった模様です。(「マッド・サイエンティスト」と「フリークス趣味」は表裏一体ではないでしょうか。)

・篠原節「大和大峯山の恐怖」
「奈良県の大峯山にやって来た男。
 母子堂を過ぎ、竜泉寺の境内に湧く池で身を清めた後、行者の案内で大峯山を目指す。
 途中、男は「西のノゾキ」で、行者に詰問されるが…」
 この作品で興味深かったのは、「西のノゾキ」でのマゾヒストの記述。(下中央の画像を参照のこと)
「(…)マゾヒスト(…)の連中はわざと暑いとか何とかいって上半身裸になり、ロープがはずれるとこわいとかいって後手にきつくしばられたりする。
 そして、わざと行者をしげきする様な返事をして、ぎゅうぎゅういう目にあわされているが、その顔にはよろこびの色さえある。」とのこと。
 半世紀も前にも、こんなバチ当たりな連中がいたことに感銘を覚える。



・いばら美喜「戸隠余情 第三部完結編」(この回しか読んでいないため、どのような話か不明)
「屋代の藩主成光が猪狩りに出た日、新三郎の妻、梢の左目から血が噴き出す。
 梢は「矢が…」と呟き、戸外に走り出るが、女の脚とは思えない程、早い。
 新三郎は血の跡をつけると、その先には、殿のお供だった藩士達が八つ裂きにされて果てていた。
 生き残った侍が言うには、鬼女に襲われたということなのだが…。
 梢の正体とは…?」

2019年10月5日 ページ作成・執筆

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