槙村ただし「悪魔のタロットカード」(1984年5月15日第1刷・1985年7月15日第3刷発行)

「槙本真美佳はタロットカードの占い好きな女子高生。
 ある日、同じくタロットカード仲間の千田江利子と下校途中、道端でタロットカードを拾う。
 そのカードに心乱されるものを感じた真美佳は、いとこの十字架(くるす)光のもとを訪ねる。
 光は占い師をしていて、オカルトショップを開いていたが、その姿は交通事故により二目と見られないと真美佳は耳にしていた。
 悪魔の仮面をかぶって応対する光に、ちと引きながらも、二人は拾ったタロットカードを見せる。
 二人には素敵なものに見えたタロットカードも、光には薄ら汚れ、気味の悪い代物であった。
 タロットカードを処分しようと言う光に、江利子は自分のものと猛反発。
 光は御守用にペンタグラムのペンダントを渡すが、江利子は川に投げ捨ててしまう。
 翌日、真美佳達のクラスに、亜羽戸(あばど)優という男子生徒が転校してくる。
 イケメンな優に江利子は一目惚れかつ急接近するが、彼女の心に影が差す。
 昨夜、あのタロットカードで占いをした時に、恋人を奪われるという結果が出ていたのだった。
 優を奪われたくない一心から、優に接近していた女子生徒に江利子は、タロットカードの悪魔のカードを用いて、呪いをかける。
 その呪いが通じ、女子生徒は惨死。
 だが、願いが叶った代わりに、江利子は悪魔にその代償を払うこととなる。
 また、悪魔の狙いは、真理佳にも及ぼうとしていた。
 十字架光とその弟子、橋本妖子は悪魔を阻止しようとするのだが…。
 悪魔の正体とは…?
 そして、若い女性ばかりが犠牲者となる連続バラバラ殺人事件の目的とは…?」

 立風書房の恐怖コミックには、永井豪先生に関連した漫画家さんが幾人か描いております。(槙村ただし先生の他には、安田タツ夫先生と斉藤栄一先生。)
 どの作品も、絵柄も内容も安定していて、水準に達しておりますが、個人的に最も出来がいいと思うのは、この作品です。
 とっても面白いです、この作品。
 如何にもダイナミック・プロらしい作品で、子供向けにマイルドにされているのかと思いきや、グロ描写がハンパないのです。
 人体のパーツを集めて、人間をつくるという猟奇描写(注1)や、巨大なハサミでの首切り、超能力少女が股裂きにされて、内臓を飛び散らかすシーン等、トラウマ度はモ〜レツに高め。
 か〜つ、女の子の裸(皆、発達よし!!)がやけに多いというダイナミック・プロ仕様であるのも、感動の一言です!!
 当時、この作品を手にして、グロ描写にビクつきながらも、女の子の裸があるページを食い入るように見つめていた小学生男子も多かったのではないか?と推測しております。(そこの貴方、身に覚えはありませんか?)

 んにしても、読み終わって思ったのは、この十字架光ってやつが、最初から素顔をさらしていたら、もっと被害は少なかったのではないか?ということ。
 素顔はハンサムなのに、何故、ラスト近くまで、人に警戒心を抱かせるようなサタンの仮面をかぶっていたのか、謎であります。

・注1
 人体のパーツを集めて、理想の女性をつくるというアイデアは、外国の推理小説に元があるようです。
 海外・国内の推理・怪奇・冒険小説を漫画化していた「TOMOコミックス」(主婦の友社)での、鳴神俊(実は、村祖俊一先生)「悪魔のアイドル」が、そのような内容であります。(ただし、原作者はテキト〜かも…。)
 この手の話となると、アンディ・ウォーホルが制作した「悪魔のはらわた」というフランケンシュタイン映画がありますが、個人的には「ブラッド・ピーセス 悪魔のチェーンソー」ですね。
 映画としては、首を捻りたくなるような出来ですが、「チェーンソーを凶器に据えたスプラッター・ホラー」という括りをつけると、とたんに五指に入る傑作になります。

2016年11月21日 ページ作成・執筆
2017年1月4日 加筆訂正

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