斉藤栄一「悪霊の歌が聞こえる」(1986年12月15日第1刷発行)
「永井亜美はオーケストラ部所属の中学二年生。
担当はバイオリンで、後輩の指導を受け持つ倉沢光治に憧れを抱いていた。
ある日、亜美は、巷で大人気の松本あきらのカセットを、友人の勧めで聴く。
とたんに亜美は攻撃的になり、無意識のうちに、一暴れ。
そのことを亜美の記憶に全く残らず、素敵な音楽と思っただけで、亜美は松本あきらのにわかファンになる。
翌日、亜美は部活の用件で倉沢先輩の自宅を訪れる。
亜美が持参した松本あきらのカセットを聴くと、倉沢先輩は顔色を変え、松本あきらに会うためにテレビ局に向かう。
そこで、亜美は松本あきら本人に名前を聞かれ、有頂天。
しかし、倉沢先輩は浮かぬ顔で、松本あきらは悪霊憑きだと呟く。
以来、亜美の周辺では奇怪なことが立て続けに起こる。
だが、際どいところで、亜美は倉沢先輩の声により助けられる。
実は、倉沢先輩は超能力者で、松本あきらがプルソンという悪霊に憑りつかれていることを見抜いていたのであった。
プルソンは「音楽を通して、人々を邪悪な道へと導く、恐るべき悪霊」であった。
これ以上の被害を食い止めるべく、亜美は、倉沢先輩と共に、プルソンに立ち向かう…」
チャック・ベリーは「ベートーベンをぶっとばせ」(「Roll Over Beethoven」/ELOのカバーがいい!)と歌いましたが、それに対するクラッシック側からの返答なのでありましょうか?(テキト〜言ってます。)
「ヴィジュアル系(悪魔)」(注1)vs「クラッシック音楽(天使)」対決を描いた、恐らく唯一のマンガであります。
しかも、ネタばれですが、ラスト、(エア・ギターならぬ)エア・バイオリンで悪魔をやっつけちゃってます。
どうも「クラシック音楽」=「良い音楽」という安直な図式に則っているのが鼻につきますが、作者の斉藤栄一先生はビートルズが最高と巻末に書いております。
フランク・ザッパは、インタビューで「クラッシック音楽とロックのどちらが優れているか?」と問われ、「同じものの別の側面に過ぎない」と即答したとのこと。(何かの記事で読んだのですが、うろ覚えです。出典がはっきりしてなく申し訳ない…。)
まあ、人間、好きなものを聴けばいいのであります。(また、好きな音楽をいくらでも追及できる時代でもあります。)
ちなみに、このマンガにあやかって、この稿を書く際、イゴール・ストラヴィンスキー「春の祭典」のCDをかけておりました。
う〜ん、暴れ太鼓だぜい!!(悪霊を退散させる時には、フル・ボリュームで流すことにいたしましょう。)
・注1
「聖飢魔U」あたりが作者の念頭にあったのでしょうか?(このバンドに関しては、ほとんど知りません。)
もっと古くなると、アメリカ合衆国に1960年代末期〜1970年代初期(?)に活躍した、悪魔趣味丸出しのバンド「COVEN」とかありますが、これに関しても、大して知識はありません。再発のCDは出ているのでしょうか?
2016年11月18日 ページ作成・執筆