古賀新一「悪霊 きつね屋敷」(1975年3月10日第1刷・1983年9月15日第22刷発行)

「夏は短く、冬は長い、厳しい自然の北欧。
 クリスティとリーナは一歳違いの姉妹であったが、しっかり者の姉とは対照に、妹は全くの意気地なしであった。
 過酷な環境故に、両親は厳しくリーナをしつけるが、ぐずぐず泣いてばかり。
 ある夜、業を煮やした母親はリーナを雪の降る外に放置する。
 姉のクリスティは母親に懇願して、リーナのもとに駆け付ける。
 仕方なく、母親が二人を家に招き入れようとした時、狼の群れが二人の襲いかかる。
 父親が猟銃で狼達を追っ払うと、クリスティは奇蹟的に無事だったが、リーナは両足に大怪我をして、不具の身となる。
 七年後、クリスティは美しく、明るい娘に成長していた。
 一方のリーナは、クリスティの誠意溢れる世話にも関わらず、不自由な身のために鬱屈していく。
 加えて、両親の愛を一身に受けているクリスティへの嫉妬から、リーナは自身を狼になぞらえて、クリスティを襲う。
 クリスティは、危害を加えられた仕返しに、リーナに犬の首輪を付けて、拘束する。
 リーナのことでクリスティが途方に暮れている時、雷が家を直撃、全焼する。
 だが、リーナの死体は遂に発見されなかった。
 一家は別の家に住むことになるが、リーナが生きていると信じているクリスティは病の床に臥せるようになる。
 ある日、父親が狩猟に出かけた際に、白い狼を目撃する。
 白狼は魔性の獣と言われており、人間に化けて、人を食い殺すという言い伝えがあった。
 その夜、道に迷った女性が家を訪ねてくる。
 女性はリーナによく似ており、びっこを引いていた。
 クリスティはリーナが記憶喪失にかかっていると思い込み、どうにか記憶を取り戻させようとするのだが…」

 短編「狼少女マリ」と、フレデリック・マリヤットの古典的怪談「人狼」をムリヤリ融合させたような内容です。
 ストーリー的には若干、釈然としない部分がありますが、当時のチビっ子達にとっては、力(リキ)の入りまくった恐怖絵に縮みあがったものでしょう。
 それにしても、普通の家に黒魔術的な絵や置物が平然と置いてあるのが味わい深いです。(p150、p196)

・備考
 カバー、袖の部分をセロテープで貼り付け。

2018年3月19日 ページ作成・執筆

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