青木孝夫「霊界教室@」(津野山久・原案/1992年9月25日初版第1刷発行)

 不思議世界の案内役、八雲礼士。
 彼が転校した先々で、体験した奇怪な出来事とは…?

・「1時間目 赤いリボン」
 東海地区のとある小学校。
 そこの図工室には、悲しげな顔をした少女の自画像があった。
 噂によると、この少女は頭もよく、絵も上手でクラスの人気者であった。
 だが、彼女を妬んだクラスメートに大切なリボンを取られ、取り戻そうとした時に交通事故にで亡くなったと言う。
 ある放課後、ある少女が図工室に忘れ物を取りに行く。
 彼女の身を心配した八雲は、彼女を迎えに行くが、二人とも、図工室に閉じ込められてしまう…」

・「2時間目 おまえだ!!」
 とある山村の小学校。
 校庭の隅には古い墓場があり、戦国時代、そこへ合戦の死者を弔い、今は武者像の慰霊碑が作られていた。
 そして、満月の夜、鎧武者達は蘇えり、その場にいた者は血祭りにあげられると噂される。
 悪ガキの谷田部は、伝説を利用して、クラスメートを脅かして、大喜び。
 だが、八雲に注意され、更に、慰霊碑前にいつもいる猫に引っかかれ、猫を川に蹴落として殺す。
 先生に説教された帰り道、彼が墓場の道を歩いていると…。

・「3時間目 学校の七不思議」
 R小学校の新聞部。
 編集会議で、次のテーマは学校の七不思議に決定する。
 七不思議のうち、五つまではわかっており、残りの二つを確かめるため、新聞部の一行は北校舎へ向かう。
 北校舎には、建設中に事故死した少年の足が自分の身体を探して、歩き回っているという噂があり、これが六番目。  そして、七番目の話とは…。

・「4時間目 スキー合宿」
「東北地方のT小学校では、冬休みに泊りがけのスキー合宿が開かれる。
 合宿に向かう途中、幽霊が出ると噂されるトンネルで、バスは老婆を轢く。
 だが、運転手が外を確認しても、どこにも老婆の姿はない。
 目の錯覚かと、バスを発信させると、バスを奇怪な老婆が追いかけてくる。
 どうにか振り切ったものの、今度はいつまで経っても、宿に着かない。
 吹雪は激しくなり、これ以上の運転は危険という時に、人家の灯りを発見。
 そこは古びた旅館で、一行はそこに泊まるのだが…。

・「5時間目 桜の木」
 八雲礼士が新しく通うことになった小学校。
 そこに新しく赴任してきた校長は、伐採が決定していたにも関わらず、校舎横の桜の木を切ることを許さない。
 八雲は桜の木に三つの影のようなものを視て、不安を感じる。
 実は、四十年前、この学校で四人の少年が肝試しをしていたところ、失火により三人が焼死。
 校舎は全焼したが、不思議なことに、この桜の木のみが何の被害も受けず、残った。
 八雲は桜の木に焼死した少年達の霊が憑りついているのではないかと考えるが…。

・「6時間目 テケテケ」
「放課後の校舎に一人で残っていると現れると言われる、テケテケ。
 テケテケは下半身がなく、右手に鎌、左手に大ハサミを持ち、もの凄いスピードで追って来て、捕まると殺されてしまうと伝えられる。
 新しい学校に転校した八雲礼士は、テケテケの噂話をきっかけに、中川という少年と仲良くなる。
 ある時、中川はクラスの皆で作った石膏像を壊してしまい、八雲にテケテケの仕業だと口裏合わせを頼む。
 これが思いのほか、うまくいき、学校中にテケテケの噂が広まる。
 中川は調子に乗って、テケテケの噂を助長していくが…。

・「特別授業」
「第一話 足音」
 九州地方のある中学校。
 熱中症で急死した生徒の代わりに選手に選ばれた少年。
 彼が運動場でマラソンの練習をしていると…。
「第二話 サッカー」
 関東地方のある中学校。
 下校時間はとっくに過ぎているのに、運動場にはサッカー部の部員がいまだ練習していた。
 教師が部員を注意しようとすると…。
「第3話 鏡」
 ある小学校の男子便所。
 ここでは八月の満月の夜、トイレの鏡の前に立つと、白い服を着た老婆が映ると噂されていた。
 その夜、少年が二人、その噂を確かめに行くが…。
「第4話 かみ」
 夕暮れの、ある中学校。
 警備員が校内を見回っていると、二階の女子トイレの一室に誰かがいる。
 校内を一回りし、また女子トイレを覗くと、いまだにこもりっぱなし。
 警備員はトイレの中へ声をかけると…。

 リアルタイムで読んだわけではないのですが、「霊界教室」は、コロコロコミックのトラウマ漫画として筆頭に挙げられる作品でありましょう。
 特に、「学校の七不思議」で「開かずの扉」の向こうから現れる少年の描写はヤバ過ぎです!!(個人的には、「据わった眼」がイヤ…。)
 つのだじろう先生の「亡霊学級」から延々と描き継がれる「学校の怪談」の系譜に連なる作品ですが、もしかしたら、同じつのだ先生の「ハイスクールミステリー 学園七不思議」に 触発されて、描かれたのかもしれません。(共に、バッド・エンド、多いし…。)
 それにしても、原案の津野山久さんって一体何者なんだろう?

2018年7月12日 ページ作成・執筆

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