高階良子「戦慄の殺人事件簿」(2009年9月号 別冊付録)

 収録作品

・「無花果殺人事件」(「ミステリーボニータ」2003年4月号)
「私立柳沢高等学校。
 一年生で文芸部の内海亜紀は須賀野先生に一目惚れをしていた。
 須賀野は陰気で、人を寄せ付けない雰囲気があり、昼休みには一人、校庭の隅で無花果を食べていた。
 彼によると、自宅の庭に大きな無花果の木があり、三年前まではよく取れたが、最近は取れなくなっているという。
 ある時、亜紀は何故自分が須賀野に惹かれるか考えていて、姉のことを思い出す。
 姉の沙紀は亜紀が小学生の頃には大学生で、彼女が好きだった大学の先輩が須賀野であった。
 その姉は何かに悩んでいて、行方不明になるが、靴と上着が海に面する断崖に残されていたため、自殺とみなされる。
 父親は沙紀の死について何かを知っていた様子であったものの、何も語らないまま、病気でこの世を去っていた。
 ある休日、亜紀は須賀野の家を訪問する。
 彼女が須賀野に告白すると、彼も彼女のことが好きだと言って、姉の沙紀について言及する。
 須賀野は沙紀を「命かけて愛し」、彼の中で永遠に生きていると涙を流す。
 姉の沙紀の死の真相とは…?」

・「バラ色の悲劇」(「ミステリーボニータ」1990年No.11)
「大学四年生の今泉螢は、宇津木志保から手紙をもらう。
 宇津木志保は螢の憧れの先輩で、誰よりも美しく、また、誇り高く、学園の女王様であった。
 高校に入学したての頃、螢は志保に気に入られ、親しく付き合っていたが、志保は大学卒業後、資産家の宮坂氏に嫁ぎ、それ以来、会っていない。
 螢が手紙を開けると、あの志保女王が螢に助けを求める内容で、ショックを受ける。
 そこで急遽、冬休みを利用して、螢は宮坂家を訪れる。
 三年ぶりに会った志保はすっかりやつれ、以前の精気はどこにも感じられない。
 志保に乞われ、螢は宮坂邸に滞在することとなる。
 志保は夫の宮坂久也と全くうまくいっていなかった。
 というのも、久也は、裏で手をまわして、志保の父親の事業を窮地に陥れ、志保と家屋敷を手に入れたからであった。
 かつてバラ屋敷と呼ばれていた邸は今、バラを全て引き抜かれ、一本もない。
 志保はバラ屋敷を取り戻すことを夢見るが、毎夜、彼女は何者かに命を狙われていると怯えていた。
 螢は志保が徐々に精神の変調を来しているのではないかと心配するのだが、実はその裏には…」

 高階良子先生が選んだ「花にまつわる作品」を二編収録した付録本です。
 無花果についての説明やバラの花言葉を解説するページが付け加えられております。

2024年4月14日 ページ作成・執筆

雑誌・付録・リストに戻る

メインページに戻る