栖川マキ「栖川マキの恐怖学校伝説B」(2016年9月6日初版第1刷発行)
・「保健室の呪いのベッド」(「ちゃお」2012年11月号)
「有希は佐賀県の小学五年生。
ある日、彼女は小テストをサボろうと仮病を使い、保健室に行く。
保健室に養護教諭はおらず、ベッドが三台とも空いている。
一番奥のベッドは以前、使うことを養護教諭に禁じられたが、やはり、そこが一番落ち着く。
有希が一番奥のベッドで休んでいると、金縛りが起き…」
・「ダンスシューズの怪」(「ちゃおデラックス」2013年春待ち超大増刊号)
「森田千紘は千葉県の小学六年生。
彼女はダンスが大好きで、ダンススクールに通っていた。
ある日、シューズを忘れ、困っていると、友人が備品室を見てきたらと勧める。
そこで彼女は「十三」を書かれたシューズを見つけ、履いてみると、サイズはぴったり。
しかも、このシューズを履いていると、いつもより足が軽く、快調であった。
彼女は持ち主がいないことをいいことに、このシューズを持ち帰るのだが、その夜…」
・「交換ノートの怪」(「ちゃおデラックス」2013年Sho-Comi9/20号増刊)
「橋本ミオはY県に住む小学五年生。
彼女は父親の仕事の都合で東京から田舎の学校に転校し、クラスで浮いていた。
一ヵ月経っても友達ができず、焦りを感じるが、ある日の放課後、女の子が彼女の机にノートを入れるのを目にする。
女の子はクラスの木下という女子っぽく、ノートには「交換ノート」をしてくれるよう書かれていた。
ミオは返事をノートに書き込み、いつ渡すか考えていると、机の中に入れたはずのノートがなくなっている。
捜しても見つからず、途方に暮れるが、放課後、ノートが机の中にあり、ノートにはミオへの返信が書き込まれていた。
交換ノートは続き、ミオは木下に好感を持つも、挨拶しても無視される。
木下の態度を訝りつつ、交換ノートの返事を読むと、教師やクラスメートへの悪口が書かれていた。
しかし、そんな教師やクラスメートはこのクラスにはおらず…」
・「おいしい農園」(「ちゃおデラックスホラー&ミステリー」2015年7月号増刊)
「小林風花は静岡県に住む小学五年生。
彼女は野菜が大嫌いで、社会見学で訪れた農園には何の興味も感じない。
農園の老夫婦が子供たちにラタトゥイユを持ってきてくれるが、風花はこれを捨てようと農園の裏に行く。
そこには大きな木箱があり、有機肥料のようで、落ち葉や藁が積まれてある中に人の服のようなものも混じっていた。
農園の老夫婦に声をかけられ、彼女は自分が野菜が苦手なことを打ち明ける。
老夫婦はあっさり受け入れ、逆に彼女に謝るが、以来、毎日のように彼女の家に野菜を持ってくるようになる。
母親は大喜びで、毎日、野菜料理を作り、風花はフラストレーションがたまりまくり。
ある時、彼女は老夫婦に「いいかげんにして!!」と野菜を突っ返すのだが…」
・「キヨコさん」(「ちゃおデラックス」2015年11月号)
「小畑まどかは埼玉県の中学一年生。
彼女は長瀬尚斗という男子に想いを寄せ、今度の誕生日に何を贈るか考えていた。
ある時、彼女は学校の公衆電話の噂を耳にする。
この公衆電話から自分の携帯電話にかけて、「キヨコさん キヨコさん いらっしゃったらお返事ください」と唱えて電話を切り、自分の携帯電話の電源を切っておくと、24時間以内にキヨコさんから携帯電話に電話がかかってきて、どんな質問にも答えてくれると言う。
まどかはその噂を半信半疑で試してみると、噂は本当で、彼女は尚斗の欲しがっているものを誕生日プレゼントに渡し、彼のハートを掴むことに成功。
まどかはキヨコさんに彼のことをどんどん教えてもらい、まどかは彼から交際を申し込まれる。
しかし、携帯電話の電源をいつも落としていることから、彼は彼女と連絡がつかないことに不満を感じ、二人の間に溝ができる。
まどかは溝を埋めようと、ますますキヨコさんに頼るようになり…」
・「魅惑の種」(「ちゃおデラックス」2016年1月号)
「吉澤はるなは佐賀県の小学五年生。
彼女は旅行好きな幸子おばさんからお土産として花の種をもらう。
これはある小さな島にだけ咲く花の種で、植木鉢に種を埋め、枕元に置いておくと幸せになれるという。
はるなは花の種には興味がなく、クラスメートたちにあげるが、そのクラスメートたちは次々と幸運に恵まれる。
彼女は花の種を返してもらい、戻ってきた二粒を植木鉢に埋めると、翌朝、早速、芽が出る。
彼女のもとにはどんどん幸運が舞い込むようになるが…」
・「呪われた卒業アルバム」(「ちゃおデラックスホラー」2016年3月号増刊)
「佐々木栞は三重県の小学六年生。
彼女は転校して二か月しか経ってないのに、卒業アルバム委員に選ばれてしまう。
もう一人、田口香里という女子がいるが、彼女は塾があり、しばしば栞一人で作業しなければならない。
写真を選んでいるうちに、栞は奇妙な黒髪の少女が写っている写真があることに気付く。
クラスメート曰く、これは「卒アルの幽霊」で、昔、いじめで自殺した少女の霊であった。
この零は卒業アルバムの集合写真のどこかに写っていると言われ、この少女を見つけた人は皆、行方不明になっているらしいのだが…」
・「落とし物箱の怪」(「ちゃおデラックス」2016年7月号)
「川島乃愛は山口県の小学四年生。
彼女はうっかりさんで、忘れ物はしょっちゅう。
しかし、もう一度忘れ物をすると、彼女の班がトイレ掃除になるので、もう忘れ物をすることはできない。
そんな時、思い出したのが「落とし物箱」で、彼女が忘れたものがいつも入っている。
ただ、それにはどれも「サクラコ」と名前が記されてあった。
しかも、気が付かないうちに、乃愛の持ち物に「サクラコ」と記入されるようになり…」
「栖川マキの恐怖学校伝説」シリーズ三冊目ですが、明らかに「作り話」が増えて、面白みが減退したように個人的に感じます。(それはそれで楽しめるんですけどね。)
その手の話よりも「あとがき」の二話(夏休みに古ぼけた旅館に泊まった話/皆、転ぶ三番目のハードルの話)の方がシンプル、かつ、リアリティがあって良かったです。
2025年6月20日 ページ作成・執筆