みづほ梨乃「ショコラの魔法〜knocking egg〜」(2014年7月6日初版第1刷発行)
森の中にあるチョコレート屋、ショコラ・ノワール。
お客を出迎えてくれるのは美しいショコラティエの哀川ショコラと猫のココア。
彼女の作るチョコレートはどんな願いでも叶えてくれる。
ただし、その代償として大切なものを一つ、失うこととなるのだが…。
・「メープル・チョコレート 甘い忘却」(「ちゃお」2014年1月号)
「片山みなみ(高校二年生)は入学式の時に荻原孝介に一目惚れをし、彼に近づこうとずっと努力をしてきた。
その甲斐があり、孝介は生徒会長、みなみは副会長と距離はかなり縮まったものの、まだ彼と釣り合ってないという思いが拭えない。
しかも、男好きな一年生の桜川鈴音が孝介に目を付ける。
鈴音は文化祭の後のダンスパーティでみなみをはめようとするも、これがきっかけで、みなみは孝介に告白する。
これを陰で見ていた鈴音はショコラ・ノワールへ行き、「記憶の一部をうばいとる」メープルチョコレートを手に入れる。
これにより、孝介はみなみに告白された時の記憶をなくし、翌日、みなみは普段と変わらない孝介の態度にショックを受ける。
みなみは孝介に本心を聞くのが怖く、その隙に鈴音は孝介に接近するのだが…」
・「ローズチョコレートマカロン 時の調べ」(「ちゃおデラックス」2013年秋の超大増刊号)
「中学一年生の小泉音羽はピアニストを目指す少女。
だが、彼女は毎日、レッスンばかりで、普通の女の子のように遊べないのをつらく思う。
ある日、彼女は陸橋の階段で滑ったところをイケメンの青年に助けられる。
彼女は自分がピアノ教室に通っていることを告げ、一週間後、彼がピアノ教室の前にやって来る。
彼の名は水樹遥で、大人っぽい彼に音羽はすっかり惚れてしまう。
恋をしたことにより、彼女のピアノは情感を得てぐんぐんと上達、そして、コンクールで見事優勝する。
これにより海外留学の話が出るものの、遥は彼女にそぼにいてほしいと頼み、彼女は留学を諦める。
すると、クラスメートの佐野瑞希は彼女が留学を辞めたことを責める。
彼女は逆上して、学校からとび出すのだが…」
・「ショコラノワゼット 悪意の礫」(「ちゃおデラックス」2014年春待ち超大増刊号)
「江ノ本せのかは天才スケーターと呼ばれたが、勝利へのプレッシャーに耐えかね、落ち目となる。
彼女はスケートを続けるべく、ショコラ・ノワールを訪れ、哀川ショコラからチョコをもらう。
数日後、彼女に霧咲レイというコーチがつく。
ライバルの秦理恵子によると、霧咲レイは不良コーチで、今まで何人もの選手を潰したという。
それでも、せのかが頼りにできるのは霧咲レイしかなかった。
ダメもとで指導を受けるうちに、せのかは自信を徐々に取り戻し、復活する。
これを見て、ライバルの秦理恵子も霧咲レイにコーチを依頼するも、けんもほろろに断られる。
そこで、理恵子はショコラ・ノワールで、「他の選手を妨害できる」ショコラノワゼットを手に入れる。
彼女はこの魔力を霧咲レイに見せつけ、せのかに手を出さない代わりに、自分のコーチを引き受けさせるのだが…」
・「サクリスタン 白い制裁」(「ちゃおデラックス」2014年5月号)
「中学二年生の竹内みのりのクラスは完全に学級崩壊していた。
皆、好き勝手に振る舞い、担任教師は全く頼りにならない。
何とかしないといけないと思いつつも、一人では何もできず、卒業まで耐えるしかないと思っていたところ、笠井真心(かさい・まこ)という少女もクラスを変革しないといけないと考えていることを知る。
翌朝、真心は黒板に三十条からなる「クラスの法律」を書き記す。
不良たちは反発するも、法律に違反したとたん、次々と彼らに天罰が下る。
これにより皆、大人しくなり、クラスは平和になるが、悪気がなくても法律を違反すれば罰せられることにみのりは疑問を抱くようになる。
みのりは真心のかばんを調べ、天罰の秘密を知り、ショコラ・ノワールへ向かう。
彼女は真心を止めるため、「制裁のチョコ」サクリスタンを食べるのだが…」
・「ストロベリーホワイトマカロン ふたりの時間」(「ちゃおデラックス」2014年ホラー3月20日号増刊)
「朝、目覚めると、哀川ショコラの身体は小さくなっていた。
小さくなる魔法をかけられたようだが、誰の仕業かわからない。
これでは接客ができず、閉店しようとした時、来客がある。
仕方なくカカオに応対してもらうが、ショコラは内心ハラハラし通し。
客は橋本麻里という高校一年生の少女であった。
彼女はずっと片想いだった綾野卓にバレンタインデーに告白し、カップルになる。
だが、付き合い始めても、彼とはデートもないし、一緒にいる時間もあまりない。
彼女は段々と彼が自分を好きなのかどうかわからなくなり、一方的に彼に別れを告げてしまうのだが…」
「ローズチョコレートマカロン 時の調べ」はなかなかの名編だと思います。
SFが好きなので、「※※※・※ー※」(ネタばれ防止のため、伏字)が扱われていると、嬉しいものがあります。(また、ロマンスと実に相性がいいんだ!!)
こういう誰も傷つかない作品はやはりいいですね。
2025年2月13日 ページ作成・執筆