泉道亜紀「人間回収車F」(2018年9月5日初版第1刷発行)

 黒ずくめの男性が運転する、黒ずくめの軽トラック。
 この車は「不要な人間」を条件さえそろえば、二度と戻ってこれない場所へと回収するという。
 今日、この車に回収されるのは…?

・「回収リスト31 河井真穂」
「河井真穂は心優しい少女。
 クラス替えの際に二人の女子生徒と知り合い、以来、彼女たちと友達であった。
 彼女たちはあれこれと頼みごとが多いが、それでも、真穂は頼られていると励みにする。
 ある日の帰宅途中、三人の前に人間回収車の金髪運転手が現れ、真穂が友人に「騙され利用され」ていると教え、「人間回収券」を三枚渡す。
 真穂の友人は「人間回収券」に興味津々で、一人一枚ずつ持つ。
 翌日、真穂の友人は男性関係を巡って大喧嘩し、絶交する。
 真穂は友人の一人と一緒に帰り、仲直りするよう諭す。
 すると、彼女はもう一人の友人がどれだけ悪辣か並べ立て、彼女に人間回収券を貼るよう真穂をそそのかすのだが…」

・「回収リスト32 近藤由衣」
「近藤由衣はキレやすく、すぐに暴力を振るう少女。
 父親は単身赴任で家におらず、継母は妹が産まれてから、育児疲れで由衣に当たり散らす。
 学校でも家でも居場所がなく、灰色の日々を送っていた時、継母が過労で倒れる。
 祖母が来る間、由衣が妹の面倒を看ることとなるが、赤ん坊の世話はとっても大変。
 赤ちゃんを抱いて、外を出歩いていると、人間回収車が通りがかる。
 彼女は人間回収車に妹を回収させようと考えるのだが…」

・「回収リスト33 藍田真琴」
「藍田真琴は万引きの上手い少女。
 ある日、彼女は町中でとてもきれいな女性を見かけ、彼女をターゲットに決める。
 真琴は女性にわざとぶつかり、落とし物を拾うふりをして、小物入れを胸元に隠す。
 後で見てみると、小物入れの中には「人間回収券」の束が入っていた。
 これが本物かどうか試すために、彼女はこれをクラスメートたちに配る。
 翌日、学校内で何人もの行方不明者が出て、彼女はこれが本物と確信。
 でも、使い方が難しく、悩んでいた時、この券が高く売れるのではないかと思い付き…」

・「回収リスト34 吉川真理」
「吉川真理の父親は、一年前に母親が病死してから、すっかりアル中となる。
 もともと暴力的だったのが、ますますひどくなり、仕事に行かず、一日中家で酒を飲んでいる。
 彼女はこの世界にいたくなく、自殺まで考えるが、そんな時、人間回収車の存在を知る。
 彼女は自分自身を回収させるものの、父親が自分を必要としているため、返品される。
 ならば、まずは父親を回収させようと、家の前で人間回収車が通りがかるのを待っていると…」

・「回収リスト35 杉野春菜」
「杉野春菜は小説家志望の少女。
 夢は売れっ子作家で、そのために努力を続ける。
 ある日、クラスメートから隣のクラスにも小説を書いている女の子がいると聞かされる。
 彼女の名は大江ゆかりで、文芸部所属で、面白い小説を書いていると評判であった。
 更に、学校一のイケメンのヒカル先輩の彼女で、その明るさ故に友達もたくさんいた。
 春菜はゆかりのちゃらちゃらしたところが気に食わず、挨拶されても邪険にする。
 春菜はゆかりを叩き潰す作品を書こうと決意し、帰宅途中で見かけた人間回収車を作品のテーマに選ぶ。
 主人公には自分の友人を据えて、小説を執筆すると、なかなか快調。
 そんな時、彼女のもとに新人賞の結果通知が届くが、結果は一次審査落選で、それに追い打ちをかけるように、新人賞を取ったのはゆかりであった。
 春菜は憎しみの炎を燃やし、人間回収車にゆかりを回収させるが…」

・「スペシャルためしよみVer.」
「学校の裏庭でいじめっ子が少女をいじめている。
 そこに人間回収車が通りがかり、少女はいじめっ子を回収してもらう。
 いじめっ子の連れて行かれる先は…?」

・「闇々ガチャの言うとおり ハマり人・舞の場合」(「ちゃおデラックス」2018年1月号)
「舞は美少女だが、プライドが高く、「自まんできるような完ぺきな彼氏」を望んでいた。
 ある日の下校途中、彼女は改装中の店に気が付く。
 店の前には「闇々ガチャ」というものがあり、中は黒いカプセルであった。
 店長の女性によると、「当たりも外れもあなた次第」で「素敵な夢を見せて」くれるという。
 一回百円なので、試しに引いてみると、中には男性の人形が入っており、同梱の紙には「ドリームドール この人形を大切に持っているとすてきな彼氏ができます」と書かれてあった。
 翌日、舞のクラスに矢野という転校生が来る。
 彼はガチャのドリームドールにそっくりのイケメンで、早速、二人はカップルとなる。
 しかし、矢野は顔はいいが、おとなしくて男らしくない。
 舞は「闇々ガチャ」をもう一度引けば、別の男が出てくるのではないかと考え…」

 「人間回収車」はたま〜にハッピーエンドの時がありますが、「回収リスト32 近藤由衣」のエピソードはかなりいいです。
 ただ、救われそうで救われない…というエピソードも多いので、奴らはなかなか甘くありません。

2024年10月1日 ページ作成・執筆

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