今井康絵「私の中に悪魔がいる」(2010年12月29日初版第1刷発行)

 収録作品

・「終わりの始まり」(2009年「ちゃおデラックス」初夏の大増刊号)
「時田真季は学校で、病院で、町中である異変に気付く。
 それは人々が恐ろしく面倒臭がりになっているというものであった。
 真季は、学校にあった音叉から、町の中心から何かの音波が発せられていることに気付く。
 原因を明らかにするため、真季はそこへ向かうのだが…」

・「合わせ鏡」(2009年「ちゃおデラックスホラー」7月号増刊)
「中学一年生の新宮桂花と梨花は双子の仲良し姉妹。
 彼女達は身長・体重・学力・好みと全てが一緒。
 だが、姉の桂花に神辺頼人という恋人ができたことが一変。
 嫉妬に狂った梨花は、自分の痛みが相手に伝わるという双子の特徴をいかして、桂花に壮絶な嫌がらせを開始する…」

・「禁断の島」(2010年「ちゃおデラックスホラー」7月号増刊)
「上田花音は小学五年生の普通の女の子。
 ある日、学校に遅刻したところ、いきなりテストで面食らう。
 さっぱりやる気が起きず、隣席の憧れの男子、東郷優二の回答をカンニングする。
 テストの後、先生に彼女と優二だけが残るように言われ、ジュースを飲んだ彼女は猛烈な眠気に襲われる。
 目が覚めると、そこは南の島であった。
 彼によると、船で運ばれたらしく、その島には同じぐらいの年頃の少年少女が二十人ぐらいいた。
 リーダーらしい少女は、ここで生きていくために、七つの大罪を犯さず、皆で協力していこうと話す。
 しかし、花音にとっては、救助を呼んで、両親のもとに帰ることが何よりも重要であった。
 そのために、彼女は…」

・「乗ってはいけない」(2009年「モバフラ」7月20日号) 「第一話」
 のぞみが駆け込んだ地下鉄の車両は誰も乗っていなかった。
 すると、窓から床から異形のものが次々と現れてくる。
 彼女は、人のいる隣の車両に逃げようとするのだが…。
「第二話」
 何とか地下鉄の最終電車に間に合ったサラリーマン。
 彼はホームの端で、うずくまっている女性を目にする。
 気分が悪いのかと、声をかけるのだが…。
「第三話」
 大学生の平泉美佳。
 彼女は二歳年上の堀江正というイケメンのサラリーマンと知り合う。
 彼は彼女のとってまさに理想の男性で、すっかり夢中。
 ある日、彼は出張に出る前に、彼女に大きなダイヤの指輪をプレゼントする。
 以来、彼女の周囲で、奇怪なことが頻発。
 どうも女の霊に呪われているらしい。
 美佳は、その女が正の元カノと思い、彼について調べるのだが…。

・「三つの願い」(2009年「ちゃお」11月号)
「複雑な家庭事情のため、人嫌いで引きこもりのさくら。
 ある時、彼女は妖怪のネコマタをカラスから助ける。
 ネコマタは三つの願いを叶えると言うが、さくらは幸福というものにさほど関心がない。
 最初の願いは、幸せなカップルの女達を醜い蛙に変えること。
 二つ目は、大量のお金をばらまいて、パニックを起こすこと。
 彼女の三つ目の願いとは…?」

・「私ではない私」(2010年「ちゃおデラックス」春待ち超大増刊号)
「桜井まどか(12歳)は、評判の優等生。
 だが、街頭ビジョンで、彼女の写真が、連続殺人事件の逃亡犯として紹介される。
 それを鵜呑みにした町の人間はパニックを起こし、まどかを殺そうと追いかけてくるのだが…」

・「水魔」(2010年「ちゃおデラックス」初夏の大増刊号)
「小学校六年生の大宮由紀江は、同じスイミングスクールの斉藤彩にどうしても勝つことができない。
 しかも、彩は大会で優勝してもにこりともせず、それが由紀江の怒りを増大させる。
 ある日、彼女は、彩がロッカーの中のカプセルをこっそり飲むのを目撃する。
 彼女がそのカプセルを一つ試してみると、身体中に力が漲り、水中で思うように動ける。
 以来、彼女はカプセルを彩のロッカーから盗むが、徐々に身体に変化が現れ…」

 ちゃおホラーはまだまだ勉強中ではありますが、今井康江先生はなかなか面白いと思います。
 個人的には、関よしみ先生の「シチュエーション・ホラー」の流れをくむ作品が印象的でありました。(「終わりの始まり」「禁断の島」「私ではない私」)
 ただ、小中学生向きの作品のためか、関よしみ先生程、徹底かつ練り込んではおらず、そこが残念なところであります。
 あと、「水魔」は、実にB級怪奇マンガらしい、強烈なインパクトのラストで、嬉しかったです。

2021年3月12日 ページ作成・執筆

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