地獄星レミナ(2005年10月1日発行)

・「地獄星レミナ」(「週刊ビッグコミックスピリッツ」2004年9月16日増刊号〜2005年7月24日増刊号)
「近未来の日本。
 謎の新星を発見した大黒博士は、その新星に自分の娘の名前と同じ、レミナと言う名をつける。
 麗美奈は元来は、引っ込み思案な娘だったが、これを機に、芸能界入りを勧められ、そこそこ幸先のいいスタートを切る。
 が、新星レミナは周囲の星々を消滅させながら、地球に向かってくる。
 レミナは星でありながら、巨大な舌のような触手(?)と目を持つ、正体不明な代物だった。
 レミナが地球の目前まで接近した時、人々はパニックを起こし、大黒親子を処刑しようとする。
 麗美奈は、芸能プロダクションやファンクラブの青年たちと逃げ回るものの、遂には捕まり、十字架に貼り付けられる。
 麗美奈を心配して帰国した大黒博士も捕まっており、胸を槍でメッタ刺しにされて死亡。
 次に、麗美奈が処刑されようとした時、レミナが地球に舌を伸ばす。
 そして、人類の滅亡が始まる…」
 伊藤潤二先生の作品の中で、最狂の怪作であるように思います。
 伊藤先生の最大の魅力は短編にあると思いますが、長編も傑作が多々あります。伊藤潤二先生の長編は、基本的には短編を積み重ねていくのですが、段々とストーリーに無理やマンネリが出てくると、予想もつかない展開をして、ストーリーを別次元にまで飛躍させていっております。
 このストーリーをひん曲げて、常軌を逸した展開で有無を言わさず、突き進む、この「豪腕」…ここに楳図かずお先生以来の天才の凄さがあります。
 が、あまりにもこの「豪腕」が過ぎて、常人には理解不能な次元に達したのが、この「地獄星レミナ」であります。
 でも、でもね…私、このマンガ、大好きなんです……いや、本当に好きです。
 こんなスペクタクルなマンガ、滅多にありません。
 「人類滅亡」テーマに取り組んだマンガは幾つかあるとは思いますが、ここまで派手で破天荒なのは、私の知る限り、諸星大二郎先生の「生物都市」とこのマンガぐらいなものでしょう。
 とにもかくにも、ここまで血わき肉踊る「人類滅亡」はなかなかないと思います。(トマス・M・ディッシュ「人類皆殺し」の後半も大ドタバタでした。)
 同じ絶滅するなら、核戦争による、眉間に皺を寄せた「人類滅亡」よりも、こんなお祭り騒ぎかどんちゃん騒ぎか区別がつかない、二日酔い必至の「人類滅亡」の方が遥かに面白そうだと思いませんか?
 こういう「人類滅亡」なら、はしご酒、いや、迎え酒さえ大歓迎であります!!

・「億万ぼっち」(「週刊ビッグコミックスピリッツ」2004年第2号掲載)
「カップル同士が糸で縫い合わされた死体となって発見される。
 それを手始めに、人々が縫い合わされた変死体となって発見される事件が続出。
 その裏には、「みんな集まろう ひとりでいたってつまらない」と主張する、謎の団体「億万ぼっちの会」があるらしいが…」

平成27年1月21日 ページ作成・執筆

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