古賀新一・岸本修・谷ゆきお「恐怖まんが三人集」
(少年ブック夏休み増刊号ふろく/1967年8月20日発行)
・古賀新一「のろいの蛇一族」
「二宮少年と他四人の少年はある沼にキャンプに来ていた。
日が暮れる頃、沼に釣り糸を垂らしていると、沼の中で泳いでいる少年がいる。
彼は蛙を捕っては、バケツに集めていた。
二宮少年は彼が、昔同じクラスだった芳男であることに気付き、呼びかけるが、彼は走り去ってしまう。
彼の後を追うと、古ぼけた屋敷があった。
そこで、奇怪な容貌の召使いに襲われるが、芳男に助けられる。
芳男は彼らに早く出ていくよう言うが、彼の父親が彼らを家に招き入れる。
どう見ても芳男の様子はおかしく、少年達は父親に知らせに行く。
だが、彼の父親は、この館が原因の「病気」にかかっており、半ば蛇と化していた。
芳男も同じ病気で、この病気の末路は完全に蛇になってしまうという。
少年達は夜をこの屋敷で過ごすこととなるのだが…」
・岸本修「死神部落」
「五か月前に疫病が流行り、村民が全滅した部落。
そこに、大黒屋、泉屋、剣の名手の典膳、銀次とその部下のとめ公の五人がやって来る。
彼らは村の名主、九鬼一伝斎の財宝のありかを記した図面を探していた。
彼らが村に泊まった最初の夜、泉屋が野犬に首を喰いちぎられて、死ぬ。
また、見張りに立っていた、とめ公も同じ死に方をする。
銀次は山犬らしきものを追うが、それは人間であった。
銀次はそいつに銃弾を撃ち込むも、首吊り死体となって発見される。
この村に潜む者とは…?」
・谷ゆきお「冷血博士」
「アメリカ、マサチューセッツ州のボストン。
外科医のベリック・アーサーは、人間の身体に動物の身体を移植することにとり憑かれていた。
彼は夜更けに人を誘拐しては、改造実験のモルモットにする。
息子のジムは、父親の所業を忌み嫌うが、父親は頑としてやめようとしない。
ある日、ジムは轢き逃げにあう。
その場にいあわせた邦彦はジムの父親に連絡し、手術の助手を勤める。
しかし、ジムは脳にひどい損傷を負っていた。
そこに、脱獄した死刑囚、カール・クレイが現れる。
クレイは警官の発砲を受けており、その場で絶命。
ベリック・アーサーはクレイの脳をジムに移植して、ジムの命を救う。
だが、クレイの脳はジムの身体に勢力を伸ばし始めていき…」
ベテラン作家の作品が三つ、収録されております。
どれも(良い意味で)渋い出来ですが、ベストは「奇想炸裂!!」な谷ゆきお先生「冷血博士」でしょう。
すがすがしいまでの「マッド・サイエンティストもの」で、内容は凄まじいゲテモノです。
ただし、たとえゲテモノでも、胸躍るぐらい面白いのが、谷先生の凄さだと私は思っております。
2021年8月9日 ページ作成・執筆