光原伸「アウターゾーン リ:ビジテッド@」(2012年12月24日第1刷・2013年4月9日第4刷発行)

 アウターゾーン…
 それは現実と空想の狭間に存在する未知の世界…
 時間も空間も確かな意味を持たない、その場所では現実を超越した、あらゆる事象が起こる…
(オープニングの文章をほぼそのまま引用しました)

・「Episode1 ラブドール・マリア」
「漫画家のアシスタントの斉藤は、ラブドールの取材の際、マリアという名のラブドールに目を奪われる。
 店主のミザリィは、その人形は売り物でなく、廃棄処分を依頼されたものなので、配達料を負担すれば、その人形を譲ると言う。
 こうして、斉藤はマリアと共に暮らすことになるが、彼がいくら愛しても、所詮は人形で、物足りなさが絶えず付きまとう。
 ある日、彼は、中学の同級生だった、柴田という女性と偶然に再会する。
 二人は付き合うようになり、彼はマリアに対して興味を失っていく。
 そして、彼女と同棲するのを機に、彼はマリアを処分しようとするのだが…」

・「Episode2 どら猫マグ」
「クリスマスを目前に控えた季節。
 捨て猫のマグは、飼い主がまた迎えに来ることを信じて、公園をうろついていた。
 飢餓と寒さに耐え兼ね、彼はベンチに座る老人を脅迫する。
 老人は彼の要求に次々と応えてくれ、マグは久々にご満悦。
 立ち去ろうとする老人に、マグは明日も来いと命令するが、さて、その老人の正体とは…?」

・「Episode3 月に一度、血を…」
「悪党のトニーと元・警察官のジェイクは、現金輸送車を襲って、州境に逃亡中。
 ガソリンが乏しいため、近道の旧道を通るが、夜の森で、彼らは謎の生き物の群れに襲われる。
 それは緑の猿のような生き物で、銃で撃っても、自然と傷がふさがり、襲いかかってくる。
 突如、現れた老人に助けられ、二人は老人の屋敷に逃げ込む。
 そこでは、老人と彼の娘、エミリが二人きりで暮らしていた。
 しかし、老人とエミリは親子とは思えないほど、年が離れている。
 エミリが体調を崩し、老人が二階の寝室にこもっている間に、トニーとジェイクは家探しをする。
 不可解な事実が明らかとなり、二人は老人に詰め寄るのだが…」

・「Episode4 魂の墓標」
「奇怪な彫刻作品で名声を得た江戸川神三郎。
 あまりにグロテスクな造形にも関わらず、実物を目にすると、皆、その迫力に目が離せなくなる。
 テレビ番組の出演の後、女性キャスターは江戸川に、自分の妹のさゆりをモデルとして推薦する。
 彼は、次回作の為のモデルを探していた。
 さゆりは面接にパスし、郊外にある、江戸川のアトリエへ行く。
 アトリエの中には、ユニコーンから着想を得た最新作があった。
 だが、さゆりは江戸川に注射で眠らされ、彼女が意識を取り戻した時、そこは…。
 江戸川の作品の秘密とは…?」

・「Episode5 幻の夏」
「山奥の別荘を買いに訪れた小説家。
 25年前、少年だった彼は、この別荘の近くの川で溺れていたところを、女性に助けてもらった過去があった。
 彼女の虜となった彼は、事あるごとに別荘を訪れ、彼女と楽しく過ごす。
 しかし、彼女と一緒に眠った翌朝、彼女は忽然と彼の前から消えてしまう。
 以来、彼は孤独感を抱えたまま生き、この思い出の場所に戻ってきたのである。
 だが、不動産屋からオーナーがこの別荘を手放さないとの連絡が入る。
 そのオーナーとは…?」

・「Episode6 侵略生物X」
「ある日、山中に隕石が墜落する。
 その中には、知性を備えた虫の群れが潜んでおり、繁殖する為、町の人々を次々と襲う。
 五日後、シングル・マザーのレベッカ、その息子、ジョッシュが車でその町に向かっていた。
 給油するために、ガソリンスタンドに寄るが、人の姿はなく、血で汚れた服があるばかり。
 そこに、レベッカの父である保安官と、ミザリィが虫達から逃げて来る。
 町の生き残りはその二人だけであった。
 彼らはガソリンスタンドの事務所に立てこもり、生き延びる術を探る。
 そんな時、虫に異変が起き始めた…」

 連載終了からおよそ17年後の2011年、新しく連載が開始された「アウターゾーン リ:ビジテッド」。
 ホラー雑誌に連載ということに加え、ほとんど一人で作画していることもあり、先生の嗜好がもろに出ていて、どの作品も深い味わいです。
 個人的なお気に入りは「どら猫マグ」と「魂の墓標」。
 「どら猫マグ」は一見、コミカルながら、実はしんみりさせる内容です。
 「魂の墓標」はマッドな芸術家を扱ったもので、う〜ん、やっぱ「マッド」なキャラが出ると、それだけで素晴らしいです。
 あと、巻末に「アウターゾーン」連載当時の裏話について書かれており、いろいろと参考になりました。

2019年4月30日 ページ作成・執筆

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