阿南まゆき・他「ホラー傑作選 恐」(2018年5月2日初版第1刷発行)

 収録作品

・阿南まゆき「山猫の誘惑」(「ちゃおデラックスホラー」2017年9月号ホラー増刊掲載)
「クイダオレ国のローズマリー姫は世界一の食いしん坊、かつ、わがまま娘。
 彼女のわがままのお陰で、国のコックは次々と死刑にされ、一人だけになってしまう。
 そのコックに姫は隣のグルマン国に行き、珍しい料理を覚えてくるよう命令する。
 しかし、グルマン国には人を食べる恐ろしい山猫が棲んでいるという噂があった。
 グラマン国に行くのは嫌だが、かと言って、新しいメニューは思いつかず、コックは苦悩する。
 そこに旅の若者が現れ、コックから話を聞く。
 旅の若者はグルマン国のコックで、極上の食材を探しにクイダオレ国に来たのであった。
 グルマン国のコックはクイダオレ国のコックにあるスパイスを渡す。
 このスパイスを料理に入れると、食べ飽きた料理でも一度も食べたことのない極上の料理に見えるという。
 このスパイスのお陰で姫はどんな料理でも喜んで食べるようになるのだが…」

・坂元勲「公衆電話」(「ちゃおデラックスホラー」2017年3月号ホラー増刊掲載)
「葉月はスマホのし過ぎでテスト期間が終わるまでスマホを没収される。
 連絡には公衆電話を使うよう言われるも、その使い方がわからない。
 ある晩の帰宅途中、彼女は後ろから男につけられていると感じ、目についた公衆電話ボックスに入る。
 男はそのまま通り過ぎ、彼女が公衆電話ボックスから出ようとすると、電話から「行かないで…」という微かな声が聞こえる。
 翌日、彼女は昨日の電話ボックスに入ってみる。
 中は外と隔絶された「別の世界」のようであった。
 突然、公衆電話が激しく鳴りだし、葉月はボックスから逃げ出す。
 テスト期間が終わり、彼女はスマホを返してもらうが、異様な数の着信がある。
 それは全て公衆電話からで、彼女はあの公衆電話からだと思うのだが…」

・おりとかほり「橋本」(「ちゃおデラックスホラー」2017年9月号ホラー増刊掲載)
「橋本という女子生徒はあまりに暗く、クラスでは全く存在感がなかった。
 ある日、彼女のクラスに転校生が来る。
 彼は高坂隼也という名で、橋本と同じ小学校であった。
 彼は橋本の名を聞き、彼女に自分のことを覚えているか尋ねる。
 彼は小学校の頃、彼女をいじめから救ってくれ、以来、彼女にとっては王子様であった。
 橋本は彼に話しかけられ、天にも昇る気持であったが、実は橋本にはもう一人おり、彼はそちらの橋本りかと勘違いしていた。
 彼が自分のことを覚えておらず、橋本はどん底に落ちるが、彼に自分のことを覚えてもらおうとつきまとう。
 一方、隼也は橋本りかと付き合い始め…」

・環方このみ「さて最初からもう一度」(「ちゃおデラックスホラー」2015年7月号ホラー&ミステリー増刊掲載)
「滝井依(たきい・より)は「やさしい」(つもりの)女の子。
 彼女は清瀬という少女がクラスでいつも一人なのに同情して、自分たちのグループに誘う。
 だが、何度声をかけても、清瀬は全く誘いに乗らない。
 遠足の日、依は清瀬を一緒に弁当を食べようと誘うも、相変わらず、拒否される。
 依が行こうとすると、清瀬は彼女を呼び止め、二度と声をかけないよう言い、また、痛い目を見るから、へんな同情をしないよう忠告する。
 依は頭に血が上り、清瀬をぶとうとすると…」

・笹木一二三「帰り道」(「ちゃおデラックスホラー」2016年3月号ホラー冬増刊掲載)
「南歩子は怖がりな小学生。
 小学校への通学路に四つ辻があるが、ある日、友達から四つ辻にまつわる怖い話を聞かされる。
 振り向いたら、あの世に連れて行かれると脅かされ、南歩子がビクビクしながら、四つ辻を通ると、後から足音がする。
 振り向くと、南歩子と同じぐらいの女の子がいて、名前は「なほこ」、しかも、髪型もランドセルも一緒であった。
 南歩子は新しい友達ができたと喜ぶが、徐々になほこの異常さを身をもって知ることとなる。
 なほこの正体は…?」

・辻永ひつじ「友情の穴」(「ちゃおデラックスホラー」2012年11月号ホラー秋増刊掲載)
「高校一年生の有里香は明るく、皆の人気者。
 彼女と同じクラスに小学校からの親友の果萌(かほ)がいた。
 彼女は右目の病気のため、髪で右目を隠し、そのせいでいまだに友達ができない。
 有里香はそれを大して気にせず果萌と仲良くしたいと思うが、周りの友人はあまりいい顔をしない。
 ある日、彼女は友人たちから合コンに誘われる。
 その日は果萌とアイドルグループのCDを買いに行く予定であったが、こんなチャンスは滅多になく、彼女は果萌に嘘をついて約束をキャンセルする。
 だが、何故か合コンに果萌が来ていた。
 果萌はあからさまに有里香の邪魔をして、たまりかねた有里香は隙を見て加納悟という青年とその場を脱出。
 これが縁で二人は付き合うようになるが、有里香は果萌に彼のことは秘密にする。
 また、彼とのことが忙しくて、有里香は以前のように果萌を構ってはいられない。
 それを果萌に責められ、有里香は彼女にもう話しかけないよう言うのだが…」

・「まるまるがえし」(「ちゃおデラックスホラー2015年7月号増刊」掲載)
「リサはわがままな女の子。
 両親に癇癪を起して、家をとび出たところ、身なりのよい青年が彼女の前に現れる。
 リサは昨日、蛇に襲われていた小鳥を助けており、その恩返しに来たらしい。
 青年について、リサが井戸にとび込むと、中は豪華な部屋で、彼女はお姫さま扱い。
 そこで、リサは食っちゃ寝を繰り返し、気が付くと、まるまると太ってしまう。
 両親のことが心配になった彼女は家に帰りたいと青年に頼むのだが…」

 ベストは阿南まゆき先生「山猫の誘惑」でしょう。
 メルヘンちっくな装いではありますが、中身はかなりのグロ志向。
 絵柄も内容に合っており、良作と言って差し支えないと思います。
 ただ、個人的な欲を言わせてもらうと、ラストはもっと派手にやって欲しかったです。(「序曲・十三日の金曜日」という映画を思い出しました。)

2024年11月19日 ページ作成・執筆

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