泉道亜紀「人間回収車I」(2020年9月6日初版第1刷発行)
黒ずくめの男性が運転する、黒ずくめの軽トラック。
この車は「不要な人間」を条件さえそろえば、二度と戻ってこれない場所へと回収するという。
今日、この車に回収されるのは…?
・「回収リスト46 新田向葵」
「向葵の両親は異常なほど、教育熱心であった。
彼女は進学校に進むため、勉強漬けの毎日を送らされる。
彼女の唯一の心の拠り所は兄。
兄は成績優秀で度々彼女を守ってくれたが、六年前に突如失踪し、警察はいまだ何の手がかりも掴めていない。
両親は兄のことを話題にするのを禁じるも、彼女はずっと兄を捜し続けていた。
ある日、彼女は人間回収車を目にする。
兄はこれに回収されたのではないかと彼女は考え…」
・「回収リスト47 竹内雅代」
「雅代は祖母と二人暮らし。
彼女が赤ん坊の頃、両親は交通事故で亡くなり、以来、祖母に育てられてきた。
と言っても、祖母はケチで口うるさく、近頃は祖母に反感ばかりを覚える。
ある日、彼女と祖母が病院に向かっていると、人間回収車が通りがかる。
それを見て、祖母は真っ青になって、がたがた震え始める。
雅代は祖母の様子に何かあると感じ、問いただすと、父親は事故死だが、母親は十三年前に祖母が人間回収車に回収させたことが明らかとなる。
彼女は母親をどうにか回収先から戻したいと願うのだが…」
・「回収リスト48 木内穂南」
「高校一年生の穂南は親に頼み込んでスマホを買ってもらう。
彼氏の司がSNSをやっており、彼女も始めてみると、大勢の人に自分の投稿を見てもらうことに感激する。
彼女は人より目立つものを追い求めるようになるが、ある日、人間回収車を目撃する。
早速、人間回収車を撮ろうとするも、スマホが動かない。
そこで彼女は軽トラの画像を黒く塗り替え、人間回収車としてSNSにアップする。
それがバズリ、彼女のフォロワーはどんどん増えていくのだが…」
・「回収リスト49 徳永希咲」
「希咲は友達たくさんな少女。
彼女は誰にでも優しくするのがモットーで、不良の酒井とも友人であった。
ある日、仲良しの少女たちと一緒に帰っていると、人間回収車が通りがかる。
彼女たちは酒井を人間回収車に回収させようと話し、希咲が酒井をおびき出す役になるのだが…」
・「回収リスト50 潮田文恵」
「文恵はある学校のクラスに転校してくる。
彼女は前の学校ではいじめに加担し、それが大問題となり、彼女の一家はこの町に引っ越してきたのであった。
そのため、彼女は今度こそクラスの皆と仲良くしたいと願い、不安を感じながら、教室に入ると、クラスメートたちは彼女を歓迎してくれる。
このクラスでは孤立している人はおらず、皆、優しくて笑顔に溢れていた。
そして、これはクラス委員長の湯川康代の采配によるところが大きい。
ただ、このクラスにはある奇妙なテストがあった。
それはその人物が必要とされているかどうか確かめるために、クラスメートは順番に人間回収車に回収されるというもので…」
・「人間回収車 〜人間回収の手引き〜」
・「巻末おまけまんが ―最恐!都市伝説―」
「カメラアプリを使い、顔に猫耳などを追加する機能。
ネットの噂では、カメラを何もない場所に向けて、そこに猫耳が出たら、その場所には幽霊がいるというのだが…」
「人間回収車」十巻目ということで、描き下ろしのおまけエッセイ漫画にて「人間回収車」の歴史(と表現すると大袈裟ですが)について解説しております。
実際、ちゃおホラーで十冊以上続いているのは「人間回収車」とみづほ梨乃先生の「ショコラの魔法」だけですので、ここまでの人気シリーズに育て上げたのは凄いことだと思います。
2025年5月9・11日 ページ作成・執筆