高園寺司朗「悪魔のバイブル」(1987年8月15日第1刷発行)
「中学生の轟彩音は、天体大好き少女。
夏休み、両親にねだって天体望遠鏡を買ってもらい、長野にある、父親の友人の別荘に出かける。
しかし、彩音はこの別荘が気味悪く感じる。
特に、不気味なのは、裏手にある通風口で、ある時、彩音はその奥で古い本を見つける。
それは「世界の謎 星の色々」という本で、1952年に発行されたものであったが、読む前に、母親に捨てられてしまう。
東京に帰る前夜、彩音の期待に反して、あいにくの雨。
それでも、何か見えないかと、彩音が天体望遠鏡を覗いていると、0時6分、空から星明りが近付いてくる。
それはどんどん大きくなると、人の顔となり、彩音の右目に入り込む。
彩音の悲鳴を聞きつけ、両親が駆けつけるが、彩音の言葉を信じてくれない。
翌日、一家は東京へ帰り、普段の生活に戻る。
だが、8月15日にクラスメート達とプラネタリウムに出かけたことをきっかけに、彩音の周囲で奇怪な出来事が頻発する。
彼女は奇妙な幻覚に悩まされ、また、突然に人が変わったようになる。
家族は彩音が何かに憑りつかれていることに気付くが、その正体とは…?
そして、別荘の秘密とは…?」
キクタヒロシ氏の(個人的)名著「昭和の怖い漫画」(p245)にて指摘があるように、浜慎二先生の影響大な作品です。
前作の「死を呼ぶコックリさん」でも猫が似ているな〜と感じていたのですが、この作品では、後半が浜慎二先生のタッチそのまんまです。
自分の絵柄ではクライマックスが盛り上がらないと判断した結果なのかもしれませんが、なんかいろいろと考えさせられるものがありますなあ…。
あと、ストーリーもイマイチです。
第一、タイトルの「悪魔のバイブル」、実際は星占いの本で、作中の怪奇現象に関係があるのかないのか、はっきりしません。
また、憑依された彩音の顔がボコボコになっているのも、原因は不明です。
でも、ミッキーマウスのぬいぐるみに襲われる幻覚描写は味があっていいと思うな!
2020年1月29日 ページ作成・執筆