ひたか良「黒髪塚」
(1985年10月30日第1刷・1989年9月15日第12刷発行)
収録作品
・「黒髪塚」(1985年「週刊マーガレット」7・8号連載)
「(「今夜はルナティック」の続編。
入沢ルナは、外国人男性(ドイツにいるらしい)と日本人女性のハーフ。
だが、父親は狼男で、満月の夜になると、彼女は金髪になり、俊敏になる(だけらしい…)。)
母の十三回忌のため、ルナは、いとこ(母の妹の息子)の信一と拓也と共に、母方の実家に向かう。
途中、信一が山道でこけるが、彼の足には黒髪がまとわりついていた。
そこには、黒髪塚という古びた祠があり、中には黒髪がびっしり収められていた。
祖父によると、昔、黒髪の女性が、都に出たまま、消息を絶った恋人を捜しに出たという。
しかし、男は、権力者の娘婿となり、子供までいた。
更に、男の妻により、女は黒髪を切られ、絶望のあまり自殺。
その怨念が黒髪に宿り、男とその妻を絞殺し、村の娘達にも危害を及ぼす。
女の霊を慰めるために、女の墓の上に建てられたのが、あの祠であった。
法事が終わり、三人は帰るが、学校で次々と女子生徒が襲われ、黒髪を切られる事件が立て続けに起こる。
ルナは、信一(生徒会長で、男とは思えないほどのロング・ヘアー)に、女の怨霊がとり憑いていると気付くのだが…」
・「さびしさの迷路」(1984年「週刊マーガレット」12号連載)
「母子家庭の谷沢野衣(中学生)は、母親を交通事故で失う。
孤児になった彼女を、父方の谷沢家の弁護士が訪れ、当主が引き取ると言う。
野衣の父親は、家を捨てて、母親と駆け落ちしており、八年前、父親が亡くなった時も祖父は葬式にすら来なかった。
野衣は、父方の祖父に反発しながらも、他に行く当てもない。
だが、伯母(父親の兄の嫁)の態度にブチ切れ、邸から出て行こうとした時、不思議な青年と出会う。
彼は彼女より年上らしいが、言葉が話せず、何を考えているのかわからない。
しかも、邸の中の人々は、彼のことを何故か口外しようとしない。
彼と出会ったことで、野衣は邸に居続ける決意する。
ある日、彼女は、彼は谷沢元樹という名で、伯父と愛人の間にできた子供であることを知る。
そして、彼の背中には、ひどい火傷の痕があった。
五年前、彼と父親は別荘で火事にあい、父親は死亡、彼はショックで心を閉ざす。
彼がもしも、普通の状態に戻れば、谷沢家の次期当主であったが、彼が治るのを困る者達もいた…」
「黒髪塚」は、あまり怖くないと思います。
女の霊が、男に憑りつくというのがどうもしっくりこない…。
2021年4月23日 ページ作成・執筆