「漫画Q 1967年11月15日号」(第43号/80円)



 個人的に、気になった作品

・近藤謙・作/島竜二・絵「セクシー怪獣シリーズ 女食怪獣ウルトラチン登場」
「秋晴れの日、東京後楽園球場で日本シリーズが行われる。
 阪急のピッチャー、米田、対するは巨人のバッター、柴田。
 米田がボールをグローブの中でこね回していると、ボールが突如、膨れ上がり、真っ二つに割れる。
 中からは奇妙な怪獣が現れ、選手を次々と太い胴でなぎ倒し、観客席に乗り込むと、女性客をその胴で田楽刺しにする。
 警官は怪物に向かって銃を発射するものの、怪物は胴の根元に密生している毛を逆立てて胴を覆い、銃弾を跳ね返してしまう。
 鱈博士はこの怪物の正体を調べ、「ウルトラチン」であることが判明。
 「ウルトラチン」は中国の奥地に棲む「珍宝」が水爆実験により変化してもので、米田選手が持っていたのはウルトラチンの卵であった。
 鱈博士はツブラナ・プロで製作考案した人造人間ウルトラ・エイトをウルトラチンに立ち向かわせるのだが…」

・歌川大雅「ぬめ肌捕物帖第三十三回 ぎやまん風呂の惨劇」
「お枕むすめは江戸で評判の女目明し。
 ある夜、お枕むすめと駒吉が見回りをしていると、幽霊坂で人魂を目にする。
 人魂は徳川乳姫のお邸から飛び来ていた。
 徳川乳姫は前々将軍の娘で、良人の大名は死別して以来、年をとらず、今は五十歳という噂なのに、その肌はみずみずしく美しかった。
 そして、若さの秘訣はギヤマン風呂に入り、オランダ渡来の妙薬を肌に塗るためと噂されていた。
 ふと気づくと、お枕むすめの姿がない。
 駒吉が彼女を捜していると、再び人魂が現れ、彼は慌てて駕籠の行列にとび込んでしまう。
 その行列は徳川乳姫の一行で、駒吉は捕らえられ、乳姫の邸に連れて行かれる。
 彼がそこで目にした乳姫の不老の秘密とは…?」

・黒田みのる・画/大岡哲郎・作「オレは死なない!!」
「Q病院に勤める医者の桜井は不老不死の研究をしていた。
 彼によると、霊魂を吸いとると不老不死になれるというが、、臨終した患者の霊では効果がない。
 どうやら寿命が尽きて死んだ人間の霊魂は「死霊」で、「生霊」でないとダメらしい。
 そこで、彼は夜、女性に声をかけると、自宅に誘い、全身をバラバラにする機械にかけて、殺害する。
 そして、殺した後、人体から出る霊を呑み込むと、死体を町に捨てる。
 だが、彼が七人目の犠牲者を家に誘った時…」

 「女食怪獣ウルトラチン」は最も最初期の「ウルトラマン」のパロディではないでしょうか?
 だからと言って、作品の価値が上がるわけではありませんが…。
 黒田みのる「オレは死なない!!」はオカルト漫画の源流の一つと言えるかもしれません。
 冒頭に「死の瞬間、患者の体がわずかながら軽くなった」とか「赤色フィルターで死ぬ瞬間を観察すると、体を取り巻いているガス体が球状になって体から離れた」といった心霊的知識が紹介されております。
 ただし、ストーリーは荒唐無稽で「霊魂を呑み込んで不老不死」ですから、やっぱり、黒田みのる先生は黒田みのる先生なのでありました。

2025年5月3日 ページ作成・執筆

雑誌/付録・リストに戻る

メインページに戻る