西崎正「幽霊学級」(1982年4月15日第1刷・1984年9月15日第8刷・1988年7月15日第14刷発行)

「青葉中学一年C組、岡本夕子。
 彼女は、父親の仕事の都合上、六月に隣町から転校してきた。
 新聞部に所属はしていたが、夏休みに行われる地区陸上大会の選手に選ばれ、放課後はその練習に励む。
 青葉中学校では、古い校舎を記念館として、図書館やクラブの部室として利用していたが、幽霊が出るとの噂があった。
 練習の後、夕子は図書館に行くと、机に座っていた少女がいつの間にか消えるという体験をする。
 また、教室や家の自分の部屋でも、その少女の姿を目にする。
 更には、その夜、湖からその少女が現れ、湖の中に引き込まれるという夢まで見る。
 明くる日は、その傾向に拍車がかかり、至る所で、夕子は少女の幽霊を見ては、大騒ぎ。
 夕子の言葉は誰も信用してくれず、人間関係にヒビまで入ってしまい、彼女は孤立する。
 だが、そんなこととはおかまいなく、遂には、授業中や新聞部の部室でポルターガイスト現象や心霊現象まで起きる。
 夕子の担任の山城先生は、夕子の言葉を信じ、霊能者に頼んで、学校を霊視してもらう。
 顔の半面に火傷の痕がある少女の正体とは…?」

 浜慎二先生の作品の影響が強い作品と思います。(「幽霊が泣く教室」あたり?)
 ストーリー展開とか幽霊の描写とか、非常にそれっぽく、そのためか、内容は地味ですが、読みやすいです。
 ただ、ヒロインは小学生がメインの浜慎二先生の作品と違い、この作品のヒロインは中学生のため、周囲の風当たりがキツいです。
 幽霊を見ては騒ぎ立てるヒロインに対し、周囲が全く無理解なため、孤立無援となる様は読んでいて、ちょっと気の毒…
…なはずなのですが、個人的には、ヒロインがあまり好みでないので、大して感情移入してなかったりします。(このヒロインが「理想のタイプ」だった人にはごめんなさい!!)
 ラストのクライマックス、ヒロインが幽霊にプールに引きずり込まれそうになるシーン(p178)なんか、あまりに緊迫感に欠けて、スンマセン!!、読む度に噴いてしまいます。
 まあ、絵は好みがありますので、さておいて、学校の怪談を扱った作品としては、それなりの出来なのではないでしょうか?
 オーソドックスな内容ですが、奇をてらったものよりはガキんちょにアピールしたらしく、かなり版を重ねております。
 最後に、作者の西崎正先生については詳しいことはわかりません。
 後ろの袖に載っている自画像から判断する限り、朝が弱そうです。(作品の内容よりも自画像の方が印象に残るような気がします。)

2017年5月29日 ページ作成・執筆

立風書房・リストに戻る

メインページに戻る