日野日出志「毒虫小僧」(1991年1月15日第1刷発行)

 収録作品

・「毒虫小僧」(1975年にひばり書房から描き下ろし単行本として出版)
「日の本三平は、極端に内向的なため、学校にも家庭にも居場所がなかった。
 学校では先生やいじめっ子達にいじめられ、家では優秀な兄や妹とくらべられてばかり。
 そんな彼の唯一の慰安は、種類にかまわず、動物を可愛がり、動物になって自然を駆けまわるという空想に耽ることであった。
 三学期が終わった日、彼は通信簿の件で父親から説教を喰った後、自分の部屋で吐き気に襲われる。
 彼の吐瀉物の中には赤い毒虫が混じっており、彼はその毒虫に指を刺されてしまう。
 翌日、高熱と共に彼の身体は紫色にむくみ、以後、身体がどんどん溶けていく。
 指、髪、歯、手足を失い、遂にはミイラのようにカチカチになる。
 死んだかと思われたが、ある日、三平は脱皮して、巨大な芋虫となっていた。
 家族は芋虫になった三平を部屋に閉じ込め、形だけの葬式を挙げる。
 三平の処遇に困った家族は、三平に毒の入った食事を与え、夜中に庭に埋める。
 だが、仮死状態だっただけで、彼は家族に別れを告げ、様々なところをさまようこととなる。
 好きなところに行き、好きなことだけをする…彼はもう「自由」で、毎日が充実していた。
 しかし、「孤独感」は絶えず彼に付きまとう。
 ある日、彼は山中で毒キノコを食べ、ダウンしたところを、村人達に捕まってしまう。
 夜中、脱走を図るが、勘付いた村人達に襲われる。
 遂に逆襲に出た三平は、頭部と尻尾の毒針で村人達を傷つける。
 後日、この村人達が死んだことを知った三平は、自分の持つ毒針の恐ろしい威力に気付く。
 自分が以前のような「弱虫」でないことを知った彼は、恨みを持つ人間を片端から殺害。
 だが、次第に、人間の心を失っていき、夜な夜な無差別に人を襲うようになる…」

・「はつかねずみ」(「少年画報」1970年15号〜17号)
「新築のマイホームを郊外に構える一家。
 その家の兄は、ペット・ショップからはつかねずみのつがいをもらい、妹と共に飼うこととなる。
 だが、指を噛んだことに腹を立てた兄が餌を数日やらないでいると、そのオスはメスも産まれた子供も皆食い殺し、脱走。
 兄弟ははつかねずみをあきらめ、新たに十姉妹を飼うが、はつかねずみが兄妹のもとに大きくなって帰ってくる。
 十姉妹は食い殺し、兄の右の人差し指の第一関節を喰いちぎり、はつかねずみは兄妹の部屋を占拠。
 はつかねずみを退治しようとする作戦はどれも功を奏せず、逆に、家族は、巨大なはつかねずみの監視下に置かれるようになる…」

 「毒虫小僧」と「はつかねずみ」の、ウルトラ・ヘビーな作品をカップリングした単行本です。
 どちらも基本的な名作ですので、怪奇マンガ・ファンなら、読んで損は絶対にないと思います。(ただし、グロが苦手な人は避けた方が賢明です。)
 「毒虫小僧」は日野日出志版「変身」、「はつかねずみ」は一種の寓意譚ともみなせます。
 ですが、深い部分の解釈は、大学の先生方や評論家の方々にお任せいたしましょう。
 私としては、怪奇マンガに興味のある人には「一度は読んでおいてほしい」…これだけであります。

2017年7月17日 ページ作成・執筆

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