牧原若菜「戦慄!おおぐち女」(2007年8月2日初版第1刷・2008年12月20日第6刷発行)

 収録作品

・「戦慄!おおぐち女」(「ちゃおデラックス2006年春の超特大号」掲載)
「さとみはおデブな自分にコンプレックスを抱いていた。
 ダイエットの最中、彼女は公園の芝生に薄汚い人形が落ちているのを目にする。
 口に大きなマスクをはめた、少女の人形にはタグが付いており、それには「身につけるだけでやせてキレイになります」と書かれていた。
 その言葉通りに、人形を身に付けた彼女はスリムとなり、憧れの彼もゲットする。
 だが、人形を捨ててから、彼女は「おおぐち女」の幻を度々見るようになり…」

・「呪魚(じゅぎょ)」(「ちゃおデラックス2006年初夏の超大増刊号」掲載)
「曽根崎瑠美子は容姿・才能共に恵まれた、タカビーなお嬢様。
 彼女は過って、父親の大切にしている巨大な魚を死なしてしまう。
 以来、魚の幻覚に悩まされ、彼女は身も心も魚と化していく…」

・「怨霊ゲーム」(「ちゃおデラックス2006年夏の超特大号」掲載)
「彼氏と喧嘩別れをした真由。
 彼女は公園で薄汚いファミコンのカセットを拾う。
 ストレスの解消のつもりで、彼女は「怨霊ゲーム」というタイトルのゲームをプレイしてみる。
 ゲームは画面に現れる幽霊を退治するアクションで、真由は夢中になる。
 しかし、以来、彼女は奇妙な幻覚に襲われるようになり、ますますゲームにのめり込んでいく…」

・「招きこたつ」(「ちゃおデラックス2007年春待ち超大増刊号」掲載)
「父親の仕事の都合で、田舎の家に引っ越した、ゆかりの一家。
 掘りごたつを初めて知った、ゆかりは、その快適さに大はまり。
 しかし、彼女は掘りごたつから出ようとしなくなり、生活は荒んでいく。
 掘りごたつの秘密とは…?」

・「ソノ顔クダサイ」
「自分の容貌にコンプレックスを抱く藤本志保。
 そのために、想いを寄せる杉浦涼介の後ろの席なのに、積極的に行動できない。
 ある日の下校途中、志保は道端のお面売りから声をかけられる。
 彼の売るお面は、大半がアニメや漫画のキャラであったが、唯一、端整な人面のものがあった。
 無料と言うので、付けてみると、不思議なことにすっかり顔にフィットして、誰もお面とは気づかない。
 志保は、このお面を使って、涼介の心を掴もうと考える。
 だが、このお面には一日、二時間しか使えないという制約があった…」

・「続 おおぐち女」
「梨乃の友人は、大食漢のみずほ。
 事あるごとにばくばく食べて、ぶくぶく太った、みずほを梨乃は内心バカにしていたが、引き立て役として重宝する。
 しかし、ある日を境に、みずほはスリムになる。
 梨乃がみずほに理由を問うと、公園で拾った、薄汚い人形を身に付けてから、痩せたらしい。
 みずほが梨乃よりも注目を集めるようになったことから、梨乃はみずほからその人形を取り上げようとするのだが…」

 個人的な好みを言うと、「呪魚」と「ソノ顔クダサイ」。
 「呪魚」は、伊藤潤二先生からの影響大と見られる巨大魚のビジュアルがズバ抜けて強烈!!
 生理的に不快な描写も多く、魚嫌いの人にはたまらない内容となっております。
 「ソノ顔クダサイ」は、鮮やかな結末で、青春ホラーの佳作だと思います。
 でも、人の顔のお面はなかなかに不気味…。

2018年4月6日 ページ作成・執筆

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