柿崎普美「ブルー・センチメンタル」(1988年5月30日第1刷発行)

 収録作品

・「ブルー・センチメンタル」(1987年「週刊マーガレット」2号〜7号)
「七歳の岩鬼飛志(いわき・たかし)は秋の月夜に、記憶喪失の女の子と出会う。
 月の光を浴び、青く光っているように見える彼女に、飛志は一目惚れ。
 彼女を家に連れて帰るが、結局、両親の行方はわからず、彼女の記憶も戻らないまま、飛志の家に滞在することとなる。
 彼女には不思議なところがあり、動物や植物と会話ができ、また、自在に操れるようであった。
 ある日、飛志は、車にはねられそうになった彼女を身を挺して助ける。
 奇跡的に彼は軽傷に済んだが、事故以来、彼の掌には剣のようなアザが残る。
 少女は「空子(たかこ)」と名付けられ、彼の妹になり、十年後…。
 二人は同じ高校に通い、半ば公認のカップルのようになっていた。
 満月から青い光がふる注ぐ、秋の夜、二人は、初めて出会った場所を通りかかる。
 すると、月光が急に強烈になり、「約束ノ時ダ アイーダ!!」という声が聞こえる。
 空子は何かを思い出しそうであったが、彼女は記憶を取り戻すことをひどく恐れる。
 だが、翌日、学校に「使い」が現れ、彼女をさらおうとする。
 彼女を助けようとして、飛志は致命傷を負うものの、凄まじいパワーで「使い」を消滅させ、空子を救出。
 空子によって治癒された後、記憶を取り戻した彼女は飛志に全てを話す。
 彼女の本当の名前はアイーダで、地球を自分達に都合のいい環境に作りかえるべく、送りこまれた「侵略者(インベーダー)」であった。
 しかし、地球に来た時に記憶を失い、生物の命の美しさ、尊さを知る。
 彼女は地球を破壊しないと誓うが、彼女の仲間に連れ去られ、宇宙人の本拠地のある月へ送られてしまう。
 彼女により「騎士」に選ばれた飛志は彼女と地球を救うことができるのであろうか…?」

・「あなた追いかけて…」(1979年「週刊マーガレット」16号)
「安芸さとみは陸上部の中学記録保持者。
 と言っても、本人は、記録なんかどうでもよく、ただ走るのが好きなだけ。
 ある日、彼女は、茅修(かや・おさむ/高校三年生)というカメラマン志望の青年にモデルになってくれるよう頼まれる。
 戸惑いながらも、彼のモデルをしているうちに、彼女は彼に想いを寄せていく。
 だが、彼には塚原清子という美人の幼馴染がいた。
 更に、彼のカメラへの真剣な情熱を知り、遊び半分で今まで走って来た彼女は彼との間に壁を感じ始める。
 修にモデルをやめることを伝えて以来、彼女は陸上の練習に真面目に取り組み始める。
 そして、迎えた陸上競技大会…」

 「ブルー・センチメンタル」は、なかなか力の入ったSF作品です。(でも、大量に人が死ぬし、相変わらず、怪奇色は強いです。)
 多少…いや、かなりベタな展開もあったりしますが、長さも120ページ程度でだれることがないので、今読んでも面白いと思います。

2021年4月11日 ページ作成・執筆

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