安田タツ夫「闇にうごめくドクロ蜘蛛」(1985年11月15日第1刷発行)

「三条麻衣子は、早くに両親を亡くし、肉親は姉のみ。
 姉、三条和美はある地方都市で教師をしていたが、ある日、謎の交通事故死を遂げる。
 姉の死の真相を確かめるために、麻衣子は、姉が教師を勤めていた女子校、聖心学園に入学する。
 その際、彼女は姉の恋人であった司馬先生の家に厄介になる。
 聖心学園では、理事長の娘、牙城麗華が全てを取り仕切っていた。
 美人で聡明であったが、性格は極悪。
 ある日、麻衣子は友人から、姉の死に牙城麗華が関係しているのではないかという憶測を聞かされる。
 牙城麗華は司馬先生にひどく惚れており、麻衣子の姉をどうにか排除しようとしていたらしい。
 そして、実際に、姉の死は牙城麗華の仕組んだことであった。
 麗華の兄はセムシかつ二目と見られぬ容貌をしており、部屋に閉じこもって、蜘蛛に異常な程、情熱を燃やしていた。
 この兄から麗華は、生物の体内に卵を産み付けて繁殖するドクロ蜘蛛を入手し、麻衣子の姉に蜘蛛の卵を産み付けさせ、それが事故の原因となったのである。
 麗華の計略により、麻衣子も、目にドクロ蜘蛛の卵を産み付けられ、顔は化け物のように醜く変貌する。
 麻衣子は牙城総合病院に入院することになるが、あるきっかけから全ての真相を知る。
 以来、麗華の周囲の人間が次々と怪死していく…」

 ダイナミック・プロ仕様「スパイダー・ベイビー」。
 安田タツ夫先生は、ダイナミック・プロで活躍しただけあって、上質な作品です。
 ストーリーのテンポがよく、一気に読ませるのは流石。
 また、印象的なトラウマ描写があるのも、特筆に値するでしょう。
 有名なのは、牙城麗華がフリークな兄からドクロ蜘蛛を手に入れるために、「女の裸がみたくない?」と全裸になって、高笑いをするシーン。(この屈折したエロティシズムは子供達に「性の深淵さ」を垣間見せたことでありましょう…多分…。)
 また、夢の中で、振り向いた姉の顔が蜘蛛でいっぱいの描写は、かなりキます…いや、マジ、危険度は非常に高いので、注意が必要です。
 今現在読んでも充分に面白いので、電子書籍等で気軽に読めるようになったら、いいですね。

2017年5月26日 ページ作成・執筆

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