阿南まゆき・他「本当に怖いおとぎ話」(2022年5月1日初版第1刷発行)

 収録作品

・阿南まゆき「血まみれシンデレラ」(「ちゃおコミ」掲載)
「シンデレラは義母やその娘にいじめられていた。
 彼女は王子様の花嫁探しのための舞踏会に行きたいが、彼女への招待状はない。
 ふと見ると、台の上の本が光っている。
 本を開くと「魔女さまを呼び出す方法」について書かれており、身体に魔女(WITCH)の文字を刻み、魔女さまを呼び出すと、命と引き換えに三つの願いを叶えてくれるという。
 物は試しで、シンデレラは左腕に魔女の文字を刻み、お城の舞踏会に行かせてくれるよう頼む。
 すると、義母が突然、二人の娘を殺し、シンデレラに招待状とドレスを渡す。
 城に向かう途中、靴屋のショーウィンドウにきれいなガラスの靴があり、シンデレラはこれを願う。
 すると、店内にいた客が店員を殺害して、シンデレラに靴をプレゼントする。
 シンデレラはお城に着くのだが、今度は王子様と踊ることができない。
 シンデレラは王子様と踊ることを願い、ライバルは皆、殺される。
 こうして、シンデレラは王子様と結婚することとなるのだが…」

・環方このみ「あかずきん 〜After dark〜」(「ちゃおデラックスホラー」2017年9月号ホラー増刊掲載)
「みんなご存じ『赤ずきん』の童話。
 最後は「めでたしめでたし」で終わるはずだったが、まだ続きがあった。
 赤ずきんは寄り道して祖母を死なせたことで皆から責められるようになり、また、その後、猟師が死んだことも彼女のせいにされる。
 町人だけでなく、家族からも厄介者扱いされ、彼女は居場所をなくすが、そんな時、一人の少年と出会う。
 彼は彼女に同情し、優しく微笑みかけるが、彼の正体は…?」

・小室栄子「乙姫様は深く愛する」(「ちゃおコミ」掲載)
「浬(かいり)は女の子にもてたい少年。
 ある日、海に向かって「もっとモテる男になりたいよーっ!!」とシャウトすると、「なれますよ」と返事がある。
 返事をしたのは海亀で、彼の望みの叶う「夢の竜宮城」に彼を連れて行く。
 目を覚ますと、美しい乙姫様が彼の傍にいた。
 乙姫様だけでなく、侍女も皆、美しく、まさしくハーレム状態。
 彼はこの世界でしばらく楽しむつもりでいたが、乙姫様は真剣で、彼と結婚する気満々。
 彼は乙姫からは距離を置いて、他の女の子たちと気軽に楽しもうとするのだが、乙姫は彼が手を出した少女たちを皆、処刑する。
 乙姫がメンヘラ女と知って、彼は竜宮城から逃げようとするのだが…」

・真山リコ「人魚姫のヒミツ」(「ちゃおデラックスホラー」2018年9月号ホラー増刊掲載)
「仲村真凜(15歳)は容姿は人並で、引っ込み思案の女の子。
 彼女は宮田という男子生徒に想いを寄せているが、話しかけることができない。
 ある晩、彼女が急いで帰宅しようとすると、プールから何かが上がってくる。
 それは人魚の少女で、名前はスイであった。
 真凜はスイと友達になり、宮田と話ができないことを愚痴る。
 すると、スイは「理想の姿になれる薬」をプレゼントする。
 ただし、これは恋が成就しなければ、泡となって消えてしまうという危険極まりない代物であった。
 ある日、スイが宮田のミサンガをプールの底で拾い、真凜に渡す。
 これをきっかけに真凜は宮田とよく話すようになるのだが、ある時、宮田はスイを見て…」

・福永まこ「宝石姫」(「ちゃおコミ」掲載)
「エイミーは横暴な両親にこき使われていた。
 ある日、遅くまで山の中で薬草を探していると、不思議な少女と出会う。
 彼女は非常に美しく、特に印象的なのは「サファイアとルビー色のオッドアイ」であった。
 家に戻ると、その少女は「宝石姫」だと両親は言う。
 昔、貧しい一家に全身が宝飾でできた女の赤ん坊が生まれる。
 一家は赤ん坊に「宝石姫」と名付け、その身体の宝石を売って金持ちになる。
 そして、一家が死んだ後も宝石姫は貧しい人たちに身体の宝石を分け与えていると伝えられていた。
 両親はエイミーに宝石姫から宝石を奪ってこいと彼女を再び山へやるのだが…」

・寺下よこ「オオカミと赤ずきん」(「ちゃおコミ」掲載)
「人里離れた山奥にある一軒家。
 ここにハナという少女が祖母と共に暮らす。
 彼女たちは「赤ずきん一族の末裔」で、ハナはこのコテージから外に出てはならないと厳命されていた。
 何故なら、彼女たち一族は「狼に襲われる運命」で、「身を守れる大人になるまで誰とも会わず外に出てはいけない」のであった。
 と言われても、ハナは「広い外の世界」に憧れる。
 そんなある日、ハナの家を見知らぬ少年が訪ねてくる。
 彼は町医者の息子でレオトといい、庭の薬草を取らしてほしいと頼む。
 ハナがに町のことを尋ねると、彼は話す代わりにドアを開けるよう言う。
 祖母の足音が聞こえ、ハナはレオトを帰らすが、彼のことが気になって仕方がない。
 だが、翌朝、窓の桟に血まみれの鳥の死骸があった。
 祖母はハナに言いつけを守るよう釘を刺すが、その日、またレオトがやって来て…」

 「おとぎ話」をテーマにしたアンソロジーです。
 どの作品もまあまあ良いと思いますが、個人的なベストは小室栄子先生「乙姫様は深く愛する」。
 まあ、確かに「浦島太郎」を読めばわかる通り、乙姫様は一種のサイコパスでしょうな。
 あと、諸星大二郎先生「栞と紙魚子」の一編の影響あるような気が…。

2024年12月9日 ページ作成・執筆

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