「恐怖の快楽 1997年9月号」(1997年9月1日発行)

 収録作品

・葉月せい「戦慄」
・伊東倫智「臨月」
・児嶋都「あの女は壁の中」
・南よちよ「我慢できない」
・永矢洋子「先生の子供」
・宇井野りお「Bad Fish」
・下呂河童「少女幻想」
・池田可嵐「恐怖天国」
・和木はるか「恐怖の殺人鬼C」
・甲斐今日子「幸せは不幸の入口」
・坐磨屋ミロ「胎児の夢B」
・花堂元美「ああっカンちがい」
・神田森莉「カニおんな」
・桜庭あさみ「血脈」
・細谷知世「マリモ・ミラクル・シャワーC」
・かとう・えむ「三人」
・はらだ蘭「スリープ」
・おとくに桃「こぶ・たぬ・きつ・ねこ?」
・佐々木彩乃「死にたい人」
・小津哲也「双子の血」
・岡映子「呪縛」
・高見沢神賛「権力者」
・つるま里子「清潔家族」
・折井いずみ「人生の落とし穴」
・松下容子「薬子ちゃん」
・高塚Q「ごはん貧乏」
・谷間夢路「結婚百怪談B」
・黒木里加「なんにもしない…」
・真田魔里子「ワン・ツー物語」

 個人的に、心に引っかかった作品。

・下呂河童「少女幻想」
「タイトル通りで、ストーリーはほとんどありません。」
 ハンス・ベルメールの影響が濃いです。このあたりのマンガのことはよくわからないのですが、「耽美」なんでしょうか?

・坐磨屋ミロ「胎児の夢B」
「赤ん坊が欲しい人妻は、排卵誘発剤を使って妊娠するが、三つ子がくっついた奇形児が産まれる。
 産婦人科医は奇形の二人を分離切除して、まともな赤ん坊だけを残すが、水子の霊が妻に憑いてしまうのだった…」
 独特の絵が、味があって、好きです。

・神田森莉「カニおんな」
「カニを溺愛する甲田裕子は資産家のお嬢様。
 彼女には青山という婚約者がいたが、彼は牧ひづるというソープ嬢に心を奪われる。
 彼に捨てられ、憎悪の塊となった女社長は、ひづるを誘拐し、カニのフルコース責めにする。
 二週間後、青山は裕子の邸に呼ばれるのだが…」
 神田森莉先生の代表作の一つです。
 これを最初に読んだ時、正気を疑いました。これを描く人も、こんなマンガを載せる会社も…。
 今はもうすっかり慣れちゃいましたが…。

・高塚Q「ごはん貧乏」
「エレベーターの故障で、エレベーター内に閉じ込められた、サラリーマン、人妻、女子高生。
 そこで、彼らがそれぞれ抱える飢餓地獄が明らかになる…」
 この本を読んだ時に、神田森莉先生とともに、最も強烈な印象を受けたマンガがこれでありました。
 今読み返しても、そのインパクトは色褪せるものではありません。
 真に「個性的」な、他に類を見ないマンガであろうと思っております。

 今となっては十五年以上前のことになりますが、私が最初に読んだ「恐怖の快楽」であったように思います。
 古本屋でこの本を入手して読んだ時、あまりの衝撃に、開いた口が塞がりませんでした。
 それまでレディコミなんてものは読んだことがなく、風変わりな怪奇マンガ雑誌ぐらいに思っていたら、「エロ・グロ・ナンセンス」を極めた、世紀末にふさわしい世界がそこに展開していたのであります。実際、私の知る限り、ここまで悪趣味なマンガ雑誌はなかったように思います。
 当時、興味を持って、ほんの少しだけ集めたのですが、雑誌はどうしてもかさばるので、本屋でものを見かけても見送るということが度重なり、いつの間にやらすっかり見なくなってしまいました。(同じような経験は皆様もありませんか?)
 当時、もう少し本腰を入れて集めておくべきだったと、自分の先見の明のなさにがっかりきている次第であります。

・備考
 表紙に折れ、汚れ、痛みあり。全体によれよれで、状態悪し。

2015年2月10日 ページ作成・執筆
2022年11月29日 加筆訂正

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