泉道亜紀「人間回収車H」(2020年6月6日初版第1刷発行)

 黒ずくめの男性が運転する、黒ずくめの軽トラック。
 この車は「不要な人間」を条件さえそろえば、二度と戻ってこれない場所へと回収するという。
 今日、この車に回収されるのは…?

・「回収リスト41 深田歩美」
「歩美は愛を知らずに育った。
 幼い頃、両親に捨てられ、預けられた親戚の家でも邪魔者扱い。
 高校生の時、彼女は竜也という青年と両想いになり、やっと「私を愛してくれる人」に巡り合えたと思う。
 だが、何かにつけて、彼女は彼の愛情に疑問を抱かずにいられない。
 彼が彼女を本当に必要にしているのかどうか確かめるため、彼女は自ら進んで人間回収車に回収されるのだが…」

・「回収リスト42 寺井乃愛」
「乃愛と咲希は『根暗コンビ』と呼ばれ、いじめられていた。
 ある日、咲希は『人間回収券』を拾い、乃愛に見せる。
 これでいじめられなくなると思ったのも束の間、もしも、回収された人間が必要とされていた場合、貼った本人が回収されるというリスキーなものであった。
 乃愛はこういうものは使わず、卒業まで二人で頑張ろうと咲希を励ます。
 だが、ある時、いじめっ子の一人が乃愛に、自分たちのグループに入って咲希をいじめるよう誘う。
 乃愛が断ると、いじめっ子は彼女を階段から突き落とそうとするが、その時、咲希がいじめっ子に人間回収券を貼る。
 乃愛は咲希に感謝するが、乃愛の心にどす黒い考えが浮かび…」

・「回収リスト43 乃木由愛」
「乃木由愛は子供の頃から姉と較べられていた。
 姉の凜子は優秀かつ美人で友達も多いが、一方の由愛は地味で陰気で一人ぼっち。
 凜子は由愛を相手にせず、由愛は姉に対する嫉妬と憎しみを募らせていく。
 その一方で、姉に対する憧れはあり、姉の真似をしてみるも失笑を買う始末。
 そんな彼女の唯一の希望は目黒という男子で、彼は彼女に関心を寄せてくれる。
 しかし、それは姉に近づくことが目的で、ブチ切れた彼女は彼を人間回収車に回収させる。
 これが大問題となり、彼女は先生たちに責められるが、そこに凜子がやって来て…」

・「回収リスト44 前田友美」
「前田友美は物を捨てられない性分であった。
 ある日、友人から携帯電話のストラップを捨てた方がいいと言われ、思い切ってやってみると、思いのほか、すっきり。
 これをきっかけに断捨離に励むようになり、学校のアイドルである持田に褒められたことでヒートアップする。
 彼女は捨てるもの、不必要なものを求め、遂にその標的は…」

・「回収リスト45 富田星愛」
「ある小学校のクラスで流行っている『人間回収車ごっこ』。
 これを思いついたのは富田星愛で、彼女に指名された者はその日一日、クラスメートから無視される。
 ある日、星愛が友達と下校していると、本物の人間回収車が通りがかり…」

・「闇々ガチャの言うとおり ハマり人・マナミの場合」(「ちゃおデラックス」2018年5月号)
「森屋マナミは高校生女優。
 夢は主演女優であったが、咲良というライバルがいた。
 咲良はマナミよりキャリアが長く、知名度もあり、マナミを平然と見下す。
 ある時、テレビドラマの主役を巡り、マナミと咲良もオーディションに出ることとなる。
 どうしても見返したいマナミは闇々ガチャで「消える香水」(三時間ほど透明人間になれる)を手に入れ、これを使って咲良を妨害し、ドラマの主役を手に入れる。
 マナミは闇々ガチャを利用して、目障りな咲良を叩き潰そうとするのだが…」

 「回収リスト42 寺井乃愛」はダークな内容で、なかなか面白いと思いました。
 そうか、その手があったか!!

2025年3月12日 ページ作成・執筆

小学館・リストに戻る

メインページに戻る