みづほ梨乃「ショコラの魔法〜bitter sweet〜」(2010年3月6日初版第1刷・2019年2月20日第23刷発行)
森の中にあるチョコレート屋、ショコラ・ノワール。
お客を出迎えてくれるのは美しいショコラティエの哀川ショコラと猫のココア。
彼女の作るチョコレートはどんな願いでも叶えてくれる。
ただし、その代償として大切なものを一つ、失うこととなるのだが…。
・「レッドチェリーチョコレート 零の記憶」(「ちゃお」2009年8月号)
「哀川ショコラの父、哀川秀我はチョコレート作りの天才であった。
彼の目標は『究極のチョコレート』を作ること。
しかし、師の獅堂に妬まれ、数々の妨害を受ける。
手始めに、秀我が使うカカオ豆が入手できなくなる。
でも、秀我には書き溜めた膨大なレシピ本があり、これさえあれば、自由自在に様々な味を作り出せた。
そこで獅堂は人を雇って店に火をつける。
店は全焼し、レシピ本はすべて焼失、秀我も顔にひどい火傷を負う。
秀我とショコラはフランス人の祖父が残した屋敷に移るが、秀我は徐々に狂い始める。
彼は『究極のチョコレート』を作るべく、悪魔を呼び出すが…」
・「チョコレートマカロン 凍てついた時間」(「ちゃおデラックス」2009年ホラー)
「英あやめは学園の理事長のお嬢様。
何でも思い通りになり不自由はなかったが、唯一の例外は恋人の亮一。
彼は気さくで明るい自由人で、携帯電話を持ってないのでなかなかつかまらない。
ある日、彼女は岡本美樹という女子生徒が亮一に想いを寄せていることを知る。
しかも、皆、タカビ〜なあやめよりも優しい美樹の方が亮一とお似合いを思っていた。
その後、亮一と美樹が一緒にいるところをあやめは目撃し、嫉妬の炎を燃やす。
亮一はバイト帰りに彼女を家に送ったと話すが、それがあやめの怒りをますます煽る結果となる。
翌日の林間学校、あやめと亮一が皆と離れた場所にいると、美樹がやって来る。
彼女は亮一の恋人気取りで、あやめは怒りマックス。
亮一と美樹が崖の上に立っていたので、あやめは美樹を突き落とそうとする。
ところが、その直前に美樹はわざと崖から転落、とっさに亮一は彼女をかばう。
あやめは美樹がわざと落ちたと言うも、亮一にやめるよう怒鳴られ、プライドを傷つけられたあやめはその場を立ち去る。
怒りに任せて、森を進むと、ショコラ・ノワールの前に出る。
哀川ショコラはあやめに「時間を戻すチョコレートマカロン」を勧めるのだが…」
・「パヴェ 黒い天秤」(「ちゃおデラックス」2009年夏の超大増刊号)
「(「チョコレートマカロン 凍てついた時間」の前日譚)
岡本美樹の一家は交通事故で父親は死亡、母親は意識不明の重体となる。
一人になった美樹を励ましてくれたのが、両親の後輩の石田医師であった。
彼は美樹にある秘密を教える。
実は両親が病院に運ばれた時、英あやめも捻挫で来ており、金にものを言わせて治療を先に行わせ、両親の処置が遅れてしまったのであった。
それを聞き、美樹はひどいショックを受ける。
石田医師もまた、昔、美樹の母親に想いを寄せていたことがあり、英家に対し怒りを抱いていた。
ある時、彼女は看護婦たちがショコラ・ノワールについて話しているのを聞く。
何でもその店のチョコレートは善人が食べると薬になるけど、悪人が食べれば毒になるらしい。
彼女はその店を訪れ、哀川ショコラに事情を話し、復讐する相手に送るチョコレートを選んでもらう。
ショコラが選んだのは「パヴェ」という石畳のようなチョコレート。
これを相手に送れば、彼女の願いは叶うと言うのだが…」
・「タルトレット 静寂の雨」(「ちゃおデラックス」2009年秋の大増刊号)
「雨の中、小橋真琴が柚月という少女を追いかけている。
柚月は真琴を完全に無視し、真琴が転んでも振り向きもしない。
そこに哀川ショコラが現れ、真琴をショコラ・ノワールに招く。
店には願いの叶うチョコレートがたくさんあるも、真琴は自分の願いを覚えていなかった。
ショコラは真琴に自分のことを一つずつ話すよう促す。
真琴と柚月は大の仲良しであった。
しかし、進級の際にクラス替えで別々のクラスになってしまう。
真琴はクラスで孤立し、休み時間、柚月のクラスに行くものの、このままでは新しい友達ができないから、来ないようキツく言われる。
その日の放課後は雨が降り、傘を持っている真琴はクラスの女子と一緒に帰ろうと考える。
だが、その女子生徒は勘違いをして、彼女から傘を借りて帰ってしまう。
そこに柚月が現れるが、彼女は真琴を無視して行ってしまい…」
・「ホローチョコレート 割れない卵」(「ちゃおデラックス」2009年冬の大増刊号)
「橘つかさは中学三年生。
彼女は進学塾に通っており、成績でAクラス、Bクラスに分かれていた。
Aクラスに入れたら、犬を飼ってもらう約束で、彼女は勉強を頑張り、念願のAクラスに入る。
つかさには関口桃子という友人がおり、軽薄そうな感じであったが、彼女も入ることができた。
ところが、桃子がカンニングしたと密告があり、彼女はクラスの生徒たちからいじめを受ける。
桃子はカンニングを否定し、つかさに助けを求めるが、つかさは彼女を信じることができず、突き放してしまう。
翌日、桃子が川で自殺したらしいとのニュースをつかさは知る。
つかさは桃子をかばわなかったことを後悔し、約束の犬を手に入れたけどあまり嬉しくない。
その夜、犬の散歩に出かけると、習慣でいつの間にか塾に来ていた。
誰もいないはずなのに、上の階の窓ガラスに人影が見え、それはすぐに消える。
その後、つかさの近くにいた塾生たちが次々と事故に遭う。
桃子の霊に呪われていると今度は彼女がいじめの対象になるのだが…」
「ホローチョコレート 割れない卵」はミステリーの要素があり、面白かったです。
ファンタジー風なラストも鮮やかで感心しました。
2024年10月8日 ページ作成・執筆