黒形圭・ストーリー/渡辺静・漫画「KIGURUMI」(2014年2月24日第1刷発行)

・「第1話 遭遇」
「来栖真言(くるす・まこと)はヌイグルミ作家志望の男子高校生。
 ある夜、彼の夢に変なウサギのヌイグルミが現れるが、それは都市伝説に出てくる「突然死を呼ぶ謎のヌイグルミ」とそっくりであった。
 このヌイグルミは謎の突然死の起こる現場でよく目撃されるとの噂があるが、確かに最近、突然死の事件が多い。
 この「同時多発型突然死」事件の中で最も被害が大きかったのが、影沼女子高校で授業中、2年B組の生徒が23人が謎の病死を遂げた事件であった。
 この事件では一人が行方不明、一人が命を助かるが、唯一の生き残りに少女は「みんな、ヌイグルミにころされた」と話したという。
 放課後、真言の妹、茉莉が校門まで彼を迎えに来る。
 二人は一緒に帰り、スクランブル交差点のところで信号待ちしていると、突如時間が止まる。
 しかも、向かい側の人混みの中に夢で見たウサギのヌイグルミがおり、真言はそれを追う。
 すると、突然、彼の前に、左目に眼帯をかけた少女が現れ、真言にこの場所から逃げるよう警告する。
 この少女は「黒沼高校集団死事件」の唯一の生き残りである空木慧であった。
 真言が混乱していると、その場に巨大な熊のヌイグルミが現れる。
 ここで起こっていることは一体…?」

・「第2話 真相」
「バトルの後、真言は意識を失い、目覚めると、見知らぬ女性の部屋にいた。
 彼女は緒方伊織(26歳/独身/元・警視庁刑事部)で、空木慧と共にKBB(鏡ヶ原ベア撲滅隊)を結成していた。
 彼女によると、巨大なクマのヌイグルミは「召喚者」の「ファスナー」を通じて現れる、異世界の「ベア」で、これが出現している間、周辺の空間は停止し、これに捕食された人物は「謎の心臓麻痺」で死んでしまう。
 今までの「同時多発型突然死」は全て、この「ベア」の仕業であった。
 ただし、ベアによる停止空間でも稀に活動できる人間が降り、その一部は身体に「ファスナー」が現れ、ここから「ラビット」(異世界から召喚する助っ人)を呼ぶことができる。
 とは言うものの、たった二人だけではできることに限界があり、更に「影沼高校集団死事件」を機に被害者数はうなぎ登り。
 そんな中、唯一の希望となるのが来栖真言で、彼は都市伝説のウサギのヌイグルミと融合できる「適合体(キグルミ)」であった。
 緒方伊織は彼に協力を求めるが…」

・「第3話 日常」
「翌日、真言は高校に登校する。
 午前八時ちょっと過ぎに自分の教室の前で彼は夏木杏子と出会い、彼女からぬいぐるみを作ってもらうよう頼まれる。
 彼女は部活でゴタゴタがあり、大切な友人に謝りたいと思っていた。
 だが、その時、時間が止まり、ベアが二人のそばの教室に出現して、教室内にいた女子生徒たちや夏木杏子を喰い殺す。
 空木慧の活躍で「ベア」は姿を消すが、時間は止まったままで、「ベア」の召喚者は「ベア」を隠したままで、いまだファスナーは閉じられていない。
 「ベア」の召喚者はこの空間で動ける槙原諒一(真言の友人)、東京太郎(サッカー青年)、春ヶ丘風歌(吹奏楽部に所属する清楚な少女)の三人のうちの誰かのようなのだが…」

・「第4話 裏表」
「真言の説得で、皆、校舎の屋上に避難する。
 空木慧は実力を行使して、三人の中から召喚者を見つけ出そうとするが、真言は自分がその役割を引き受ける。
 しかし、学校へ向かう途中の緒方伊織が「召喚者」に襲われ、慧は真言の安全のため、彼を学校から逃がそうとする。
 真言は一人苦悩するが、ふと杏子のスケジュール帳を持ってきていたことに気付く。
 そこには「召喚者」を見つけ出すためのヒントが隠されていた…」

・「第5話 二人」
「召喚者の正体を突き止めるものの、それを操る人物がまたいた。
 それは空木翠。空木慧の双子(?)の妹であった。
 慧は傷つき、真言は単身で「ベア」に立ち向かう。
 その時、真言は奇妙な空間に飛ばされる。
 そこで彼はウサギのぬいぐるみにある選択に迫られるのだが…」
(「ミラクルジャンプ」2013年No.13〜15、「ヤングジャンプシード」2013年11/30増刊号)

 第6回ヤングジャンプ新原作大賞の佳作受賞を受けた、黒形圭先生のストーリーを、渡辺静先生が漫画化した作品です。
 単行本一冊にまとめるため、わかりにくかったり、説明不足、尻切れトンボなところがありますが、それでも、スピーディーな展開で読ませます。
 ただ、空木慧・翠姉妹の間に何があったのかだけは説明しておいてほしかったものです。
 あと、セクシーキャラ(?)の緒方伊織お姉さまが活躍するシーンが少なかったことが個人的には悲しかったです…。

2024年3月24・26・27日 ページ作成・執筆

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