今井康絵「本当は怖い日本の童謡」
(2007年12月4日初版第1刷発行・2011年3月20日第14刷発行)

 収録作品

・「うしろの正面だぁれ?」(2006年「ちゃおデラックス」秋の大増刊号)
「小学校六年二組では「郷土の歴史」をグループ研究することとなる。
 まゆは、憧れの久住と一緒の班になるが、彼は「童謡の真相」を探ることを提案する。
 ちょうど彼の近所に籠目神社があったことから、「かごめかごめ」について調べることに決定。
 放課後、班のメンバーは籠目神社を訪れる。
 そこは何十年も管理されていない、荒れ果てた神社であった。
 立て看板には、この神社は、大洪水の犠牲者と人柱の供養のために建てられたと書かれてある。
 神社を調べていると、班の二人が古井戸を見つけ、蓋の金網を外そうとする。
 まゆはその金網を「封印」と直感し、止めようとするが、間に合わず、井戸の中から黒いモヤのようなものが立ち上がるのを目にする。
 以来、まゆの周囲でおかしなことが幾つも起こる。
 久住と共に神社から帰る途中、古い祠に、自分と久住の姿を視る。
 その時、久住が彼女に、前世を信じるか?と聞いてくる。
 この神社は、二人の前世とどんな関わりがあるのであろうか…?」

・「とおりゃんせ…」(2007年「ちゃおデラックス」春待ち超大増刊号)
「平坂那美と(名字読めず(注1))孝祐は塾でお互い一目惚れしてから、ラブラブな関係。
 同じ中学に合格し、春休みを楽しもうとした矢先、横断歩道にトラックが突っ込んできて、孝祐は死んでしまう。
 すると、那美の前に、見知らぬ少年が現れ、彼の魂を呼び戻せれば生き返ると言う。
 少年は那美を岩の洞窟の前に案内し、この先は「天神さまの細道」すなわち、黄泉国への道と説明する。
 那美は、少年にお札をもらい、あの世への道を進む。
 彼女は孝祐と再会するが、彼は黄泉国のものを口にしたので、地上へは戻れなくなっていた。
 ただし、彼女が一度も振り返らずに、彼を地上に導いたなら、彼は生き返ることができるかもしれない。
 彼女は彼に言われた通りにするが、徐々に、後ろにいるのが彼かどうか疑いを抱くようになる…」

・「花いちもんめ」(2007年「ちゃおデラックス」春の大増刊号)
「遠藤ひとみは、花いちもんめで遊んでいて、「いらない子」と呼ばれる夢を見る。
 悲しむ彼女を慰めてくれたのが、姉の香であった。
 しかし、翌朝、姉の姿はどこにもない。
 家でも、学校でも、市役所でも、彼女に姉なんかいなかったと言う。
 だが、ひとみは姉が絶対にいたと信じ、町の人は何かを隠していると考える。
 姉を捜すうちに、彼女は、廃墟となった建物の空き地に姉の靴が落ちているのを見つける。
 その建物の中で、彼女は不気味な人間らしきものに出会う。
 逃げた先では、久住ゆまと名乗る、美しい少女が花畑を守っていた。
 この建物の秘密とは…?」

・「あした天気になあれ」(2007年「ちゃおデラックス」初夏の大増刊号)
「久住志摩子は、雨女と呼ばれ、クラスメートからイジメを受けていた。
 同じクラスの三木早苗は、気の毒に思いながらも、自分が標的にされるのが怖くて、見て見ぬふりをする。
 そんなある日、志摩子は図書館で自殺する。
 以来、ずっと雨が降り続ける。
 ある日、図書館で志摩子の幽霊を見たことで、早苗はいじめっ子達を非難する。
 そのために、一週間以内に雨がやまないと、今度は彼女がいじめられることになる。
 タイム・リミットが迫る中、早苗が図書館で志摩子に祈ると、志摩子の日記帳が見つかる。
 それには「晴れる方法」が書かれてあったのだが…」

・「2人の王子 〜月の砂漠〜」(2007年「ちゃおデラックス」夏の超大増刊号)
「春香、久住健、栄人は幼なじみ。
 仲の良いまま、成長し、健・栄人は立派な少年となる。
 健は爽やか系のスポーツマン、栄人は優しくて男前で、学校中の女生徒からモテモテ。
 春香は二人のうち、どちらかを決めるなんてできなかったが、ある日、栄人が彼女を女性として見てくれたことから、彼に想いを寄せるようになる。
 彼女はこのことを健に打ち明けると、彼は彼女を応援すると約束する。
 だが、以来、栄人の彼女に対する様子がおかしい。
 健によると、栄人は最近、すっかり変わってしまったという。
 それでも、彼女は彼が好きと聞き、健は、彼の曾祖父が残した宝物の話をする。
 彼の曾祖父は科学者で、その宝物を見つけると、「好きな人と永遠に結ばれる」という。
 それが隠されているのは、三人が昔によく遊んだ草原の中の地下室の中なのだが、その宝物とは…?」

・「暗闇からの使者」(2007年「ちゃおデラックス」秋の大増刊号)
「小学三年の野島沙紀の子犬がマンションからいなくなる。
 都内ではペットの犬や猫が相次いで行方不明になっていた。
 彼女が外で捜していると、クラスメートの宇佐見克彦と出会う。
 彼は彼女に犬の首輪を渡し、彼女は彼がペットを殺したと思い込む。
 その夜、彼女は彼に公園に呼び出される。
 彼が彼女に告白していると、急に停電になる。
 暗闇の中に現れたものとは…?」

 冒頭に書かれてある通り、「童謡をモチーフとしたフィクション」です。
 今井康絵先生は南方熊楠にはまり、和歌山に行ったというので、民俗学の知識を駆使しているのかと思いきや、全くそんなことはありません。
 最初の二話は多少、民俗学っぽいところがありますが、どんどん荒唐無稽な、B級ホラーになっていきます。(頭を抱えるぐらい、メチャクチャなものもあります。)
 少女向けホラー漫画なんだから、仕方がないかな…と思いつつも、正直、ガッカリしました。
 あと、「とおりゃんせ…」のラストが何回読んでも、理解できません。
 一体どういうことなのか、おわかりの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると幸いです。

・注1
 「竹かんむり」に「雉」の漢字に「村」で、何と読むんだろう?

2021年9月12日 ページ作成・執筆

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