安田剛助「イン・ザ・ルーム」(2014年4月23日第1刷発行)

・「♯1 牢獄の部屋@」(「ウルトラジャンプ」2013年9月号)
「結城結平(高校三年生)は天才的なゲームプレイヤー。
 気が付くと、彼は廃刑務所の牢屋のような場所にいた。
 他には、
 愛山渓あい〜高校一年生。パジャマ姿(?)の少女
 小山田山小〜陰険で粗暴なヘンタイ男
 兎ヶ崎咲〜セールスウーマン。ちょっとたかビ〜
 桜田正義〜巡査。拳銃を携帯
 鈴木螺旋巻(ねじまき)〜弁護士
 鈴木薇発(ぜんまい)〜鈴木螺旋巻の兄。素性は不明
 の六人。
 鈴木螺旋巻と桜田正義は、外から叫び声が聞こえたので、探索に出ていた。
 螺旋巻が戻って来て程なく、桜田が血相を変えて、とび込んでくる。
 この場所はやばいと警告した時、牢屋の壁が無数の口へと変化する。
 そして、彼らの前に異形のモンスターが現れる。
 結平は、逃げ遅れたあいを助けようとするが…」

・「♯2 牢獄の部屋A」(「ウルトラジャンプ」2013年10月号)
「彼らは出口を必死に探すも、出口らしきものは全く見当たらない。
 仕方なく、彼らが自己紹介をしていると、カエルのつなぎ服を着た青年がひょっこり現れる。
 彼は桐子切佐木という大学生で、どうも挙動が不審であった。
 何か知っているようなので、話を聞くと、この場所は「ルーム」だと言う。
 そして、この場所から出るには「ボスクリーチャー」を殺すしかない。
 だが、桐子はそれ以外の方法を知ってそうで、鈴木薇発は彼を呼び止めようとするのだが…」

・「♯3 牢獄の部屋B」(「ウルトラジャンプ」2013年11月号)
「鈴木螺旋巻は桐子を追い、彼から「ルーム」の秘密を聞く。
 そして、脱出するために、桐子は螺旋巻に組もうと持ち掛ける。
 螺旋巻の取った行動は…?
 その後、螺旋巻は兎ヶ崎咲に呼び出される。
 彼女は他の人間が信用できず、彼に守ってもらおうと考えたのであった。
 彼女を見た時、螺旋巻は一年前の事件を思い出し、桐子の言葉が本当だったと確信する。
 一年前の事件とは、妊婦の惨殺事件であるが、その犯人とは…?」

・「♯4 牢獄の部屋C」(「ウルトラジャンプ」2013年12月号)
「桜田達は、行方不明になった兎ヶ崎咲を捜す。
 ようやく彼女を見つけたものの、その場には小山田もいた。
 逆上する桜田と対照的に、螺旋巻はただ一つのものにだけ集中する。
 螺旋巻の目的とは…?」

・「♯5 牢獄の部屋D」(「ウルトラジャンプ」2014年1月号)
「ここから出るには「ボスクリーチャー」を倒すこと。
 もう一つの方法もあるが、選ぶわけにはいかない。
 そして、「ボスクリーチャー」と戦う役目を担わされるのは…?」

・「♯6 牢獄の部屋Eと子供の部屋@」(「ウルトラジャンプ」2014年2月号)
「計画は失敗に終わる。
 だが、鈴木薇発はことの真相に気付く。
 「ルーム」から脱出できる人物はいるのだろうか…?
 全てが終わった後、子供部屋でゴスロリの少女が目覚める…」

 「ルーム」という幻想空間でのサバイバルを描いた異色のサバイバル・ホラーです。
 ストーリーはしっかりしていて面白いと思うので、もっと内容を膨らましてほしかったところです。
 「ボスクリーチャー」は、イギリスの画家フランシス・ベーコン(1909〜1992)の絵のようで(注1)、インパクトだけは抜群なのですが、グロ描写・残酷描写共に乏しくて残念…。
 このあたりの描写に力を入れていれば、この作品の評価もかなり違ったものになったはずです。
 あと、ラストの「子供の部屋@」は蛇足かも…。

・注1
 個人の印象ですが、この作品を読んで、セガ・サターンのゲーム「バロック」を思い出しました。
 と言っても、このゲーム、ワケがわからず、すぐに放り出してしまったのですが…。

2022年3月7日 ページ作成・執筆

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