森由岐子「AB型血液恐怖の黒髪屋敷」(1986年6月15日第1刷・1987年12月15日第2刷発行)

「T市内にある中学校の三年生、霧島ゆかり。血液型はAB型。
 彼女は、親友の筒見愛に誘われ、心霊研究部に入っている。
 他の部員は、中川初子と森本舞子だけの計四人。
 ゆかり以外の部員達は霊現象のレポートと心霊写真を撮りたいと常日頃、願っていたが、そんな彼らにうってつけの相談が持ち込まれる。
 相談者は隣のクラスの伊集院真利花で、彼女の新築した家で霊現象が起きると言う。
 しかし、父親は頭がおかしくなり入院し、母親は知人に相談すると家を出ており不在、しかも、使用人が皆辞めてしまい、彼女は今、家で一人きり。
 そこで、夏休みに入ったこともあり、心霊研究部の面々は、真利花の家に滞在することとなる。
 予想以上の豪邸で幽霊なんか出そうになかったが、霊を信じてなかったゆかりが真っ先に怪異に遭遇する。
 夜、風呂場で髪を洗っていると、湯船に何物かの気配があり、流し場にごっそりと黒髪が落ちていたのであった。
 怪異はそれだけにとどまらず、夜更け、ゆかりの枕元に着物姿の若い娘の幽霊が現れたり、朝、目覚めると、初子の顔が理由もなしに醜く腫れたりする。
 一転して霊を信じるようになった、ゆかりは霊現象を徹底的に調査することを決意。
 まず、建築会社に問い合わせると、新築する際に、潰された旅館の建築材を使用したと聞かされる。
 その旅館があった場所に行き、地元の人に聞き込みをすると、その旅館は昔、松風楼という妓楼であったことが判明する。
 そして、当時、そこで使い走りをしていた老婆から、遊女達の凄惨な生活について教えられる。
 いまだ浮かばれぬ遊女達の霊を鎮めるには…?」

 「血液型恐怖シリーズ」のAB型編は「幽霊屋敷もの」です。
 でも、本作の見所は、途中で挿入される、50ページに及ぶ「遊女残酷物語」だと思います。
 かなり陰惨な内容で、手垢のついた幽霊屋敷のストーリーなど、一発で霞ませるほど、鬱です。
 後にレディース・コミックに活躍の場を移した森由岐子先生ですが、あの手の内容に実は水が合っていたのではないか?と考えてます。
 あと、風呂場で霊現象が起こるため、入浴シーンが多めです…が、個人的には、色気があるとはちと言い難いです。

2019年1月23日 ページ作成・執筆

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