くまき絵里・他「シンデレラは闇に堕ちる 〜本当は怖い世界の童話〜」
(2012年5月2日初版第1刷・2013年5月20日第2刷発行)

 収録作品

・くまき絵里「シンデレラは闇に堕ちる」(「ちゃおデラックスホラー2011年7月号増刊」掲載)
「東京。
 新田れら(しんで・れら)という少女が、意地悪な継母とその娘のまどかと共に暮らしていた。
 ある日、学校でまどかにいじめられているところに、同じクラスで憧れの若王子くんがやって来る。
 これがきっかけとなり、彼女は彼から、彼の父親が経営するホテルで行われるパーティに誘われる。
 しかし、意地悪な継母とまどかは彼女にドレスを貸してくれず、途方に暮れているところ、偶然、通りがかった老婆からドレスを譲ってもらう。
 パーティ会場を訪れた、れらは若王子の姿を捜すうちに、庭で彼が娘を惨殺している場面に遭遇。
 逃げ出したものの、彼女は現場にスニーカーを片方、置いてきてしまう。
 翌日、若王子はこのスニーカーとサイズの合う足の娘を探し始めるが…」

・久世みずき「七色マッチの少女」(「ちゃおデラックスホラー2012年1月号増刊」掲載)
「父親を早くに亡くし、母親に捨てられ、祖母と二人暮らしの少女、込山真朱(こみやま・まじゅ)。
 祖母は気難しく、特に、金に関しては非常に渋い。
 クリスマスが近づく頃、真朱は、金目のものがないか探しに、倉庫に入る。
 そこには、亡くなった祖父が集めたコレクションがしまってあったが、ふと、七色のマッチが目に留まる。
 このマッチは、炎で生物を焼き殺すと、お金を手に入れる方法を教えてくれるのであったが…」

・坂元勲「赤い帽子のカナエちゃん」(描き下ろし)
「女子中学生の赤石カナエ。
 彼女は、隣町に住む祖母の見舞いに一人で出かける。
 途中、怪しい青年に絡まれたり、道に迷ったりしながらも、どうにか祖母の家に到着。
 しかし、家は荒らされ、祖母は先程の青年に殺されていた。
 青年は変質者で、カナエをナイフで刺し殺そうとするが…」

・溝口涼子「おかしな家」(「ちゃおデラックスホラー2012年1月号増刊」掲載)
「口減らしのために捨てられた、幼い兄妹。
 満月の夜、深い森の中で、二人はお菓子で出来た家を見つける。
 その家の女主人、ゾエは二人をここに住んでいいと言うが、彼女は正体は魔女で、しかも、子供の肉が大好物。
 しかし、健気な二人に、ゾエは調子が狂いっぱなしで…」

・明野みる「眠り姫」(「ちゃおデラックスホラー2012年1月号増刊」掲載)
「転校生の志田瑠奈はしばしばひどい睡魔に襲われる。
 そのせいか、三か月も経つのに、学校に慣れず、クラスメートの顔も覚えていない。
 そんな彼女に柚木かけるという男子生徒が話しかけ、生物学部に誘う。
 彼女は彼に会うために、唯一の肉親である父親に逆らい、体調不良をおして学校に行こうとする。
 学校で、彼女はかけるから、彼女がいつも飲んでいる持病の薬に睡眠薬が入っていると教えられるのだが…」

・えびなしお「深淵のスノークイーン」(「ちゃおデラックスホラー2012年1月号増刊」掲載)
「王が急死し、即位することになったスノウ姫。
 しかし、まだ子供で、周りからは厄介者扱い。
 少しでも人の役に立とうとするも、「悪魔の鏡」を割ってしまう。
 その鏡には、破片が刺さった者は「悪魔のような性格」になるという言い伝えがあった。
 失意のうちに散歩をしていた時、彼女は、青年が中年男性を殺害しているところに出くわす。
 彼女は、カイという青年に脅され、城で匿うこととなる。
 彼の胸には「悪魔の鏡」の破片が刺さっていたが、姫は彼がとても悪人には思えない。
 彼をかばううちに、スノウ姫は…」

 くまき絵里先生「シンデレラは闇に堕ちる」と久世みずき先生「七色マッチの少女」が、奇想とラストのどんでん返しが効いて、面白かったです。
 溝口涼子先生「おかしな家」も妙チクリンな作品ではありますが、実は、水木しげる先生「猫又」だったりします。(でも、それに関する説明も何もなく、逆に潔いなあ…。)

2019年9月11日 ページ作成・執筆

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