広永マキ「さそり座の少女呪いの微笑み」(1985年4月15日第1刷発行)

「早川礼奈は、両親が仕事で渡米したため、叔母の家に厄介になる。
 いとこのひろしと同じ、私立立風学園に通うこととなり、クラスではトモエという友人もできる。
 トモエに学園を案内された後、ひろしの野球部での様子を見に行った時、植木の中に、さそりを彫り込んだペンダントを見つける。
 そのペンダントを付けて以来、礼奈は、教室の窓ガラスに、見知らぬ少女の姿を見るようになる。
 ある日、礼奈は授業中に調子が悪くなり、保健室で休む。
 奇妙な夢の後、目覚めると、既に放課後で、帰宅するつもりが、いつの間にか美術部の教室に来ていた。
 部長の沢田勇一に誘われ、なりゆきで礼奈は入部するが、めきめきと頭角を現す。
 礼奈は勇一とどんどん親しくなるが、トモエはそれに対していい顔をしない。
 また、礼奈は、もとは美術に関心がなく、自分の絵の才能は何ものかに操られているのではないかと考える。
 ある日、彼女は勇一の家に招かれる。
 勇一は、父親は有名な画伯、母親は美人モデルのサラブレッドと周囲で言われていたが、実際は、非常に孤独な人物であった。
 それを知り、礼奈は彼の絵のモデルになることを引き受ける。
 しかし、勇一がいくら彼女を絵を描いても、それは違う少女の絵となる。
 礼奈の前に現れる、謎の少女の正体とは…?」

 森由岐子先生「血液型恐怖シリーズ」、好美のぼる先生「手相恐怖シリーズ」に追随して描かれたと思しき、「星座シリーズ」第一弾です。
 内容は、「血液型」「手相」と同じく、ストーリーの合間合間に、「星座」の解説があるというものです。
 星座だから、12作品もあるじゃ〜ん!と思ったのも束の間、四作品で広永マキ先生は力尽きた模様です。
 でも、一作目の「さそり座の少女呪いの微笑み」は力が入っていたようで、それなりに読み応えがあります。
 個人的には、ヒロインが好みで、それだけで、かなりポイントが高くなっております。

 あと、この作品には私的な思い入れがあります。(単なる思い出話ですので、興味のない方は読まないでください。)
 20年以上前、私が大阪にいた頃の話ですが、京阪電車の守口駅近くの路地に小さな古本屋がありました。
(もう、あの店はないようです。あの手の昔ながらの古本屋が極端に少なくなって、悲しい…。でも、たまに店主がめちゃくちゃ横柄な店もあったので、仕方ないかな。)
 そこのワゴンセールで、50円で入手したのが、「さそり座の少女呪いの微笑み」と城たけし「呪われた巨人ファン」でした。
 ちょうど唐沢俊一&ソルボンヌK子「森由岐子の世界」に衝撃を受けていたことで、自分の中で怪奇マンガ・ブームが起こり、立風書房やひばり書房の単行本をちまちまと集め出しました。
 とは言え、金がなかった故、黒枠や貸本といったレトロ・コミックの世界には縁はなく、数年後にはレトロ・ゲームに関心が移り、怪奇マンガを本格的に蒐集するのは、ヤ※※クで、松下哲也先生の「怪談まわり灯篭」を入手してからとなります。。
 ともあれ、広永マキ先生「さそり座の少女呪いの微笑み」は、私が怪奇マンガの世界に足を突っ込むきっかけとなった一冊であります。
 他の人には価値はなくとも、私にとってはかけがえのない作品です。

2021年10月23日 ページ作成・執筆

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