「恐怖の快楽 1997年4月号」(1997年4月1日発行)

 収録作品

・小野拓実「悪夢の始まり」
・折井いずみ「暗闇に潜む影」
・葉月せい「計算違い」
・池田可嵐「恐怖天国」
・岸本加奈子「獲物」
・川端みどり「運命の行方」
・かとう・えむ「口から出た魚」
・沙東彗「子猫の引力」
・神田森莉「結婚式は血の海」
・坐磨屋ミロ「蛇を飼う女」
・佐々木彩乃「夢の警告」
・桜庭あさみ「愛と演技」
・松下容子「薬子ちゃん」
・和木はるか「邪魔な女」
・秋山紅葉「表皮美人」
・真田魔里子「我執」
・花堂元美「プロポーズ大作戦2」
・村祖俊一「橋姫」
・なかのゆみ「好かれる男」
・下呂河童「Nekrophilie」
・松森茂嘉「辺境の村」
・谷間夢路「変な男ども」
・おとくに桃「こぶ・たぬ・きつ・ねこ?」
・つるま里子「派閥」
・小津哲也「夢」
・高塚Q「カレーライスとラーメンの女」
・高見亜紗「迷惑な女」
・大川みゆき「女なんか」
・黒木理加「そんなもの」
・秋野佳人「晴れ・時どきミステリー」

 個人的に、心に引っかかった作品。

・神田森莉「結婚式は血の海」
「FカップのOL。
 彼女は常に男どもから、欲望の視線を浴び続けてきた。
 ようやく素敵な男性と巡り合い、婚約までこぎつけたものの、彼女に男を取られた同僚の仕掛けた罠にはまってしまう…」
 OLが復讐の際に言う、「あたしに言うべきなのは、『助けて これ以上どこも切断しないでっ…』よ!!」は名セリフだと思います。

・村祖俊一「橋姫」
「京から美濃(岐阜県)に向かう武士。
 彼はある橋のたもとで、美しい身分の高い女性から、ある箱を託される。
 その箱を美濃にある橋で待っている、自分の妹に渡して欲しいと言われるが、中を見ることを禁じられる。
 旅の途中、好奇心がわいて、武士はその箱を開いてしまう…」

・松森茂嘉「辺境の村」
「旅をする僧。
 彼が宿を請うた村では、葬式の夜、喰人鬼が出て、死体がなくなると言う。
 それを聞いて、旅の僧は死体の前で経を唱えることにするが…」
 なかなか強烈な絵です(特に、眉毛)。無意味なエロ描写がありますが、あまりに娘が骨太で、色気のかけらもありゃしません。味わい深いです。

・小津哲也「夢」
「平凡な主婦は、眠りにつく度に、中国の宮廷で皇帝に犯される侍女の夢を見る。夢の中で彼女は跡継ぎを巡る争いに巻き込まれ…」
 よくある「胡蝶の夢」パターンの物語ですが、ラストがあまりにも陰惨なので、記憶に焼きついております。

・高塚Q「カレーライスとラーメンの女」
「働く気もなきゃ、ゼニもないサラリーマンの男性。営業成績はだんとつで最下位。
 彼はただただ空きっ腹を抱えて、喰うことだけを考えて生きる…」
 個人的に傑作だと考えている「ごはん貧乏」の姉妹作なのでしょうか?
「痩せの大食い」を活写しえた、稀有な作品なのではないかと考えております。

・備考
 表紙に折れあり。小口にシミあり。

平成27年2月8・9日 ページ作成・執筆

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