まいた菜穂・他「奇妙でこわい話」(2014年3月4日初版第1刷発行)
収録作品
・まいた菜穂「ゆうやけ階段」(「ちゃおデラックスホラー」2011年春の大増刊号)
「下校途中、野田新奈は秋生という少年と出会う。
彼はこの町に少しの間だけ住んでいたことがあり、町で夕陽の見える場所を探していた。
新奈は彼に夕陽の見える高台を教えるが、そこは彼女にとって暗い過去を秘めた場所であった。
小学一年生の頃、彼女は「さとみ」という子供と仲良くしていた。
さとみは口下手で、学校も年齢もわからないけど、放課後、彼女はここでさとみとよく過ごす。
さとみには兄がおり、新奈は彼のことが好きだった。
しかし、兄は病弱なさとみばかりを気にかけ、新奈は眼中になかった。
ある日、さとみは引越しをすると話し、あることを打ち明ける。
さとみは新奈が兄を好きなのを知っていたが、彼女を取られる気がして仮病を使っていたのであった。
話を聞いてもらおうとするさとみを新奈が振り払うと、さとみは階段から転落し、怖くなった彼女はその場から逃げる。
このことがずっと心のしこりになり、秋生から告白されても、新奈は受け入れようとはしなかった。
だが、秋生と触れ合ううちに、新奈の心のわだかまりが溶けていき…」
・溝口涼子「妹」(「ちゃおデラックスホラー」2013年9月30日号増刊)
「理子の家は貧乏ではあったが、優しい両親に恵まれ、理子は幸せであった。
ある日、理子は母親が妊娠したことを知らされる。
理子が母親のお腹に耳を当てると、「ユルサナイ」という悪魔のような声が聞こえる。
両親は信じてくれず、更にその日の夜、理子は母親の口から黒い赤ん坊が出てくるのを目にする。
彼女は母親のお腹の中には悪魔がおり、絶対産んではいけないと両親に訴えるが、出産までの間、祖父母のもとに預けられてしまう。
その後、母親は女児を無事に出産。
理子が恐る恐る妹を見ると、普通の可愛い赤ちゃんであった。
そして、三年後…」
・福永まこ「殺人遊戯」(「ちゃおデラックスホラー」2013年9月20日号増刊)
「放課後。ある小学校の教室。
梶本という男子が「人間双六」というゲームを友人たちと遊ぼうとしていた。
木崎は梶本に想いを寄せており、ライバルの美沙が彼にモーションをかけているのを見て、自分も参加する。
箱から双六盤を取り出した時、眩い光が放たれ、気が付くと、彼ら五人は双六の世界の中にいた。
そこは江戸時代で、木崎はくノ一、美沙はお姫様、梶本はお侍、亮介は足軽、滝は町娘の恰好をしていて、案内人として忍者の佐助がいた。
彼らはサイコロを振って、お城を目指すこととなる。
このゲームには「止まったマスの指示には絶対に従うべし」というルールがあるのだが…」
・姫川きらら「ケセランパサラン」(「ちゃおデラックスホラー」2010年7月号増刊)
「中学生のまつりは両親が離婚したため、寂しい日々を送る。
ある日、彼女は友人と水族館に行き、ケセランパサランを目にする。
これを上手に育てると、幸せになると聞き、彼女は海岸でそれを拾った少女からひったくって逃げる。
その日から両親は復縁し、まつりは幸せな生活を取り戻すも、心の隅で罪の意識を感じ続けていた。
二年後、高校生になったまつりは巽北斗という男子と知り合う。
彼は超常現象の類は一切信じず、まつりとはいつも言い争っていたが、妙に憎めない奴であった。
しかし、その頃から、彼女の周囲では奇怪なことが起こるようになり…」
・咲坂芽亜「死のワンクリック」(「ちゃおデラックスホラー」2013年3月号増刊)
「青柳このは(12歳)はオシャレに憧れる年頃であったが、家が貧乏で、身に付けているものは全部お下がりという有様であった。
ある日の放課後、彼女は同じクラスの三条琴香がパソコンルームから出てくるのを見かける。
三条琴香はクラス一のオシャレさんで、全身、最新のファッションに身を包んでいた。
琴香が立ち去った後、パソコンルームを覗くと、一台のパソコンの電源が付いている。
画面には「ベリーブラッド」という店のサイトが表示されており、流行の服が何でも揃っていた。
しかも、サイトの商品はご利用無料で、「1日1個あなたの欲しいものをなんでも送ります!!」と書かれてあった。
このはが実際に試してみると、翌日、注文した商品が本当に届く。
このサイトを利用し、このはは最新のファッションで身を固め、琴香を学校一のオシャレさんの座から蹴落とす。
だが、このはが「ベリーブラッド」を利用していることが琴香にバレてしまい…」
・坂元勲「××村へようこそ」(「ちゃおデラックスホラー」2013年9月20日号増刊)
「中鶴ユイ(12歳)とその母親はバス停から徒歩で一時間の距離の山中の家を訪れる。
二人は曾祖母が亡くなったとの電話がありここまで来たのだが、曾祖母の存在など全く聞いたことがなかった。
二泊三日の予定であったが、葬式の後、町に出る道路が崖崩れで塞がり、電話も携帯電話も通じない。
ユイと母親は帰ろうと焦るも、家の人間は全く急ぐふうはなく、また、妙に馴れ馴れしい。
そのうちに、母親の様子がおかしくなり…」
好短編揃いで、個人的には、溝口涼子「妹」、福永まこ「殺人遊戯」、坂元勲「××村へようこそ」が好みです。
特に、溝口涼子「妹」は楳図かずお先生の影響がモロで、絵も内容も味わい深く感じました。(ハート・ウォーミングなラストもグー!!)
また、福永まこ「殺人遊戯」は非常にトラウマ度の高い傑作で、ラストのどんでん返しも見事です。
2024年9月18日 ページ作成・執筆