御茶漬海苔「TVOA あいしてるよ」(1989年10月5日初版第1刷発行)

・「CHANNEL-12 愛情物語」(1989年「ヤングサンデー」No.1)
「良夫は正月から家にこもり、受験勉強に励む青年。
 母親は甲斐甲斐しく世話を焼き、性欲処理もお手の物。
 だが、彼は一人の少女に想いを寄せており、彼女からひそかにラブレターを渡される。
 母親は自分の肉体で息子を篭絡しようとするも、彼は母親から身を振りほどき、家から出ようとする。
 制止する母親を彼は置物で殴りつけ、死体を金庫の中に隠すのだが…」

・「CHANNEL-13 黄金TOY」(1989年「ヤングサンデー」No.2)
「吉川一郎は上京し、英会話セット販売の会社に勤めることとなる。
 陽も差さない、狭苦しいアパートの一室で、彼は閉塞した日々を送っていたが、ある日、彼は同僚からクレジットカードなるものの存在を教えてもらう。
 これは「なんでも買える魔法のカード」であった。
 彼はカードを作り、その凄さに魅了される。
 彼はアパートの部屋に豪華な家具を揃え、ブランド品で身を固めるが…」

・「CHANNEL-14 受験ファイア」(1989年「ヤングサンデー」No.3)
「東大受験まで一週間の浪人生。
 彼は勉強を励もうとするも、外でサバイバル・ゲームに興ずる子供達の騒ぎ声が気になって、手につかない。
 ある日の夕方、彼は近所のおもちゃ屋でボウガンを購入する。
 翌日、彼は騒ぐ子供達にボウガンで狙いながら、静かにさせようと想像する。
 彼が一線を超えた時…」

・「CHANNEL-15 ゴルフ日和」(1989年「ヤングサンデー」No.4)
「田宮春樹の父親はゴルフの腕前はプロ並みで、春樹はそれがとても自慢。
 だが、父親は接待ゴルフ漬けで、やつれていた。
 ある日曜日、春樹はこっそり父親の接待ゴルフについていく。
 彼は遠くから父親のプレイを見学するが、グリーンに撒いている大量の農薬に目をやられる。
 この場所から逃げようとするも、彼は沼に転落し…」

・「CHANNEL-16 規則」(1989年「ヤングサンデー」No.5)
「香織は兄のことが自慢。
 兄は小さい頃から彼女をいつも守ってくれ、今は国防軍で、国のために働いていた。
 香織は高志という青年と結婚することとなり、二人は潜水艦乗りの兄と会おうとするのだが…」

・「CHANNEL-17 あいしてるよ」(1989年「ヤングサンデー」No.6)
「ある家族。
 父親は普通の人間だが、心臓病持ち。
 母親は貞淑そうな顔をしつつ、不倫に夢中。
 姉のまり子は大学生で、夢見る乙女といった感じだが、自律神経失調症。
 弟の政和は普通の高校生だが、ドラッグ中毒。
 ある日、この一家がデパートに食事をしに行く。
 レストランで家族の団らんをした後、下りのエレベーターに乗るが、エレベーターの故障で、閉じ込められてしまい…」

・「CHANNEL-18 シカトの報酬」(1989年「ヤングサンデー」No.7)
「県で第一の進学校である帝王中学校。
 皆、勉強に遅れまいと必死な中、山田という生徒が場を乱す。
 彼は非常にとろくて、ちっとも勉強ができなかった。
 クラスメート達は皆、彼を鬱陶しがっており、特に、粗暴な金森という生徒に目を付けられる。
 学校に来ないよう命令され、机を撤去されても、いくら暴力を振るわれても、山田は必ず教室にやって来る。
 いい気味と思って傍観していた良夫はいつしか彼に畏敬の念を抱くようになり…」

・「CHANNEL-19 最後の少女」(1989年「ヤングサンデー」No.8)
「倉中はある女子学園の教師。
 彼は生徒達からも、家族からも全く相手にされない、初老の男性であった。
 仕事の後、彼は公園のベンチに座り、鳩に餌をやる。  ある日、一人の少女が目を輝かして、餌やりに感動する。
 少女は優しく、動物好きで、素直であった。
 彼女は彼を「鳩のおじさん」と呼び、彼もまた彼女に好意を抱く。
 翌日、彼はまた少女と公園で会い、彼女からクッキーをもらう。
 しかし、三度目、夕立にあい、彼の家に彼女を連れ込む。
 無防備に服を脱ぐ少女に劣情を抱き、彼は少女に手を出そうとするが、怯えた彼女は逃げ去り、二度と公園には来なかった。
 悔恨の念に苛まされる彼は一言少女に謝りたいと願うのだが…」

・「CHANNEL-20 はにわ」(1989年「ヤングサンデー」No.9)
「自然に囲まれた村。
 三郎は山の中に秘密基地をつくっていた。
 ある日、山の中で美しい女性を見かける。
 翌日、山の写真を撮っている彼女に話しかけ、三郎は山を案内し、秘密基地を見せる。
 そのお礼に、彼は彼女の家でケーキをご馳走になる。
 帰宅後、彼は友人から、この村にレジャーランドができると聞かされ、ショックを受ける。
 両親は山を売り、しかも、レジャーランドの社長はあの女性であった。
 彼は「人柱になってでもこの山を守る」と訴え…」

・「CHANNEL-21 生産と消費」(1989年「ヤングサンデー」No.10)
「ある一家(両親と一人息子)が東京湾に浮かぶ「TOKYO NEW TOWN」に移り住む。
 ここは「ゴミのない美しい暮らし」を謳い、コンピューターが清掃を管理して、「清潔で楽」な「夢の島」。
 ある日、息子はダストボックスから「カサカサ」という音がすることに気づく。
 友人に協力してもらい、彼はダストボックスから地下へと降りるのだが…。
 彼がそこで見たものとは…?」

・「CHANNEL-22 死んだらァ」(1989年「ヤングサンデー」No.11)
「雨宮良夫(35歳)は生物科学研究所に勤める独身男性。
 自分の研究室で黙々と仕事をこなし、夜はマンションでパソコン・ゲームに耽る毎日。
 彼はこの自由な生活を気に入っていたが、母親からしつこく言われ、吉田純子という女性と結婚する。
 しかし、彼女は彼の生活にずかずか入り込み、どんどん自分の好みに変えていく。
 すっかり憔悴した彼は遂に…」

 「サイコ・ホラー」系の話がメインです。
 「規則」と「死んだらァ」の出来が良いと思います。
 「シカトの報酬」「最後の少女」は奇妙な話です。もっと練り込めば、傑作になったかも…。

 「恐怖テレビ(TVO)AB」(ぶんか社)にて再録されております。

2022年8月8・9日 ページ作成・執筆
2023年10月9・11日 加筆訂正

小学館・リストに戻る

メインページに戻る