環方このみ・他「怖いともだち」(2021年7月5日初版第1刷発行)
収録作品
・環方このみ「いないいない、私」(「ちゃおホラー」2020年9月号ホラー増刊)
「少女は孤独であった。
彼女は人から嫌われないよう、怒られないよう、それだけを考えるが、結局は他人を不快にさせてしまい、どうしたらよいかわからない。
ある時、「自分の思うようにすればいい」と女子生徒が話すのを彼女は耳にする。
そうすれば、人に好きになってもらえると思い、彼女はまず「好かれてる人の真似」をしようと考える。
そこで目を付けたのは、オシャレ好きな女子生徒が持っていた新色の色つきリップであった。
リップをつけるため、彼女がトイレの鏡を覗き込むと…」
・菜乃みくろ「おともだち」(「ちゃおホラー」2021年1月号ホラー増刊)
「白井絵美は友達のいない小学生女子。
今日も一人で帰宅していると、電信柱に変な傷が付いているのに気づく。
その傷は笑っている口のようで、彼女は傷の上に目を描き、電信柱に「でんしろう」と名付ける。
以来、彼女は学校への行き帰りに「でんしろう」にいろいろな話しをする。
そのせいで彼女は雰囲気が明るくなり、クラスで友達ができる。
それが嬉しく、彼女は「でんしろう」に話しかけずに帰宅する。
その夜、急な雨が降り、彼女が窓の外を覗くと…」
・加藤みのり「ひとくちちょうだい」(「ちゃおホラー」2018年9月号ホラー増刊)
「中学生のつぶらは欲しいものでいっぱい。
しかし、お小遣いは少なく、友達にお菓子をねだってばかりいるのをバカにされる。
それに腹を立て、彼女はコンビニでお菓子を万引きし、成功。
帰りながら食べようとすると、突然、見知らぬ少女から「ひとくちちょうだい」と話しかけられる。
つぶらは万引き現場を見られたと思い、仕方なしに一口食べさせると、少女は姿を消す。
次の日もつぶらの前に少女が現れ、「ひとくちちょうだい」とせがむ。
少女を黙らせるため、つぶらは毎日、コンビニでお菓子を万引きするのだが…」
・鮎ひなた「ファッション・リーダー」(「ちゃおホラー」2019年1月号ホラー増刊)
「花岡さくら(中学二年生)は地味な女の子。
彼女は流行にあまり興味がなく、カバンには祖母からもらったお守りだけという渋さであった。
ある日、彼女のクラスに鬼藤蝶子という少女が転入してくる。
彼女はとても美しく、その上、最新の流行をふんだんに採り入れ、独自にアレンジしていた。
彼女のファッションは瞬く間に学校中に広がり、女子生徒たちはこぞって蝶子のファッションを真似し始める。
さくらだけはその流行から外れていたが、それに気づいた蝶子からいじめられるようになり…」
・岬かいり「ヨビカケさん」(「ちゃおホラー」2019年9月号ホラー増刊)
「動画サイトのどこかにあるという『ヨビカケさん』の都市伝説。
この動画では真っ暗な背景に「ヨビカケさん」が一人立っていて、開始五秒ぐらいに「ねえ」と視聴者に話しかけてくる。
「ヨビカケさん」は三日の間、スマホを見る度に現れ、その間、無視し続けると助かるが、返事をすると呪われると言われていた。
中学二年生の鷹州リカは友人からこの話を聞くが、その日の夜、スマホに「ヨビカケさん」が現れる。
彼女は必死に無視するが、その間に彼女は四人グループから除け者にされてしまい…」
・灯屋すぐる「貪欲な雪だるま」(「ちゃおホラー」2019年1月号ホラー増刊)
「七瀬千草は成績優秀な委員長。
彼女の周りには頼みごとがある時だけ寄って来る連中や成績のことしか言わない教師や親といった、ウザい連中でいっぱい。
ある冬の日、彼女は言葉を話す雪だるまと出会う。
この雪だるまは周りの音を吸収していたら話せるようになり、自分に彼女の本音を言うよう勧める。
毎日、彼女は雪だるまの所に寄り、胸のうちにたまった鬱憤をさらけだすのだが…」
タイトル通りに、「友人関係」をテーマにしたホラー短編・アンソロジーです。
ヒロインが「友達がいない…」とか「友達の輪からハブられた…」とかでウジウジする話が多く鬱陶しいですが、まあ、日本のティーンエージャーは思春期という複雑な時期を学校という閉鎖的社会で過ごすのですから、大なり小なり皆、こういう経験はあるでしょう。
個人的に出来がいいと思ったのは、環方このみ先生の禍々しい「いないいない、私」と巷で評価の高い岬かいり先生「ヨビカケさん」。
特に、「ヨビカケさん」はヒロインの心理描写がうまく、ヒロインが部屋で落ち込んでいるシーンは実感あります。
2024年8月26・27日 ページ作成・執筆