古賀新一「のろいのねむり 白い眼の少女」(りぼん4月号付録/1968年4月1日発行)

「可奈は養女として引き取られた先は、山奥の墓場で火葬場を営む、中年夫婦であった。
 中年夫婦は可奈に優しく接してくれるものの、やはり気味が悪い。
 この中年夫婦には秘密があった。
 山奥での寂しい暮しに耐えかね、引取人のない死体を屋根裏に集めて、家族同然に生活していたのである。
 中年夫婦は新生活のために、屋根裏に集めた死体を焼こうと考える。
 しかし、それを恐れた死体達は、可奈に家から出ていくよう迫る…」

 個人的には、ブラック・ユーモア炸裂の「奇妙な味」の佳作だと考えております。
 死体と家族同様に生活していた中年夫婦のやけに含蓄に富んだセリフや、個性溢れる死体の面々(表情がとっても豊か!!)等、味わい深過ぎます。
 最初期に描かれた「ゾンビ」マンガの一つと言っても構わないでしょう。

 ひばり書房黒枠にて出された「けだもの屋敷」にて再録されておりますが、その際、若干の変更点が見られます。
 まず、倫理的に問題があると思われた箇所が二点ばっさり削られております。
・火葬場を見て、嫌悪感を示す可奈に、隠坊の妻が「そりゃわたしだってさいしょはいやだったよ でも長い間には魚でも焼いてるような気持になるのよ」と話すシーン。
・陰坊夫婦が死体を窯に入れながら、「すばらしい金歯がそろっている 焼けたらいつものようにいただくことにしよう」と会話するシーン。
 う〜ん、「りぼん」でよく掲載することができましたね、この描写…。
 そして、ラスト、セーラー服姿の可奈からこの話を聞いて、女友達があれこれ言う1ページが、再録時には、削除されております。(不必要と判断されたのでしょう。)

2016年10月21日 ページ作成・執筆

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