真己京子・他 「衝撃告白!私たちの心霊体験」(2015年11月4日初版第1刷発行)

 収録作品

・真己京子「既読スルー」(「ちゃおデラックスホラー」2015年7月号増刊)
「女子高生達の間で噂の「令華さま」。
 ネットのグループに招待した覚えがないのに、「令華」というアカウントが現れて、そのメッセージを既読スルーすると、一週間以内に殺されると言う。
 令華さまから逃げる方法はただ一つ、ほかの誰かを自分の身代わりに紹介することであった。
 絵梨が友人達とその噂について話していると、絵梨にアプローチをかけている悠が彼女に噂が本当かどうか試してみようと言う。
 悠が「令華」のアカウントを作り、梨絵がそのメッセージを既読スルーすると、待ち受け画面に顔を真っ黒に塗った女子学生が現れる。
 その夜も、その女子学生が梨絵の家に出現し、「令華さま」の噂は本当である事が判明。
 怯える梨絵に、悠は自分が助けると約束する。
 彼は「令華さま」のもととなった事件があると話し、二人で地元の中学を訪れるのだが…」

・「転校生のサチコさん」(「ちゃおデラックスホラー&ミステリー」2015年7月号増刊)
「リオのクラスに転入してきた円サチコという美少女。
 とても明るく、すぐにクラスの人気者になるが、リオは彼女を一目見た時から、怖くて仕方がない。
 また、リオの友人で、自称「霊感少女」の岬チヅルは、彼女にバカにされていると思い、ことあるごとに反発する。
 ある時、チヅルがサチコの怖い話にケチをつけたことから、サチコが見つけたという「本当にヤバイところ」に行くこととなる。
 それは、学校の近くの廃墟にある、古ぼけたアパートの「202号室」であった。
 リオはその建物が怖くてならず、その部屋に入ろうとするチヅルとクラスメート達を止めようとするのだが…」

・もちうさぎ「みちづれレター」(「ちゃおデラックスホラー」2015年7月号増刊)
「中学三年の野々原鈴菜と小田希は、中学一年の時に出会ってから親友同士。
 二人は同じクラスの椎名弓弦に惚れていたが、彼がどちらを選んでも恨みっこなしというほど、仲が良かった。
 ある日の下校途中、希の足元に黒い手紙が落ちてくる。
 希が中を開けると、手紙は彼女宛てで、この手紙が届いた方は、死後、誰か一人道連れにできると書かれてあった。
 その夜、希はトラックにはねられて亡くなる。
 悲しみに沈む鈴菜のもとに、椎名弓弦がやって来て、彼女に告白する。
 一度は断ろうと思うものの、希は彼女の幸せを願っていると考え、彼の告白を受け入れる。
 後日、鈴菜と弓弦は希の墓参りに行くのだが…」

・久世みずき「恋とはかくも。」(「ちゃおデラックスホラー」2015年7月号増刊)
「広谷アヤは水無という男子生徒に恋をする。
 彼は変わり者で、幽霊と付き合っていると噂されていた。
 彼に話を聞くと、寂しそうな幽霊を見ると、放っておけず、成仏するまで付き合っているのだと言う。
 アヤは彼に告白し、彼と付き合っている幽霊に宣戦布告するのだが…」

・なかむらさとみ「クサリ女」(「ちゃおデラックスホラー」2015年7月号増刊)
「派手派手なファッションに憧れる少女、紬(つむぎ)。
 母親と喧嘩して家をとび出した彼女は、ある家の庭で、お人形さんのようなファッションに身を包んだ少女を目にする。
 彼女に話しかけると、家から少女の母親が出てきて、紬を家に招き入れる。
 少女の名前はエマで、彼女の服、小物、アクセサリー全てが母親の手作りであった。
 紬はエマの母親からお下がりをもらい、翌日、学校に来ていく。
 紬の話を聞き、彼女の友人達は「クサリ女」ではないかと話すのだが…。
 「クサリ女」の噂とは…?」

・七瀬れい「みよちゃんが見てる」(「ちゃおデラックスホラー」2012年7月号増刊)
「夏休み。
 七海は、祖母の実家を訪れる。
 祖母は入院中、また、両親は仕事で遅れるため、当分、彼女一人…のはずだったが、マモルという少年が家に通いで来ることになっていた。
 マモルは祖母に家のことを頼まれていて、また、幼い頃、彼女と一緒に遊んだことがあるらしい。
 ある日、七海が縁側を歩いていると、「あけて」という声を聞く。
 ふと目を上げると、蔵の窓が開いていた。
 昔、祖母から蔵には入らないよう注意されていたが、少しだけならいいと、七海は蔵の扉を開く。
 真正面におかっぱ頭の日本人形があった。
 以来、日本人形は七海のもとに忽然と現れるようになる。
 マモルによると、人形は「みよ」という名で、昔、病気で蔵に隔離された少女が大切にしていた人形であった。
 娘の死後、村の娘が蔵で何人も変死するので、人形は蔵に封じられたという。
 封印から解かれた、みよから、七海は逃げようとするのだが…」

・姫川きらら「SABAKO」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「鯖を口にくわえた「鯖子」が人を襲う、大ヒット・ホラー映画「SABAKO」。
 原作は、姫川きららという漫画家で、彼女は、幼い頃によく見た夢を題材にしていた。
 だが、夢の中の存在だった「女の幽霊」が現実に現れ、彼女を襲う…」

・北村有香「天国の階段 〜訪問者〜」(「ちゃおデラックスホラー」2014年3月20日号増刊)
「中学一年生の花音は、幼い頃から霊を視る能力があり、他の子供からいじめられていた。
 ただ一人の理解者は蓮という少年で、彼は彼女を守ろうとする。
 ある日、花音は、一人の女子学生の幽霊に気付く。
 その幽霊は昔、花音を気味悪がって、いじめた少女であった。
 花音は少女の幽霊を無視するが、幽霊はゆっくりと距離を縮めてくる。
 少女の幽霊の目的とは…?」

 この単行本は、坂元勲先生の傑作「転校生のサチコさん」をはじめとして、粒よりの内容となっております。
 個人的に印象深かったのは、もちうさぎ先生「みちづれレター」と、七瀬れい「みよちゃんが見てる」。
 「みちづれレター」はいい塩梅のバッド・エンドで、すんません、笑っちゃいました。
 「みよちゃんは見てる」は、人形をテーマにした昭和の怪奇マンガの「焼き直し」という辛辣な見方もできそうですが、平成のちゃおホラーに昭和の怪奇マンガ・スピリットが脈々と受け継がれているような気がして、嬉しかったです。
 あと、「人形もの」としてバッチリ怖がらせるところも好感度アップです。
 ただ、「鯖子」は「カックン」でした…。

2021年9月17日 ページ作成・執筆

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