小室栄子・他「口だけ女 〜街で噂の怖い話〜」(2011年12月5日初版第1刷発行)

 収録作品

・小室栄子「口だけ女」(「ちゃおデラックスホラー2011年7月号増刊」掲載)
「皆から注目されたいがために、嘘をつきまくる少女、すみれ。
 彼女は、彼女の嘘でひどい目にあった少女から「口だけ女」にお仕置きされろと怒鳴られる。
 すみれがネットで「口だけ女」について調べたところ、「口だけ女」は顔に口だけしかない女の化け物らしい。
 「口だけ女」は嘘をつく人間を憎み、嘘つきを見つけると、ペンチでお仕置きに来るという噂なのだが…」

・溝口涼子「ニセモノオカアサン」(描き下ろし)
「真穂の母親は最近、すっかり変わってしまった。
 そんな時、真穂はクラスメートから「ニセモノオカアサン」の都市伝説について聞かされる。
 それは、いつの間にか本物の母親とすり替り、もしも、偽物と気付かずに抱きついてしまうと、どこか知らないところに連れ去られてしまうと言う。
 ただ、その前に、本物の母親が帰ってきたら、ニセモノオカアサンは消えてしまうらしい。
 真穂は最近の母親の態度と「ニセモノオカアサン」の話が符合することに気付き、家の母親が本物かどうか見極めようとする…」

・泉道亜紀「人間回収車」(「ちゃおデラックスホラー2011年7月号増刊」掲載)
「黒谷美鈴は誰もが恐れる、校内一のヤンキー(そんなもん、自慢になるのか?)。
 学校裏で、生意気な後輩にヤキを入れたところ、少々やり過ぎてしまう。
 そこへ不要な人間を回収する「人間回収車」が通りがかる。
 渡りに船と、美鈴は、重傷を負った後輩を回収してもらう。
 自分にとって不要な人間は皆、回収してもらえばいいと美鈴は有頂天になるが…」

・坂本勲「ワタシは誰?」(描き下ろし)
「まりなの通う学校の通学路にあるデコボコ道。
 その道で「転ぶと生まれ変わったように別人になる」という噂があった。
 ある日、まりなと友人達は、内気でオタッキーな清水という少女を突きとばして、その道で転ばす。
 すると、翌日から、清水は今までのイメージとは180度転換して、可憐で明るい少女に大変身。
 だが、清水の変身に影響を受けた、まりなの友人は、デコボコ道で転んだ後、鬱病の引きこもりとなり、遂には、電車に投身自殺してしまう。
 まりなは清水からデコボコ道の秘密を聞き出そうとするのだが…」

・なぎり京「アリえない話」(「ちゃおデラックスホラー2011年1月号増刊」掲載)
「山に囲まれた村に引っ越してきた、清瀬ましろ。
 彼女は虫は大の苦手であったが、殺生を嫌う、心優しい少女であった。
 田舎ということもあり、どこもかしこも虫だらけで、ましろはテンパりまくる。
 更には、蟻の大群の幻覚を幾度と目にする。
 そんな彼女を、蟻我忍(ありが・しのぶ)という少年が支えてくれるが、彼の正体は…?」

・溝口涼子「まるまるさん」(描き下ろし)
「二人の少女が、幼稚園児達を見たことをきっかけに、「まるまるさん」の噂話をする。
 それは、小さい頃、一緒に遊んだのに、非常に印象が薄く、記憶に残らない子供が「まるまるさん」だったら、忘れた相手を殺しに来るという。
 その夜、二人は、自分達の小さい頃に、行方不明になった子供がいたことを思い出す。
 結局、子供は見つからないままであったが、この事件に二人は絡んでいた。
 その子供の名前は…?」

・北村有香「スピカを見ている」(「ちゃおデラックスホラー2009年7月号増刊」掲載)
「高校一年生の川口里奈は引っ込み思案で、いまだ友達ができない。
 会話の輪にも入れず、休み時間は一人、ネットで時間を潰す。
 だが、掲示板で「スピカ」という名の友人ができてから、寂しくなくなる。
 どんなことでも「スピカ」とこまめにやり取りをして、遂には、「スピカ」の助言のお陰で、本物の友達もできる。
 忙しくなった里奈は「スピカ」とのチャットを怠るようになるが、いつしか、別の里奈が「スピカ」とチャットするようになる…」

 「都市伝説」関連の短編を集めた単行本です。
 「アリえない話」だけは「蟻ホラー」なので、例外です。(蟻の描写を頑張っているのに、イマイチ、話がよくわからないのが残念。)
 個人的な好みは、坂本勲先生の「ワタシは誰?」。「なさけ・むよう」なラストが印象的でした。

2018年4月2日 ページ作成・執筆

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