岬かいり「終末の箱庭B」(2024年8月13日初版第1刷発行)

 収録作品

・「第10話 人糠」
「古い精米機を改装して作られた『コイン精人機』。
 これは特殊音波で「人の凶暴性の原因となる細胞の一部をペースト状にして排出させる」機械で、どんな乱暴な人間でもこれにかけられると真人間に生まれ変わる。
 ナツミの町ではこれが大流行し、迷惑をかける人は次々とこの機械にかけられる。
 ナツミはこれで町が平和になるからいいのかも…と思う反面、「人糠」を抜かれる前の方がより人間らしいとも感じる。
 ある日、彼女は友人の宮子が父親に電話しているのを目にする。
 宮子たちは夜、精人機のところに集まるようなのだが…」

・「第11話 生霊」
「暗藤は陰気ないじめられっ娘。
 彼女の左目には人外の遺伝子のために特殊な器官があることが原因であった。
 それにより彼女は人の生霊を視ることができるが、良いことは何もない。
 そんな彼女をクラスで唯一、ヒカルという男子生徒だけが庇ってくれる。
 彼とファースト・キスもして、彼女は前を向いて生きる決意をするのだが…」

・「生霊 後日譚」
「ヒカルは精人所を訪れる。
 ここは高級会員制であったが、彼は何度も頼みに来ていた。
 彼の目的は…?」

・「第12話 ニンゲン電池」
「杏の町では『人間電池』が急速に普及していた。
 人間電池とは電力を体力に変える仕組みで、人工内臓のお陰で食事もする必要がない。
 杏も他のみんなのように手術を受けたいが、定食屋の父親は決して許さなかった。
 ある日の帰り道、杏は恋人の敦史が見知らぬ女子生徒と『疑似ショート』をしているのを目撃する。
 これは人間電池同士をつないで快感を生む行為で、喫電所では集団で行っていた。
 これを目の当たりにして、杏は人間電池の手術をする気が全くなくなってしまう。
 だが、学校に行っても、手術をしていないのは彼女だけで…」

・「第13話 死角」
「塞込市では首の硬化術が義務化される。
 この町では精神疾患に悩む人が多く、首をメタル化し、顔を上げさせることで活力アップを図る。
 だが、高校生の秀隆はそういう風潮をバカバカしく思い、施術を受けることを拒否する。
 ある日、彼は皆、上を向いているので、しゃがんでいれば何をしてもばれないことに気付く。
 しゃがんだ彼は彼と同じようにしゃがんでいる男女のグループを出会う。
 彼らは「非硬民」と言われ、「人々の死角で非行に走る者」たちであった。
 秀隆は彼らの仲間入りをするが…」

・「第14話 一の美学」
「唯山一華の住む村のモットーは『ひとつでいいじゃん!』。
 「万物は一つに近いほど正義」で、あらゆるものを一つだけで済まそうとする。
 村は外界と隔絶しており、一華はそれが常識だと考えていたが、麓の回収所で昔の本を読み漁るうちに、外の世界のことを知っていく。
 どうやらこの村は非常に貧乏で、それから目をそらすために「一つ」を狂信しているらしい。
 一華はこの村の全てを嘘くさく感じるようになるのだが…」

・「箱庭の作り方」
「災人がつくった地下研究所にて、所長の栗栖葉傑が自分の研究の原点となった少女について語る。
 中学二年の頃、彼女は同級生と殴り合いの喧嘩をして私立中を停学となり、病院の心理相談室に通わされていた。
 ある日、彼女がトイレに行こうとすると、ある相談室の中でサンドボックスに顔を埋めている少女がいて…」
(「マンガワン」2024年2月2日配信分〜2024年4月26日配信分)

 読みながら、何か懐かしい感じに襲われ、何故だろう?…と考えていたところ、不意に閃きました。
 あくまで個人の意見ですが、関よしみ先生の漫画と共通したオーラを感じます。
 特に、「ニンゲン電池」などはかなり似た雰囲気で、関作品と岬作品が30年の時を経てつながっているようでちょっぴり感動してしまいました。
 岬かいり先生にはこれからも「イヤなリアリティ」をガンガン追求していってほしいものです。

2024年12月25日 ページ作成・執筆

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