光原伸「アウターゾーンM」(1994年7月9日第1刷発行)

・「第100話 ファイヤー・ハンド」
「スランプになる度に、放火をする小説家。
 他人の家が燃えているのを見ると、気持ちがスッとして、執筆がはかどるのであった。
 ある夜、彼が家に火を付けようとした時、現場をミザリィにおさえられる。
 ミザリィにどつかれ、気絶した彼が、奇妙な夢から目を覚ますと、彼の右手は別の手に付け替えられていた。
 その手は触れる物全てを燃やしていく…」

・「第101話 ウサギ狩り」
「鬱憤を晴らすために、幼稚園や小学校で飼われている小動物を殺す青年。
 ある夜、彼は、ミザリィが飼っているウサギを殺すために、空き地の小屋に忍び込む。
 だが、そのウサギはただのウサギではなかった…」

・「第102話 お仕置き」
「好き放題に振る舞う超能力少年。
 逆らうと、何をされるかわからないので、両親ですら注意できない。
 ある日、彼の前に、週刊誌の記者を名乗るミザリィが現れる。
 彼は、ミザリィの裸を見せるよう要求し、超能力で服をズタボロにする。
 調子に乗る少年に対する、ミザリィの「お仕置き」とは…?」

・「第103話 サハラの砂」
「財産目的で、今の妻と結婚した男。
 だが、彼には愛人がおり、妻を殺す機会を窺う。
 ある日、男の妻は、ミザリィから「サハラの砂」の入った小瓶を買う。
 実は、その砂には、触れると、一定の時間、サハラ砂漠にワープできるという効能があった。
 それに気付いた男は完全犯罪を思い付くのだが…」

・「第104話 20年目の儀式」
「クリスマスの夜、廃校となった小学校に三人の男が集まる。
 三人の男は大沢、安田、保永で、大沢の呼びかけで集まったのであった。
 二十年前、小学生だった彼らは、河原で奇妙な本を手に入れる。
 彼らが、その本に書かれていた「異次元への穴が開く方法」を遊び半分で試すと、宙に穴が現れる。
 その場に居合わせた貴子は穴の中に吸い込まれてしまい、彼らはこのことを秘密とする。
 しかし、大沢はずっと罪の意識に苛まされることとなり、残りの二人も転落の人生を送る。
 そして、二十年後、大沢はもう一度「異次元への穴が開く」儀式を行い、貴子を救い出そうとするが…」

・「第105話 恐怖の研究」
「夕方、ある女子大学生が、江戸川教授(モデルはどう見てもE・A・ポー)に臨時のバイトを持ち掛けられる。
 簡単な心理学の実験ということで彼女は引き受け、教授のの屋敷に車で向かう。
 だが、彼の実験のテーマは『恐怖』で、彼女は拘束され、壁の中にレンガで塗り込まれてしまう。
 翌日、教授の屋敷に警察が来るのだが…」

・「第106話 疑惑の客」
「連続して起こる、タクシー運転手の殺人事件。
 新米のタクシー運転手は、ある夜、どこか不審な男の客を乗せる。
 客は行き先をはっきりと言わず、タクシーはどんどん人気のない場所へと向かう。
 疑惑がどんどん膨らむ中、閑散とした森の中で、客の男は車を止めるよう言い出すのだが…」

・「第107話 ブレート・カイザー 前編」
「悠太は「超戦士ブレート・カイザー」の大ファン。
 俳優の父親が「ブレート・カイザー」役を射止めると喜んでいたが、実際は敵の怪人役で大失望。
 ある時、彼が「トーイショップ みざりぃ」を訪れると、店員のミザリィから「ブレート・カイザー」のブレスレットをプレゼントされる。
 帰宅後、彼がそのブレスレットを付けると、「ブレート・カイザー」に変身する…」

・「第108話 ブレート・カイザー 後編」
「スーパーヒーロー気取りの悠太であったが、トラブルを起こして、「通り魔」扱い。
 しかも、警察に追われるうちに、ブレスレットが壊れ、変身が解けなくなってしまう…」

(「週刊少年ジャンプ」1993年51号〜1994年9号掲載分収録)

 作者による作品解説によると、この巻の頃は「絶望的に不調だった」とのことです。
 でも、個人的には、アイデアがきらりと光る佳作が多く、そこまで出来は悪くないと思います。
 特に、「サハラの砂」と「20年目の儀式」は傑作ではないでしょうか。
 あと、「お仕置き」は、スーパーチャイルドものの大傑作、ジェローム・ビクスビィ「きょうも上天気」のバリエーションの一つとして、興味深いものがあります。(注1)

・注1
 ジェローム・ビクスビィ「きょうも上天気」は昔の「ミステリー・ゾーン」で映像化されているようです(未見ですが…)。
 映画版「トワイライト・ゾーン」でもリチャード・マティスンの脚本で採り上げられております。
 ちなみに、この回、トラウマなんだ〜。(テレビの中に閉じ込められて、アニメのキャラに食べられるのが、子供心に大ショック!)

2019年4月14日 ページ作成・執筆

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