北沢しげる「夜歩く死体」(1977年11月15日第1刷・1983年7月15日第14刷・1984年7月15日第16刷発行)

「十八世紀末期の英国、北イングランド地方。
 近付く人とて滅多にない森の奥にある、古びた館に、人形遣いの老人が一夜の宿を求めて訪ねてくる。
 その館には、フランケンシュタイン博士、助手のピーター、小間使いのアンナの三人が住んでいた。
 博士は、老人を追い返すように言うが、ピーターとアンナの口添えにより、老人は館で一夜を過ごすことになる。
 アンナは老人と意気投合し、彼女は胸の不安を老人に打ち明ける。
 それはフランケンシュタイン博士とピーターが決して内容を打ち明けない研究に関するものであった。
 その夜、アンナは博士達の秘密を知ろうと、思い切って実験室のある地下室に忍んで行く。
 すると、そこには、頭に包帯を巻き、悪鬼のような形相をした大男がアンナに掴みかかって来る。
 その大男は、つい最近、事故死した見世物小屋の力自慢の男であった。
 そう、フランケンシュタイン博士は死体を蘇生させるための研究をしていたのである。(当然のことながら。)
 間一髪のところで、ピーターが駆けつけ、アンナは館を去る決意をする。
 しかし、そんな彼女にピーターは何もかける言葉がない。
 そんな時、村で先日、死んだ老人が墓場から蘇えり、人を襲う事件が発生。
 墓守達が博士のもとに死体を運んだり、埋め直したりしていたことがばれて、村人達が館に押し寄せてくる。
 暴徒と化した村人達からアンナを守ろうとして、老人は逆に殴り殺されてしまう。
 フランケンシュタイン博士は、蘇生した大男に老人の脳を移植することに決め、実験は成功。
 しかし、ピーターは、アンナの言葉により、良心を取り戻し、アンナと共に館を去ろうと決意する。
 だが、彼らの前には、フランケンシュタイン博士の悪辣な罠が待ち構えていた。
 そして、博士の最後の実験が始まる…」

 貸本マンガにて描かれた「悪魔が眠るとき」のセルフ・リメイクであります。
 そのためか、内容の完成度は高く、個人的にはかなり好きな作品です。
 見所は、フランケンシュタイン博士に拘束され、身もだえするアンナですかね。(そういうところしか見ていないのがバレバレ。)
 あと、チビっ子達を怖がらせようと、オリジナル・モンスターをたまに描いておりますが、味があっていいです。(p96のセイウチのような牙を下側から生やした、ハゲ男はかなり独特で、どう反応したらいいのかわかりません…。また、カバーの青色のうろこ男も見た目がやっぱりビミョ〜。カバー絵がもっとステキだったら、本作の評価も積極的になったかもしれないのですが…。)
 まあ、古典的な内容で、古臭いと感じる向きも多いと思いますが、良作だと私は思っています。

2016年7月7日 ページ作成・執筆

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