栖川マキ「栖川マキの恐怖学校伝説A」(2012年10月6日初版第1刷発行)

・「ポケベルの怪」(描きおろし)
「真由は岡山県の小学六年生。
 彼女はある日、神社で奇妙な機械を拾う。
 家に持ち帰り、母親に尋ねると、これはポケベルで、数字の語呂合わせでメッセージを送ると教えらる。
 翌朝、ポケベルに真由に挨拶のメッセージが届く。
 どうやらポケベルの持ち主は「56(ゴロー)」という人物らしく、相手は彼の彼女であるらしい。
 また、真由がメッセージを返さないことで相手は寂しがっている様子であった。
 彼女はポケベルを神社に返しに行こうと考えるのだが…」

・「恐怖!真夜中の合唱」(「ちゃおデラックスホラー」2011年7月号増刊)
「唯・みずき・若菜は仲良し三人組。
 ある晩、小学校でお泊り会が開催されることとなる。
 その夜、消灯時間の頃に若菜がトイレの怪談について話し出す。
 つられて、みずきも「ひきこさん」の怪談をしていると、先生がやって来て、三人に早く寝るよう注意する。
 しぶしぶ三人は床に就くが、そこで斉藤先生の話が出る。
 斉藤先生は音楽の先生で、音楽への情熱が並外れていた。
 市の合唱コンクールに向け、唯たちは厳しい指導を受けるが、コンクールの直前に斉藤先生は交通事故死する。
 その後、音楽室から斉藤先生の歌声が聞こえるという噂が立ち…」

・「チェーンメールの怪談」(「ちゃおデラックスホラー」2012年1月号増刊)
「希理は神奈川県の小学六年生。
 周囲の友達は携帯電話を持っているのに、彼女はいまだ持たせてもらえず、コンプレックスを感じていた。
 ある時、彼女は友達にバカにされたように感じ、その友達にパソコンから嫌がらせのチェーンメールを送る。
 メールには近所の空家の写真を添付し、この家は殺人事件があった家で、このメールを24時間以内に三人に送らないと呪われるというメッセージを書き込む。
 希理は単なるいたずらのつもりであったが、このメールは瞬く間に学校中に広まり、あちこちでトラブルを巻き起こす。
 そんなある日、希理は母親から携帯電話をプレゼントされるのだが…」

・「自動販売機の怪」(「ちゃおデラックスホラー」2012年7月号増刊)
「美空は三重県の小学四年生。
 夏のある日、彼女は下校途中、自動販売機でジュースを買う。
 すると、何故か、お金が戻ってきて、彼女はジュースをただで手に入れることができた。
 翌日、学校で友人たちにその話をすると、一人が自動販売機にまつわる都市伝説を教えてくれる。
 それは、自動販売機を開発したプログラマーが自分だけただで買えるよう設計したために、硬貨の種類や入れる順番をある決まったパターンにすると、無料で購入できるという噂であった。
   美空はそのパターンを覚えており、その自動販売機で毎日、ジュースを手に入れる。
 しかし、都市伝説には続きがあり…」

・「闇にうごめく影人間」(「ちゃおデラックス」2011年秋の超大増刊号)
「青木友花(仮名)は小学五年生の少女。
 ある日、学校の掲示板に遠足の時の写真が張り出される。
 友花が友人と写った写真もあったが、彼女の横に人の影のようなものが写っていた。
 これを見て、ひとりの少女が「シャドーピープル」ではないかと言う。
 シャドーピープルは「影のようにまっ黒はヒト」で、一説によると「異次元のヒト」らしい。
 放課後、友花は友人たちと学校でかくれんぼをする。
 彼女は階段下の箱の陰に身を隠すのだが…」

・「謎の妖精トンボ人間」(「ちゃおデラックス」2011年初夏の大増刊号)
「小杉美希(仮名)は中学一年生の少女。
 ある日、彼女のクラスに曽根という若い男性教師が産休代理でやって来る。
 曽根の担当は理科で、昆虫採集が趣味であった。
 授業中、彼は昆虫の標本を生徒たちに見せるが、美希はそういったものが苦手で、保健室に行く。
 途中、理科準備室で物音がしたので覗いてみると、中は曽根の集めた昆虫標本でいっぱい。
 驚いた拍子に戸棚に背中をぶつけ、棚から茶色の小瓶が落ちる。
 それを拾った時、曽根が血相を変えてやって来て、彼女は小瓶をポケットに入れたまま、理科準備室を出る。
 帰宅後、瓶を見てみると、トンボの羽のようなものが見え、生きている様子はない。
 翌日、学校に行くと、曽根が茶色の小瓶についてしつこく尋ねてくる。
 返すに返せなくなり、下校時に美希は小瓶を川に捨てようとするのだが…」

・「フリーマーケットの怪」(「ちゃおデラックス」2011年冬の超大増刊号)
「結菜はオシャレ好きな小学六年生。
 ファッション雑誌を見て、いろいろな服に憧れるも、お小遣いだけではとても手に入らない。
 ある日、彼女は公園のフリーマーケットを覗いてみる。
 彼女が見て回っていると、怪しい男性に声をかけられる。
 一瞬、引くも、彼のスペースには雑誌で見た服が破格の値段で売られていた。
 結菜は全部購入し、翌日、学校に着て行く。
 だが、友人たちは「変わったデザイン」と言って、大して感心しない。
 その夜、彼女が寝ていると…」

・「閉ざされたプール」(「ちゃおデラックス」2012年夏の超大増刊号)
「優奈は埼玉県の小学五年生。
 彼女が転校した学校では、校内にプールがあるにもかかわらず、水泳の授業は隣の中学校のプールを使っていた。
 優奈が友人に尋ねても理由はわからず、小学校のプールは立入禁止で、近づくだけで教師に怒られてしまう。
 ある日、彼女は宿題のプリントを取りに放課後の学校に戻る。
 すると、プールのそばで女の子が泣いている。
 女の子はボール遊びをしていて、ボールがプールに入ってしまったと話す。
 優奈はフェンスの開いている部分からプールの敷地内に入り、プールに浮かんでいるボールを取ろうとするのだが…」

・「禁断サプリ」(「モバフラ」2009年7月20日)
「岸本かえでは、ぽっちゃりちゃん。
 それをコンプレックスに感じつつも、ダイエットが長続きしたためしがない。
 ある日、彼女が町を歩いていると、若い男性からダイエットサプリのサンプルをもらう。
 このサプリは一日一錠でよく、飲めば必ずやせるという。
 サプリの外見は何かの干からびた虫のようで気持ちが悪かったが、痩せたい思いが勝り、思い切って服用する。
 一週間後、彼女はスリムな体型となり、意中の男子からも声をかけられる。
 しかし、そのサプリをいじめっ子の女子に取り上げられ…」

 「自動販売機の怪」「謎の妖精トンボ人間」といったあたりが小中学生が噂しそうなB級都市伝説で味わい深くありました。
 「禁断サプリ」は「恐怖学校伝説」のシリーズではありませんが、程よくまとまった佳作です。(でも、B級…。)

2025年6月3日 ページ作成・執筆

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