鈴宮和由
「蒼い妖魔たち@」(1986年4月15日初版第1刷・12月20日第5刷発行)
「蒼い妖魔たちA」(1986年10月15日初版第1刷発行)

 雷雷(いかずち・らい)と雷鳴(いかずち・めい)は双子の兄妹。
 母の祥絵(あきえ)はある村の本家の娘であったが、竜太という男性と雷鳴山で会い、親の反対を押し切って結婚。
 しかし、二人が産まれた後、竜太は無惨な死を遂げ、祥絵は村を出る。
 そして、十七年後…。

単行本@(「週刊少年サンデー」1985年8月増刊号〜12月増刊号)
・「第1話 魔軍蘇える」
 雷と鳴が今度、転入したのは容馬高等学校。
 二人は十三回も転校していたが、理由は鳴に手を出す男子を雷がぶっとばしていたからであった。
 転校初日、雷には月村螢という友人(?)ができ、鳴もうまくクラスに溶け込む。
 二人が帰宅すると、アパートに母の幼なじみの猪四郎が訪ねて来ていた。
 猪四郎は二人に父親の写真を見せ、また、祥絵と竜太が出会った雷鳴山の沼がゴルフ場を作るため、工事されると話す。
 その話を聞き、祥絵は顔色を変える。
 その地に封じ込められていたものとは…?
 そして、雷と鳴に妖魔「おわらい」の魔手が伸びつつあった…。
・「第2話 プールに気をつけろ」
 鳴は女子水泳部に入り、プールの周辺は彼女を見ようと男子達で大賑わい。
 だが、そのプールには妖魔の「水鬼」がプールに入り込んでいた。
 妖魔は三人の女子部員を溺れさせ、助けようと潜った鳴に襲いかかる。
 雷は超能力の電撃を落とそうとするも、三人の女子部員がプールの中にいるため、使えない。
 鳴は雷に三人の女子部員を託し、自分一人で妖魔に立ち向かう…。
・「第3話 最後の神通力」
 祥絵は雷と鳴に父親のことを話す。
 父親は雷鳴山の沼に棲む竜で、同族を裏切って、祥絵を助けたのであった。
 そして、今、竜族は人間とのハーフである雷と鳴を抹殺するため、刺客を次々と送り込む。
 ある時、雷は月村螢に連れてこられた「怪奇抜研究会」で、降霊の依り代にされる。
 だが、それは妖魔たちの企みで、怪奇抜研究会の面々は妖魔にとり憑かれていた。
 鳴はそれを勘づき、雷のもとに向かうが、妖魔に憑かれた女子生徒が立ちふさがる。
 雷と鳴は追い詰めらるも、超能力が未熟で、うかつに使えない。
 二人が窮地に陥ったその時…。
・「第4話 妖力発動」
 町内で発生した連続引き裂き死体事件。
 容馬高校は事件が解決するまで休校となるが、雷と鳴は遊びに出てしまう。
 鳴が友人達といると、妖魔の気配を感じる。
 友人達と別れ、彼女が公園の奥に向かうと、そこには動物園の虎と合体した妖魔が待ち構えていた。
 鳴は水流を操り、虎の頭部を切断。
 これで一件落着かと思われたが…。
・「第5話 謎の龍玉」
 今度の妖魔は「絡女郎」と「つつが虫」。
 妖魔たちは雷と鳴が銭湯に行っている間に、祥絵を襲い、その魂を抜き取る。
 雷は母親を入院させ、病院の外で妖魔が現れるのを待つ。
 一方、鳴は田舎の祖母と猪四郎を呼び出し、母親と面会させる。
 その際、猪四郎はゴルフ場の工事現場で見つけたという竜の彫り物を持ってきていた。
 それを落とすと、中から玉が出てくる。
 祥絵は意識がないはずなのに、その玉を知覚し、決して手放そうとしない。
 龍玉の秘密とは…?

単行本A(「週刊少年サンデー」1986年1月増刊号〜6月増刊号)
・「第1話 狙われた龍玉」
 終業式の日、鳴は母親の見舞いに訪れる。
 すると、鉄也という少年が彼女に話しかけてくる。
 彼はずっと入院中で一人ぼっちと話し、同情した鳴は彼を母親の病室に連れて行く。
 しばらくして、雷と月村螢が病室にやって来るが、雷は鉄也を妖魔と見抜く。
 雷は鳴を廊下に連れ出して、そのことを教えるが、鳴は鉄也が妖魔とはとても信じられない。
 しかし、その頃、鉄也はその本性を現しつつあった…。
・「第2話 スクール水着を着た魚神」
 次に雷と鳴の前に姿を現わした妖魔は「魚神」。
 魚神は女子プロレスラーのダイアモンド・愛の身体に乗り移り、肺呼吸が可能になっただけでなく、かなりのパワーを手に入れる。
 鳴の水の力は魚神には効かず、雷の電撃もダイアモンド・愛を人質にされているため、使えない。
 二人はこの危機をどう乗り越えるのであろうか…?
・「第3話 雷対鳴」
 雷鳴山の沼、竜太によって倒された兄弟の竜が復活する。
 兄弟は甦っても半死半生で、二匹は合体して、ようやく一体分の妖力があった。
 竜は雷と鳴の兄妹と血がつながっていることを利用して、雷を操る。
 鳴はクラスメート達の被害を防ぐため、雷を学校の外におびき出す。
 そこで雷に襲われるのだが…。
・「第4話 悲しみの闘い」
 母親が入院中のため、雷はバイトで大忙し。
 ある朝、新聞配達のバイトをしていると、痩せこけた野良犬の姿をした妖魔と出会う。
 だが、この妖魔には敵意というものがなく、雷の父親に敬意を払っている節があった。
 一方、鳴は月村螢との仲が急接近。
 しかし、彼のことが完全に信用できず、悩んでいるところを、狐の姿をした妖魔に襲われる。
 雷も植物型の妖魔に襲われ、バイトの疲れもあり、超能力は威力が出ない。
 更に、野良犬の姿をした妖魔も現れ…。
・「第5話 血の取引」
 妖魔たちの絶え間ない攻撃。
 更に復活した竜も加わり、雷はある決意を固める。
 それは自分の命と引き換えに、鳴の命を助けてもらうべく、妖魔と取引をすることであった…。
・「第6話 終章」
 雷の死。
 鳴の心は激怒と悲しみで溢れかえり、収拾がつかない。
 そこに月村螢が現れる。
 軽いノリの螢に鳴は怒りを爆発させるのだが…。
 そして、雷鳴沼で竜とその甥の対決が行われる…。

 1980年代の「少年サンデー」で人気のあった鈴宮和由先生(女性)によるモンスター・ホラーです。
 と言っても、鈴宮先生はこのジャンルにさほど興味があったわけではなく、あとがきによると、当時の担当者が好きな「お化け物」をやろうと考えたものの、その担当者が第一話を描かないうちから移動になり、大変苦労されたとのこと。
 二巻で力尽きた模様で、かなり薄味ですが、努力の甲斐があってか、それなりに面白いと思います。
 あと、気になったのはセリフやギャグに古臭さ。
 当時、小学生だったので、時代の空気は理解できますが、懐かしさよりも、個人的には、妙に気恥ずかしくて、シラケてしまいます。(個人差あります。)
 ちなみに、作者は「うる星やつら」のファンだったらしく、影響がちらほらあるのかも…。

2023年9月11・12日 ページ作成・執筆

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