春瀬花香「脱出ゲーム」(2019年8月6日初版第1刷発行)

 収録作品

・「脱出ゲーム」
「その愛がキーワード」(2018年「ちゃおデラックスホラー」8月20日号掲載)
 SNSで噂の完全招待制の脱出ゲーム。
 カップルに大人気であったが、その難易度の前に、いまだに成功者は出ていない。
 幸村風花は、幼馴染の葛城総悟(眼鏡の似合うクール・ガイ)との仲を深めるため、そのゲームに応募し、当選する。
 招待状を手に二人が、脱出ゲームの館に向かうと、奇妙な仮面を付けた案内人が出迎える。
 案内人は、二人からスマホ等の荷物を預かると、部屋へと案内する。
 制限時間は60分、部屋に隠された10個の謎を解くことができれば、扉の鍵が開くという。
 そして、脱出最大の鍵は「相手を思いやる〈愛〉」と付け加えて、案内人は去る。
 二人は早速、謎に取り掛かるが、全ての謎を解かなければ、生きては出られないことを知り…。
「天空からの脱出」(2018年「ちゃおデラックスホラー」12月20日号掲載)
 六花は、元のバイト仲間の椿姫、柊吾、洸聖と遊園地に出かける。
 彼らは、人気レストランでバイトしていたが、そのビルで、同じバイトの深山雪都が跳び下り自殺を図ってから、辞めたのであった。
 四人の乗る観覧車のゴンドラがてっぺんにさしかかった時、突如、停止する。
 すると、観覧車内のモニターに、ピエロが現れ、制限時間10分以内に謎を解くよう話す。
 それは冗談などではなく、時間が経つごとに、ゴンドラを固定しているボルトが一本ずつ爆破されていく。
 ピエロは協力し合えば、きっと解けると話すが、その謎とは…?
「クリスマスの奇蹟」(2018年「Sho-Comi」12月15日号増刊掲載)
 紗雪は、初めてのクリスマス・デートで、冬馬が遅刻し、喧嘩となる。
 怒って帰ろうとした時、メイコという女性が紗雪に声をかけ、彼女の喫茶店でお茶でも飲むよう勧める。
 紗雪が中に入ると、先客として冬馬がいた。
 また喧嘩になりそうな二人に、メイコはゲームを提案する。
 それは10個のクイズに答えることができたら、お茶とお菓子がただというもので、その代わり、間違えたら、「お代」を取られるという。
 クイズに答えていくうちに、二人は仲直りしていくのだが…」
「殺人バス」(2019年「&FLOWER」8号掲載)
 朱音、萌々(もも)、龍大の乗ったバスが、拳銃を持った中年男性にバス・ジャックされる。
 中年男性は、先日、自殺した津田美知佳の父親で、娘をいじめていた主犯格への復讐のためであった。
 龍大、萌々と銃で撃たれ、美知佳の父親が彼らのとどめを刺そうとした時…。

・「絶叫ドライブ」(2018年「Sho-Comi」17号掲載)
「夜景のきれいな山頂。
 そこの崖には、幽霊が出ると言われていた。
 昔、彼氏にふられて、崖から跳び下り自殺した女性の怨霊が、夜景を見に来たカップルを襲うらしい。
 ある夜、蒼斗と百合夏がそこでイチャイチャしていると、噂の女幽霊が現れる。
 怯えた蒼斗に、百合夏はその場に置き去りにされてしまうのだが…」

・「カノジョのいない帰り道」(2018年「Sho-Comi」8月15日号増刊掲載)
「夏穂の親友の凪咲の突然の交通事故死。
 周囲は夏穂のことを気遣ってくれるが、夏穂は内心、凪咲をうとましく思っていた。
 更に、今まで片想いをしていた、夏穂の彼氏だった颯貴(さつき)との仲も縮まり、いいことづくめ。
 だが、彼女の前に、凪咲の幽霊が現れ、彼からはなれるよう言ってきて…」

 春瀬花香先生の最初の単行本です。
 表題作の「脱出ゲーム」シリーズは力が入っていて、他の作品もまあまあ面白いと思います。
 ただ、(書店で定価で買ったので、あえて言わせてもらいますと)、絵の勉強(特に、乗り物)に励んで欲しいところですね。

2020年11月3・10日 ページ作成・執筆

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