熊崎慎子「鬼面羅」(2002年8月20日初版第1刷発行)

 中学生の姫宮玲惟(ひめみや・れい)は代々『鬼』を封印してきた降伏師の家系。
 新米降伏師の彼女は学園一の秀才(&「黄金相」)の高原拓真と組んで、世にはびこる鬼退治に挑む…。

・「鬼面羅」(「ちゃおデラックス」2001年1月21日号)
「高原拓真と友人のシゲルは塾帰り、女性が道路にとび出て、交通事故にあうところを目撃する。
 見ると、事故にあった女性の手は人間のものではなく、その身体から異形のものが現れ、拓真に襲いかかる。
 だが、異形のものは彼の身体から弾き飛ばされ、見知らぬ少女がそれを追う。
 翌日、学校で彼の前に昨夜の少女が現れる。
 彼女の名は姫宮玲惟。
 玲惟は鬼を封印する新米降伏師で、彼に鬼の封印を手伝ってほしいと頼む。
 「鬼」とは「土地の邪気や悪気が特別に強まったもの」で、人という「容れ物」に入り込むことで、様々な事件を起こすという。
 昨夜の女性にも「鬼」がとり憑いており、玲惟はその鬼の行方を追っていた。
 そして、拓真は「黄金相」(顔や骨格が完全に左右対称になっていること)の肉体を持ち、鬼が入り込めない身体ではあったが、「黄金相」を持つ人間は鬼の大好物でもあった。
 当初、拓真は玲惟の相手をしなかったが、シゲルの様子がおかしいことに気付き…」

・「鬼面羅U」(「ちゃおデラックス」2001年6月26日号)
「ある団地で立て続けに二人の子供が失踪する。
 一人は六階のベランダから、もう一人は団地の公園の砂場に多量の血痕を残して消える。
 玲惟と拓真は鬼面羅(玲惟の使い魔)を使って、団地へと忍び込む。
 ざっと見たところ、露骨に怪しいのは、自分の子供と妙に楽しく遊ぶ母親。
 彼女は失踪した子供の母親と顔見知りであったが、人付き合いが悪い上に母親同士のトラブルがあり、あまり外に出たことはなかったという。
 しかも、男児の身体には虐待を受けた傷痕があった。
 二人は母親に「鬼」が憑いていると考え、その夜、拓真をおとりに罠を張る。
 予想通りに、母親に憑いた「鬼」が襲ってくるのだが…」

・「鬼面羅V」(「ちゃおデラックス」2001年8月23日号)
「奇妙な交通事故が三件続いて起きる。
 事故現場には事故車が残されているが、運転手と被害者の姿がない。
 車は盗難車で、被害者はいずれも帰宅途中の女子中学生。
 これらの事実から判断すると、加害者は故意に被害者をはねて、連れ去ったものと見られる。
 このニュースを読み、玲惟は「鬼」の可能性がある考える。
 早速、拓真のもとに行くが、彼は眼鏡をかけた女子に告白されているところであった。
 拓真は玲惟を利用して、その女の子の告白を断る。
 そのやり方に玲惟は怒り、女の子を追いかけ、玲惟と拓真の間には何もないと本当のことを話す。
 彼女の名は石野といい、最近、ケガの多い拓真を心配して、お守りを渡そうとしていた。
 玲惟は彼女を応援するが、石野は拓真が塾から出てくるのを待っていて、帰りが遅くなり、連れ去り事件に巻き込まれる。
 玲惟は責任を感じ、一人で「鬼」を捜そうとするのだが…」

・「鬼面羅W」(「ちゃおデラックス」2001年11月22日号)
「人気のない廃屋や倉庫ばかりを狙った放火事件が三か月前から14件発生していた。
 鬼が絡んでいる可能性があり、玲惟と拓真が事故現場の調査をしていると、そこに眼鏡をかけた少年の姿がある。
 彼は拓真と同じ塾に通う佐田木学という少年で、以前は十位以内に入っていたが、今はスランプに陥っていた。
 そのスランプに陥った頃と放火が始まった頃が一致するため、玲惟は鬼面羅を使って彼を監視する。
 その夜、またもや放火事件が発生。
 佐田木のせいではなかったが、拓真は放火犯人はもう一人いるのではないかと推測する。
 そこで拓真は佐田木に揺さぶりをかけ、もう一人をあぶり出そうとするのだが…」

・「鬼面羅X」(「ちゃおデラックス」2002年4月25日号)
「公園で女性の死体が見つかった事件。
 死体には外傷が見当たらないにも関わらず、内臓がなくなっていた。
 また、女性は出会い系サイトを利用しており、容疑者はこの中にいるようなのだが、百名以上もいるため、特定は困難を極める。
 早速、玲惟と拓真がその公園に行ってみると、出会い系サイトを利用して、男から金を脅し取る集団と遭遇する。
 二人はどうにかその場から逃げ出せたものの、リーダーの少女が二人の前に再び姿を現わす。
 彼女の名はアサミで、中学一年生であった。
 彼女は拓真に惚れ、拓真も出会い系サイトについて知るため、彼女と付き合うふりをする。
 しかし、玲惟は嫉妬の炎を燃やし…」

・「鬼面羅Y」(「ちゃおデラックス」2002年6月26日号)
「スクーターの乗った少年二人が行方不明になった事件。
 この少年たちは弱者を狙ってひったくりを繰り返していた。
 玲惟と拓真がこの件について話しながら歩いていると、何者かが彼らを尾行している。
 それは室府という中学教師であった。
 彼は二人にこの件から手を引くよう警告し、立ち去り際に、自分は「ちゃんと相手を選ぶ」と玲惟に言う。
 玲惟は彼の中に「鬼」がいることを確信するも、彼はその「鬼」をコントロールすることができた。
 とりあえず、玲惟と拓真は室府について調査を始める。
 彼は勤めている中学校では実に理想的な教師であった。
 ただし、家庭については、五年前、彼はある悲惨な事件に巻き込まれていた。
 そして、再び、バイクでひったくりをしていた少年たちが姿を消す事件が起きる…」

 ちゃおホラー初期の良作です。
 「女除霊師&男の助手」と言えば、椎名高志先生の「GS美神」(ファンです!!)がありますが、この作品ではヒロインは少々ガサツな女の子、男のキャラは多少、偏屈だけどしっかり者の少年という設定で、これはこれでいい感じにハマっております。
 キャラも内容も良く、ホラーとしてしっかりしており、かつ、恋愛要素もいい塩梅で、なかなか面白い作品だと思いますが、熊崎慎子先生はあまり作品を残さないまま、漫画家を辞めてしまった模様で、この作品は埋もれてしまったようです。
 続きがあるのなら、是非とも読みたいのですが…。
 再評価が望まれます。

2024年9月19・20日 ページ作成・執筆

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